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『希望の資本論』 [☆☆]

・社会主義が力を持っていると、いつ労働者は革命を起こすかもしれない。それを恐れた資本主義国では、社会保障や社会福祉に力を入れ格差の是正にも努めてきました。

・長期のゼロ金利が示すのは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」であり、日本はその最終局面にいち早く立っている。

・新聞社に対して文句があるのなら、投書をするといった手段があるのに、新聞社の前に行って喚き散らして暴れるような状況が日常的に起きるなどということは、やはり教育の問題なんですよ。

・イスラム原理主義は、共産主義やファシズムと比べた場合、決定的な違いがあるんですよね。生産の哲学がないんです。

・生産の哲学がなくて、分配の哲学しかない。だから、どこかから取ってくるというように常に外部を想定していなければならない。

・山岳チェチェン人と平地チェチェン人では、山岳チェチェン人の方がエリートなんですね。それは、基本的に山岳チェチェン人というのは、平野のチェチェン人から略奪してくるわけです。

・宗教のために命を捧るという決意をして、そのために本当に死んでもいいと思うようになると、人の命を奪うことに対するハードルがものすごく低くなるわけです。だから、大量殺人というのは、大体「人類救済計画」が立っていないとできない。

・いま、日本の一般社会と比べて日本の論壇が極端に右翼化しているし、政治エリートも右翼化している。その右翼の人たちは、自分たちが真ん中にいると勘違いしている。数学上の特異点になってしまっているのに。

・反知性主義者は、知性を憎んでいる。だから、知性の言葉が通らない。

・人間は自分が嫌いで意味がないと思っていることの記憶は絶対に定着しないんです。

・毎年センター試験の問題はきちんとやって、常に9割はキープしておく。

・「なぜ」という動機づけを学生にするのが教師の仕事だと思います。

・ある社会の構造というのは、その社会における男の女に対する対応を見ればわかる。

・本当に虐げられていたり貧困の中にいたりする人たちは立ち上がれない、少し余裕のある人たちが立ち上がりことができる。

・そもそもすぐれたテキスト、長く読まれているテキストって、実はいいかげんなのです。だから首尾一貫した形での複数の読み方が可能になる。そういう蓄積が山ほどあるから、聖書も、コーランも、法華経もみんな面白いんですよ。

・太平洋戦争中に敵であるアメリカのことを学ぼうとすると「敵性語を学ぶな。英語を勉強する奴は非国民だ」と言われたのと論理は同じだなと思いました。この反知性主義というのは、いまも根強く出てくるんだなと思いましたね。

・ISの画像は、本当に首が切られて血が飛び散っているといった凄惨な状況はあまり出さないんですよ。切られた首が胴体の上に乗っているという形にする。演劇やテレビドラマの手法で、見られる範囲なんですよ。こんなのがあるよと言って転送しても人格は疑われない範囲のものに、彼らは演出してやっているわけですよ。

・大体30年ごとにバブルが起きる。しかし人間は自分の経験から学ぶことはできるけれども、歴史から学ぶことができない。バブルが始まってしまうと、みんな空前の好景気と思って、バブルがはじけて初めてあれはバブルだったと思うわけね。バブルの最中にはバブルだと気がつかない。

・問題なのは特異な能力を評価する時、評価する側は凡人だということです。

・評価できるようなものは、最新鋭のものではないわけです。



希望の資本論 ― 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか

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  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2015/03/30
  • メディア: 単行本



希望の資本論 (朝日文庫)

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