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『悪癖の科学』 [☆☆]

・人間が生きていることを実感するのは、リスクを選ぶときだ。できればわが身はある程度安全で、なおかつ最大の利益が得られるリスクが望ましい。

・汚い言葉を口にすると、痛みへの耐性が高くなることがわかった。

・インターネットの普及で、オーガズムというきわめて個人的な瞬間の動画がアップロードされ、それを心理学者が閲覧し、分析する。性行為中の表情を、科学的な記録として収集できるようになったのだ。

・依存症は特定の薬物や物質だけでなく、舞い上がるほど楽しい経験が習慣となって起こり、生活や人間関係に支障をきたす。

・酒を一滴も口にしない人から、相当量を飲む人まで飲酒の度合いでグループ分けして追跡調査すると、病気にかかるリスクは両極端のグループが高く、ほどほどに飲酒する人が一番低いという結果が得られる。

・他者の感情や気分を知らないうちに模倣することを、心理学用語で情動感染という。

・アルコール依存症という診断名がアルコール使用障害に切りかわったのも、問題となる飲酒行動に対して、これまでのような生物学的な側面ではなく、心理学的な観点から取り組もうという方向転換なのだ。

・ののしり言葉は強い感情を表現することができるし、説得や苦痛に耐える手段にもなれば、認知症を発見する手がかりにもなる。

・ふだん悪態をたくさんついている人ほど、悪態による痛みの軽減が少ないことがわかったのだ。ふだんの悪態は慎んだほうがいいということ。そうすれば、ここぞという時に威力を発揮してくれる。

・挑戦のハードルが低いと、フロー感覚(楽しさ)も薄まる。そこで考えたいのは、退屈なこともあえてハードルを上げれば楽しくなるのかということだ。

・運転が簡単すぎると感じてスピードを上げるのは、退屈している証拠であり、退屈を紛らわせる手段なのだ。

・スピードの出し過ぎが危険であるという知識を普及させ、同時に運転を面白くする別の方法を考案すれば、楽しさを損なわずに公道の安全性を高めることができる。

・あなたが恋に落ちる相手は、世界に一人だけの運命の人でもなければ、一度見たら忘れられない個性的な美貌の持ち主でもない。ちょくちょく顔を合わせているだけの人なのだ。

・相手に魅力を感じれば、それが恋の第一歩。でもそれは魔法ではなく、単純接触効果のなせるわざだ。

・世界には、パンに飢える人より愛と理解に飢えている人のほうが多い。

・研究結果が一致しないと、科学者としてはがぜん興味をそそられる。そして食い違いの原因を調べていくと、必ずちょっとした差異が見つかる。悪魔は細部に宿るのだ。

・ストレスには二種類ある。ディストレスとユーストレスだ。

・ディストレスについてはすでによく知られていて、その悪影響は心身の健康を蝕むことがある。

・ユーストレスは、ギリシャ語で「良い」という意味の eu に由来するだけあって、好ましい影響を与えてくれる喜ばしいものだし、私たちも積極的に取り込もうとする。

・感情を覚える前に身体が反応する。熊に遭遇したとき、怖いから逃げるのではなく、逃げた後で怖くなるということである。

・困難にぶつかったとき、笑顔をつくる。そうすればディストレスが減ってユーストレスが増え、ストレスからの急速な回復が可能になる。

・科学を学ぶことと科学者になることは天と地ほどの開きがある。前者は過去の発見について知識を得ることで、後者は自ら発見を行なうことだ。

・人生では、どんな問題にも答えが得られるとは限らず、おのれの「絶対的な愚かさ」を突きつけられることも多い。バカな自分をたえず意識させられることに耐えられず、学生から科学者へと飛躍する距離があまりに遠すぎるとあきらめる者もいるのだ。



悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験

悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験

  • 作者: リチャード・スティーヴンズ
  • 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
  • 発売日: 2016/08/29
  • メディア: 単行本



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