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『世界史の大転換 常識が通じない時代の読み方』 [☆☆]

・中世に戻ろうとする表象を掲げるISのような「プレモダン」、国民国家が自己主張をする「モダン」、グローバル化が進む「ポストモダン」という価値観の異なる考え方が混在しているのです。

・いまだ部族社会的発想から脱することができないアラブは、国内全域を統治できる国家・政府を作れないアラブの自己統治能力の低さを証明している。

・モダンの現状不満を飛び越える場合に、プレモダンの表象が使われている。IS的な思想、世界観の下地ができあがっているとみてとれるのです。

・この世はたかだか80年ですが、あの世は永遠。だから人々は自分がこの世に貢献するよりも、天国に行けるように教会にすべてを寄付しよう……。教会にお金が貯まり、教会インフラという形で富が蓄積された。そのために産業資本は蓄積されず、産業革命が起きなかったのです。

・得をしているのはドイツです。他の生産性の低い国々と通貨を共有するわけですから、当然、ユーロはドイツの実力以下の価値となります。ドイツ製品にとって通貨切り下げと同じ効果がある。

・ドイツに駐在する商社員の奥さんたちが何に困っているかといえば、ゴミの分別です。ゴミを17種類に分別して捨てないといけない。今はそれが「ゴミ」に向かっているからいいのですが、いつまた「人間」の分別に向かわないとも限りません。

・クリントンの特徴は、よくも悪くも彼女が「ポリティカル・マシーン」だということ。政治についてマネジメント能力に長け、バランス感覚に優れている。裏を返すと、状況をみながら言動や判断を変える。

・エネルギーは原油以外で代替可能ですが、兵器燃料としては石油に代わるものはありません。アメリカが中東から一定量の原油輸入を継続しているのは、戦略物資である自国の原油を温存する狙いがあります。

・軍事ではなく政治で勝とうとする中国人の考え方の源は、どうも春秋時代の思想家・孫武にあるようです。

・「保育園落ちた日本死ね!」母親の心中を汲んだとしても、この感情的な言葉が国会の質疑で取り上げられ、「死ね」という言葉が議事録に残ったのは、憲政史上初めてだと思います。「死ね」は政治の否定であり、考え方の違う人間を削除するという意味では、民主主義の危機でしょう。ついに「ダークサイド」が国会にまで上がってきたのです。



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