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『日本衆愚社会』 [☆☆]

・苦しい生活が楽になるという目標を掲げているから、労組・自治会は支持されている。それなのにさらに会費まで「搾取」されるのだ。誰も支持しなくなるだろう。

・一般的に言って社会民主主義者は「自由な人民国家」を本気で信じているようだ。それ故、彼らは統治権力が行使する「汚れ仕事」から目を背けている。

・当然のことだと思っている普通選挙制度(1925年成立)も疑ってみる必要がある。だって、日本の軍国主義化、アジア侵略、治安維持法とその強化(最高刑に死刑を含める)は、全部普通選挙以後のことではないか。

・政治教育ゴッコも投票ゴッコも政治理解には何の役にも立たない。お医者さんゴッコが医療理解に何の役にも立たないのと同じなのである。

・「生徒」を広義に使う例は低偏差値大しかない。英語のstudent(学生)とpupil(生徒)もほぼこれに対応している。

・女だからといって家庭に閉じこもっていてはいけないと強く叫ばれたのは戦時中なのだ。戦争こそが女の社会進出を促進したし、これからもそうなのだ。

・政治とは、願望や理念を唱えることではない。それを現実化することだ。そうでなければ、床屋談義、酒場談義と同じである。

・麻薬の蔓延に苦しんだのはフィリピンだけではない。清朝末期の支那も同じである。これを憂え憤った林則徐はアヘン業者を処刑しアヘンを焼き捨てた。これは「違法」であるため、イギリス軍によって制裁を受けた。アヘン戦争である。

・レーニンはアヴェナリウスの難解で大部の主著『純粋経験批判』をわずか三日で読了したことになっている。読了というより放棄である。

・土人とは土着の人、土地の人の意味であるから、日本人同士でも使われる。「土着」という言葉を知らない無知な輩が「土に汚れた人」の意味だと「差別認定」して騒いでいるのだ。

・共産党は20世紀まで「韓国」という名称は使わず、必ず地域名として「南朝鮮」と呼んでいた。朝鮮半島の正統な国家は北朝鮮であり、南朝鮮にあるのは米軍に後押しされた傀儡国家だ、というわけである。

・Liberte、Egalite、Fraternite 初めの二つは「自由」「平等」と訳され、それで正しい。しかし、三つ目は「博愛」ではない、博愛なら原語はPhilanthropieのはずだ。最近は「友愛」とするようだが、これもおかしい。友愛なら原語はAmitieだろう。Fraterniteは、血縁のない他人なのに兄弟のように睦み合うという意味である。日本語では普通これを「義兄弟」という。自由・平等・義兄弟。これがフランス革命の三標語なのだ。

・義務教育の義務とは、国が国民を教育する義務のことだと、馬鹿な主張をする連中が現れた。愚劣の極みである。義務教育は別名を「強制教育」と言う。国民が強制的に教育を受ける義務があることに決まっている。

・馬鹿な連中は、義務教育の無償化徹底も叫んだ。これらは彼らが思っている以上に正しい。刑務所は受刑者から部屋代も取らないし食費も取らない。これと同じことである。国家は国民に何かを強制する以上、極限まで無償化すべきである。

・「百姓」は農民を意味する差別語だから抹殺するということらしいが、私はこれは「たくさんの姓」すなわち庶民ということだと思う。



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