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『know』 [☆☆]

・分業の概念の基本に則れば誰でも出来る仕事は能力の低い多数が行ない、能力の高い少数の人間はその人にしかできない仕事をするべきだろう。

・優秀なスタッフはどんな高性能の情報処理装置にも代え難い。

・会議というのは「会って議論する」という間違ったタグを付けられたパーティーを指す。

・それ以前の僕は何の方向づけもなされていない、将来の何かの予備軍でしかない幹細胞みたいな子供の群れの一粒でしかなかったし、それ以降の僕はあの時に生まれたベクトルを一つも裏切ることなくレールの走る通りに生きてきた。

・今思えば、妙な選民意識で会話に加われなかった僕は彼らよりも一段幼かった。

・彼らが考えていたことは「ネットで調べられること」の延長だった。そう思ってしまった時、僕の気持ちはみるみると冷めていった。

・調べれば誰でもすぐに分かる情報だった。ただ一般人にはあまり関係のない世界の話というだけで。

・だけれどその平坦な地平には「価値」が発生しない。株は価格に差があるから市場が生まれる。土地は価格に差があるから利益が生まれる。

・何かを隠そうとするなら紛れさせるのが一番良い。車は出荷台数の多い物が良いし、人も同じだ。中央値(メディアン)でなく最頻値(モード)を選ぶのが正解だ。

・脳は別に最適解を求める装置ではないから、時には遅かったり無意味だったりするメゾ回路も構築されるだろう。そういったものの積み重ねが人間の「個性」に繋がっていくことになるわけだ。

・知ることで二つに分かれるのじゃ。知る前と知る後。知らなかったと知っている。悟るためにはの、「自分が何を知らないのか」を知らなければならない。

・ダンスはシンプルな情報交換手段の一つです。ボディ・ランゲージ、非言語的な会話。特にパーティーダンスはそのコミュニケーションが取りやすい形、踊りやすい形に洗練されていますから。一人が「喋り上手」なら、相手が「口下手」でも問題ありませんよ。

・蓄積された情報を用いて未来を先行して予測する。これが想像力です。情報が多ければ多いほど、より正確に、より多くの未来を予測でします。

・イザナギとイザナミの「イザナ」は「誘う」の変化です。二神とも、我々人間を誘う神なのです。先へ。

・彼らには、犬猫と話しているようなものかもしれないわ。動物を可愛がる時に必死で何かを考えないでしょう? それは当然だわ。動物と話しても会話にならないのだから。頭を動かす必要がない。

・「知る」と「生きる」は同じ現象ですよ。

・周りの物質を取り込んで代謝し、自己組織化し、物理法則に従ってエントロピーを増大させようとする物質を、生命法則に取り込んで秩序立てていく現象。それが生命です。「生きる」とは「物質とエネルギーの自己組織化」の過程を指す概念。

・脳というのは「情報の圧縮器官」なんです。



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