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『読書という荒野』 [☆☆]

・出版とは虚業である。人の精神という目に見えないものを、商品に変えて流通させ、それを何億もの金に変える商売だ。

・無理なことをしなければ、鮮やかな結果など出ない。ほぼ勝つに決まっているところで勝負して勝ったところで、鮮やかとは言えない。

・鮮やかな結果が百、千と重なったときに、その人は伝説になる。

・各地の山々を放浪しながら、狩猟採集によって生活をしていた「サンカ」と呼ばれる人々だ。実は昭和時代まで、こうした人々が実際に日本に存在していた。そしてサンカは、定住民である一般の人々からは忌み嫌われていた。

・感想こそ人間関係の最初の一歩である。結局、相手を関係を切り結ぼうと思ったら、その人のやっている仕事に対して、感想を言わなければ駄目なのだ。しかも「よかったですよ」「面白かった」程度では感想とは言えない。その感想が、仕事をしている本人も気づいていないことを気づかせたり、次の仕事の示唆となるような刺激を与えたりしなければいけない。

・1枚の絨毯ができるのに、30年から50年かかることもあるという。つまりペルシャ絨毯は一人の女性の一生を吸い取って、美しく織り上がるのだ。

・文学作品は想像力が現実を凌駕しなければ意味がない。リアリティのある「極端」が必要なのだ。極端に貧しいか、極端に豊かなものからしか、人の心を揺さぶる表現は出てこない。

・大物作家と若い世代を押さえると、中間にいる作家たちは向こうから声をかけてきてくれる。一度こうした好循環に入ると、編集者としては無敵である。

・どんな社会も差別構造を持っているが、その差別はどこから来るかといえば、僕の考えでは「自然=時間=季節」から来る。季節があるから行事が生まれ、役割が決まり、それが差別を作り、物語を生むという構造だ。

・ミッドナイト・エクスプレスとは、トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの間の隠語である。脱獄することを、ミッドナイト・エクスプレスに乗る、と言ったのだ。つまり「深夜特急」とは、自分の人生から脱獄するたびのことを指す。

・旅の本質とは「自分の貨幣と言語が通用しない場所に行く」という点にある。貨幣と言語は、これまでの自分が築き上げてきたものにほかならない。

・困難を突破する答えは、スマートフォンで検索すると出てくるように錯覚しがちだ。しかしそうして出てきた答えが、自分の人生を前に進めることはない。

・吉田松陰の「かくすれば かくなるものと 知りながら やむにやまれぬ 大和魂」

・夢や希望を語るのは簡単だ。語り始めたら、自分が薄っぺらになる。野心も同じだ。



読書という荒野 (NewsPicks Book)

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  • 作者: 見城 徹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/06/06
  • メディア: 単行本



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  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2018/06/05
  • メディア: Kindle版



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