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『社会学ウシジマくん』 [☆☆]

・ウシジマくんはフィクションですが、後世、21世紀初期のアンダーグラウンドシーンを活写した資料として、繰り返し参照・言及されていくことでしょう。

・多くの人々が、標準的な家族モデルを目指し、ある程度それが実現できた20世紀から、皆が皆というわけにはいかないことがはっきりとしてきた21世紀へ。

・趣味は「家族」って本気で答えるバカもいるが俺は違う。

・単に学力によってのみではなく、人々が選別されていく場としての学校。

・踊ることだけが目的なのではなく、「地元つながりでたまれる」ことに意義があったのです。

・郷土愛というよりは、やはりそこにしか居場所はないがゆえの、激烈なまでの地元への執着です。

・ASUCは、人気(Attractive)・稀少(Scare)・学歴不問(UnCredentialized)の頭文字をとったもので、具体的には各種デザイナーや、服飾ないし美容関係、音楽・スポーツなどに関わる仕事、タレントやクリエイターなどと称されるさまざまなコンテンツ制作関連の職業……といったあたりになります。

・バカはすぐ子供産むから迷惑です。バカがバカ産んでバカが育てたバカはもっとバカだから。

・家ではずっとテレビをつけてるんだ。他の誰かと同じ番組を観てると思うと安心するんだ。俺は一人じゃないと……。

・ショートメールというのも、懐かしい言葉です。もう私たちは、メールに厳しい字数制限があった時代のことを忘れています(だから、140字内のツイッターが新鮮に思えたのかもしれません)。

・キミ等若いのは10分以内でメールを返すのが友情なんでしょ。

・底つき経験とは、貧困者などへの支援団体の人たちがもっぱら使う言葉で、人はとことん「どん底」まで落ち、そこをいったん潜らないとなかなか浮上のきっかけをつかめない、といった意味のようです。

・監視社会を批判する議論の一方で、現在、「見られていることの不安」以上に「誰からも見られないことへの不安」が広がっている。

・フェミニン(女性的な)に対してマスキュリン(男性的な)、フェミニズムに対してマスキュリニズムとあるように、フェミニズムだけをやたら敵視する物言いは不毛でしょう。

・産業構造の変化、とりわけサービス業や営業職が増加していく中で、人々は自然や機械を相手に働くこと以上に、顧客を相手にする仕事に就くようになります。

・人間相手の職業ですから、仕事をうまく進めるためには、相手の感情とともに自らの感情をコントロールする術も身につけなければなりません。

・人並み以下のクセに人並みに暮らしている、身の程知らずのクズどもに終止符を打つのが……俺達闇金の仕事だ。

・簡単に手に入るものは、大切にできねェ。人と金を粗末にして心がどんどんさもしくなっちまった連中なんだ。

・でもプライドは高く、いったん上げた生活水準も落とせない、だから美人のフーゾク嬢は、闇金のお得意様なのだ……。

・医者は不思議な職業だ。普通はお金をもらったほうが礼を言う。医者はお金をもらって礼を言われる。だから傲慢なんだろうな……。

・会社がリストラ発表すると、株価が上がるっていうじゃんか。それって会社が人件費削って利益が上がるからでしょ?

・病理と決めつけてしまえば、アルコール中毒の当事者は、誰が見ても悪であるものに固執してしまうまったくの「愚か者」か、そうでなければ病気を罹ってしまった「気の毒な人」であり、病の前に「無力である者」ということになってしまいかねません。

・「感情」は、いつの世でも、どんな地域に住む人にでも共通なのではと思われがちですが、感情の表現の仕方や、その感情表出への意味づけは、時代や社会によって千差万別である。

・結局求めているのは誰かとの関係であり、そこでの被承認と自尊の感情を得ることだったのではないでしょうか。

・言っちゃえば大きい生活保護みたいなもんだ。ニート支援、雇用対策なんかで国や自治体が出してる助成金の一つで運営してる。期限は3年。3年以内に自力で運営しなきゃならないが。

・今の時代、くれくればっかりのNPO団体がすごく増えている。助成金をただただ消化するだけでビジネスは回っていない。金を出すのを決める役人なんて自分の居場所が大事だから、ワクが決まればたれ流し。

・儒利亜奈などの名前は、あまり階層が高くなさそうな家庭環境を表すために用いられているのです。

・日本の貯蓄のほとんどを60歳以上のじじばばが抱えてるっつーだろ!? そのくせ年金や税金は働き盛りの若者が払う。こんな不公平が許されていいのか!?

・自分をちゃんと知ってる奴は身分相応に生活すんだろ。無理して相手の合わしてもその場限りだし、無理して着飾っても一瞬の優越感しか味わえねぇ。見栄っ張りの連中は、そんなのが無意味だってのに気付かねーのな。

・夢はあった。たった一度も試した事のない夢。知るのが怖かった……本当の身の丈を知ってしまったら何を支えにすればいい?

・社会のシステムが複雑化し、誰がアリ地獄をこしらえ、その底にいるのかが判然としなくなった時代。そうした中にあって、アリを待ち構えるウスバカゲロウであることを自ら明言・明示している。

・現在の社会に生きる人々には「真の自己(トゥルーセルフ)」などもはやなく、その時その時の役割(ロール)、さらには役割(キャラクター)しか存在しないのではないか。

・大森区と蒲田区が合併して大田区。

・ジェントリフィケーション(gentrification)とは、それまで比較的低所得の層が住んでいた都市中心部(インナーシティ)が、再開発により豊かな階層が流入するなど様変わりすること。

・食べ方の汚さという生活の一つのあり様も「貧困の文化」なのでしょう。

・男は価値が見合えば一千円の物を二千円で買う。女は半値ならなんでも買う。

・お客様の笑顔云々は、感情労働をめぐっての常套句。

・普段の仕草が接客に出るんだ。ホストなら寝てる時も気を配れ! 寝相も格好つけろ!

・秘密の無い人間は偽装しろ。あるフリしてまわりをフリまわせ。

・何者にもなれない虚無感が募ると心が枯れるよね。

・お巡りは、大手の消費者金融で借りると足が付いて、監査部にバレるから闇で借りる。

・銀行員が消費者金融で借りてるの会社にばれたら問題だもんね。

・いい加減な精神科医は3分診察してすぐ薬出す。回転率上げて常連を増やして儲ける為にな。

・パーティジャンキー。仲間意識確認病。パーティで話すのはこの前のパーティの話。一度ハマったら抜け出せねぇ病人(ジャンキー)。

・精神年齢幼児で思った事をなんでも口にするから、大人の友達が一人もいねぇ。

・お金の使い方、管理の仕方で詐病か、本当に苦しんでいる人か分かる。本当に病気の人は絶対、贅沢品買わない。

・性差別をセクシズムというように、老人への差別はエイジズム。

・女を殴る男はサイテーだ。だがな……豚肉を食う時、オスかメスか考えてくわねーよな……精神年齢、人間以下のテメェは豚だ。男も女もねぇ。

・貧困も文化である。



社会学ウシジマくん

社会学ウシジマくん

  • 作者: 難波 功士
  • 出版社/メーカー: 人文書院
  • 発売日: 2013/02/20
  • メディア: 単行本



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