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『なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか』 [☆☆]

・「よいか、悪いか」「好きか、嫌いか」といった感情に左右される思考は「理論」とは呼べない。理論は数字やデータに左右されるべきものだ。

・こうした現象を、合理的な結果には至らなかったという意味で「非合理」と呼ぶ。世界に理不尽はないが、非合理は常に起きている。

・世に流布している「議論」と称されるもののいかに多くが、ロジックとデータを度外視し、感情と願望によってかたちづくられているか、ということに驚くだろう。

・理に合わない主張でも、いってしまえば意向が通る。

・「シェンゲン協定」にもイギリスは入っていない。つまり、EU圏で」自由貿易の恩恵を受けながら、ユーロ圏でもシェンゲン協定圏でもないイギリスは、「いいとこ取り」をしてきた国だった。

・集団的自衛権の行使で戦争のリスクが高まると主張する左派系識者は多い。リスクが高まるといいながら、彼らの口からは具体的な数字は出てこない。これではお花畑論議と五十歩百歩だ。

・戦後処理は古今東西、どこの国も苦労する。なぜなら戦争責任と謝罪が伴うからだ。しかし、欧米には戦争責任も謝罪もなく、敵と味方がともに犠牲者を追悼する和解方式がある。

・中国や韓国が「まず謝罪せよ」という古いタイプの戦後処理方法にこだわり続けているが、これでは「敵と味方」の遺恨が解消されず、戦争の傷痕がいつまでも癒えない。

・感情に左右されない客観的な判断を下すために裁判という制度はある。最高裁まで争って、そこで出た判決が気に入らないから従わないというのなら、もはや民主主義の崩壊である。

・沖縄の米軍基地に配備される海兵隊仕様のオスプレイの事故率は1.93となっている。

・米軍海兵隊の軍用機の事故率の平均値は2.45だ。

・オスプレイは、中型ヘリ「シーナイト」と、大型ヘリ「シースタリオン」の代替機として配備される。事故率は、前者が1.11、後者が4.14である。この二機種がオスプレイと代替されるのであれば、事故のリスクは減少こそすれ、高まることは計算上、起こりえない。

・民主党の蓮舫代表が、「非公式会談ではあるが、首相は説明する義務がある」と放言した。当たり前だが、非公式だから公表しないのである。お互いに情報を漏らさないことが、信頼の約束手形になる。それが外交の肝だ。

・日本のマスコミが為替の変動について報道するときは、「誰かの発言がきっかけで円安に動いた」というレベルの説明ばかりで、為替のメカニズムに言及することはほとんどない。

・銀行は預金量を誇らしげに語る。預金は銀行の負債であり、借金である。一般にはこれが大きいほど大銀行であるので、大きいほど危ないとは思わないはずだ。

・お金をただ金融機関に預けているだけの人と、お金を生むためのビジネスに借金をしてでもチャレンジしようと考える人とでは、どちらを応援した方が日本の経済成長につながるか。

・マスコミの論調は、ヤブ医者の処方箋のようなもので、鵜呑みにすればどんな副作用があるか、わかったものではない。

・金融政策のミスをあげつらっている人たちの多くは、市場関係者である。彼らは思惑で「自らの利益のため」に売買しているだけだ。その行動結果を、「日本経済全体のため」に行なわれている現政権の経済政策を批判するために使ってはならない。

・高齢化が進むということは、長いキャリアを持つ層(=自由競争を戦ってきた人たち)の割合が増えることを意味する。共産主義国でもなければ、年長者間でまったく格差がついていない方が不自然だろう。

・すでにマスコミの浅慮にお気づきかと思うが、「格差の広がり」を強調するために使われているのは「当初所得」の係数値だ。これは企業の力を「売上高」で判断するようなもので、実力を測るなら「収益」に着目しなければなるまい。

・鴨長明の『方丈記』にも「景気」と書かれている。中世から使われていた景気という言葉は、もともと「空気の景色」といった意味で、いまなら「雰囲気」の方が近いだろう。

・一般の人が口にする「景気」というのは、身の回りの半径1メートルの世界で起きている現象だと筆者は考えている。その範囲の外で起きていることは体感できないから、マスコミの情報を頼ることになる。ところが、マスコミ報道も所詮は記者の半径1メートルの中で起きていることばかりだ。

・民主党政権時代、ある一流大学の教授が「今の日本はほぼ完全雇用にある」と言っていたのを思い出す。この教授の発言は、筆者が訂正しておこう。「一流大学教授の半径1メートルでは、ほぼ完全雇用にある」

・2%のインフレ目標も、そもそもの目的は「歯止め」である。本来ならば、インフレ率が2%に達していないことが批判されるのではなく、2%を超えずに失業率を3%程度にまで下げたことをが評価されてもよいくらいだ。

・失業率が構造失業率である2.7%に近づけば、日本の産業全体に人手不足感が出てきて、賃金の上昇を含めた労働条件の改善が進むはずだ。

・ケインズの財政出動と公共投資による景気対策には、「埋めては掘り返す」という表現がしばしば使われ、無駄な事業の代名詞のように扱われてきた。しかし、原文を読めば、そこには「貨幣を詰めた瓶を埋めて掘り返す」と書かれている。

・国税庁が把握している法人数は、約280万社ある。これに対して、日本年金機構が把握している法人数は約200万社である。計算が合わないことは小学生でもわかる。

・豊洲移転反対派が理由に掲げている安全性についても、築地にはアスベスト問題も残っているし、土中には1954年にビキニ環礁での水爆実験で被爆した第五福竜丸が持ち帰った汚染マグロが埋められている。

・基本となる分析法では、「川を下り、海を渡れ」と教えてもらった。「川を上る」とは過去の経緯を調べることで、「海を渡る」とは海外の事例を調べることだ。



なぜ日本だけがこの理不尽な世界で勝者になれるのか

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