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『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』 [☆☆]

・作者の名前が作品とセットになって伝わっているというのは、中世以前にはなかったことなのですよ。

・絵画とはまず色と形に埋め尽くされた一枚のキャンバスであるということ。

・平面性は日本美術、ひいては日本文化の特徴の一つです。たとえば和服は洋服と違って、立体的に裁断されてはいませんね。

・自然を模倣しすぎてはならない。芸術は一つの抽象なのだ。自然から抽象を引き出しながら創造するのが絵画なのだ。

・モネが生涯に描いた睡蓮の絵は、実に二百点以上。世界中の美術館が所蔵しています。

・観察に徹するというのは難しいこと。人はなまじ頭の回転が速いと、じっくり観察する前から、または観察もしていないうちから、つい「見たつもり」になってしまいがちです。

・絵具をパレットで混ぜたりはせず、原色のまま、細かい筆致で並べていくのです。絵具は、色を混ぜれば混ぜるほど濁って暗くなっていきます。細かいタッチで、原色を必要なだけ適切に並べていけば、色は鮮度を保つようになります。

・あからさまに「泣かせ」の物語を被せられると、かえって何も感じなくなる。

・「フランダースの犬」の主人公ネロが、ひと眼見たいと心から願った絵。それがルーベンスの作品だった。物語に出てくるのは、アントワープ大聖堂の祭壇画「キリスト降架」と「キリスト昇架」です。

・人物描写については、さまざまな年代のモデルをいろんな角度から描いた習作を、あらかじめ用意。それが工房に置いてあり、折に触れて参照するよう指示していました。習作ということは逆に、この絵はすべてのタッチが真筆ということになる。

・エル・グレコは、眼の前にあるものを忠実に写し取るという「写実」の技法だけに飽き足らず、モチーフとした人物が抱いていた感情まで絵画によって表現することをねらっていたようです。いわば、かたちのないものにかたちを与えようとした画家。

・生活の一場面をただ写すだけでは、とうてい絵画作品として認められません。そこにありがたい教えや戒めを含ませて、世のため人のために役立つ絵画にしなければならなかったのですね。

・技術的に高い完成度を目指して、時間をかけて仕上げをしていては、その間に消え去り取り逃がしてしまうものがあるんじゃないか。

・「必要」があるところには、そこにいたる技術が生まれてきます。

・視点が変われば、世界が大きく変わるというのは本当かもしれません。



上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史 (星海社新書)

上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史 (星海社新書)

  • 作者: 山内 宏泰
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/05/24
  • メディア: 新書



タグ:山内宏泰
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