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『僕たちの居場所論』 [☆☆]

・身体不調をだらだら訴えることができるメディアって、今までなかったじゃない。だから、僕はツイッターを心身の不調を訴えるメディアとして限定使用しているんだ。

・人生の決断というものは、小さいことは朝から珈琲を飲むか紅茶を飲むかについては十分に悩んでもいいが、人生の大きな決断は瞬間で決めるべきだ。

・昔は日本列島が有縁社会だった。ムラ社会というのは。だから、無縁社会というのがその中にポツポツとできた。縁切り寺ができたり、市場ができたりしたでしょ。グローバリズムになって、全部が無縁社会になっちゃったんで、今度は小さなコミュニティが、本来、あそこは無縁の場所だったんだよ。それが、縁結びの場として逆転して……。

・複数の人間が絶えずランダムに出入りしていて、外から中がよく見える建物が一番警備上は安全なんです。

・僕は本に囲まれて自分の部屋にいる時が一番幸せです。書斎は脳内のレプリカだから。

・アーティストって、どっか褒められたら「このままでいいのか?」っていう葛藤みたいなのが、なんとなくあるじゃないですか。

・博打の才能がある奴っているでしょ。大体、博打で身を滅ぼすわけ。だから、才能は使っちゃダメなんですよ。それに乗っかっちゃったらダメなんですよ。

・デノテーションで相手にわからせるっていうのはフォースでも何でもなくて、積み上げなんですよ。論理をいかに精巧に組み立てるかなんだけど、コノテーションは一発でわかるんですよ。

・禅の公案なんか、みんなそうですよね。わけのわからない「右から入れ」みたいなことを言うわけだけど、それは何かっていうのはわかる人には一発でわかる。それはまぁ、自分の聞きたい言葉がその中にはあるわけですよね。

・子供の教育っていうのは、集団の存続のための最優先事項だから。学校教育が成立しないと、集団は一世代で滅んじゃう。

・集団の存続に不可欠な仕事は「誰でもできる」という条件じゃないといけないんだと思う。教育も医療も裁判も、その気になりさえすれば誰でもできるっていうふうにしておかないと。

・「方違(かたたが)え」という言葉があるが、物事に行き詰ったら場所を変えるという手段は、思っている以上に効果を発揮する。

・無数の要因がフランス革命の原因なんだけれど、それくらい多くの変数を処理できるだけの演算能力のない貧しい知性は、これを「単一の秘密集団」による陰謀だと考える。

・世界の出来事を理解したいのだけれど、頭が悪いから複雑な演算ができない。陰謀史観は、中途半端な知性が陥るピットフォールなんだ。

・排外主義者たちは、グローバルなネットワークは作れないと思う。主な敵は、国内にいる「非国民」たちだから。

・人間には暴力性があり、他人の苦しみを快とする邪悪な側面がある。だから武道があるんだと思う。これは人間の中に潜在している攻撃性や暴力性を適切にリリースするための非常に効果的に設計された装置ではないかという気がするんだ。

・性善説って、ある種、危険な説だと思う。自分の中に他人を抑圧したり、支配したりする欲望があるということを認めない人たちは、善意に基づいて人を傷つけることがあるという可能性をまったく吟味しないでしょう。だから、「いい人」がふるう暴力性って、節度がないんだよ。

・ハラスメントって、相手から送られてくるメッセージをその多様な解釈可能性のうちで「最も不愉快な意味で解釈する」という形で起きているんだよ。

・ハラスメントの被害者になりがちな人ってやっぱりいて、それは人が言った言葉をシステマティックに「自分にとって最も不愉快な意味で解釈する」というタイプの人なんだ。複雑なメッセージを複雑なまま送受信するという能力が欠けている。

・相手のメッセージに自分にとって最も不愉快な解釈を与えることができるという権利を行使すれば、さまざまな場面で相手の表現行為をハラスメントとして告発することが可能になる。

・長男は、集団の中にいても所属はしていないということですか。仕切っているだけで、所属はしていないということですか。

・論破すればするほど結局恨みが募って、結局その人は孤独になっていくだろうと思いますね。

・「型」って、「殻」なんですよ。型の中にいると裸になれるという。その中に入ると、武装解除できる。自分から出るために、型の中に自分をはめ込む。

・機動性の高い人たちが一番強いの。どこにも帰属していなくて、守るべきものを持たず、面倒をみなければならない係累もなく、ひたすら超高速で飛び回っている「ノマド」型の人間が最強なんだ。

・自分の攻撃に対して、まわりにいる人間がひるんだり、おびえたり、恐怖心を持ったりすると、その時だけ自分は「食う側にいる」という一瞬の幻想が見られる。それにすがっているんじゃないのかな。



僕たちの居場所論 (角川新書)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/05/10
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