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『0円で生きる』 [☆☆]

・贈り物とお返しが繰り返され、人々はつながりを深めながら生活に必要な物を賄っていた。

・贈与は物やお金を贈ることを指すが、手紙のやり取り、助け合い、招く・招かれる、世話をする・されるといった贈与とは見なされない行為も、これと同じ構造を持っている。

・世界に最も広く知られた共有主義といえば、社会体制としての「共産主義」になるだろう。共産主義の共産とは「共有財産」のことだ。

・50年代のアメリカではすでに、耐久消費財の市場は飽和状態を迎えていた。つまり必要なものは大方の人に行き渡っていた。そこで売る側が考えた戦略のひとつは、元々家庭などで共有されていたものを、ひとりにひとつ以上持たせることだった。

・現在の先進資本主義諸国で起きている脱所有の流れは、私有が行きつくところまで行きつき、物が溢れかえり、人々がこの先もさらに物を生産することに違和感を持つようになった結果だ。

・日本は、膨大なエネルギーを費やして運んだ食品を、大量に捨てている。しかもその原因が、いい加減に管理したせいでダメにしているわけではなく、逆に万一の事故を心配し厳しく管理しすぎるがゆえに、大量の食品を捨てる羽目になっている。いかにもこの国らしい過ちと言えるだろう。

・ヨーロッパでは中世から近世にかけて、収穫後の農地や果樹園を、共同体の老人、夫を亡くした妻、孤児、病気の人などに開放し、残された農作物を自由に拾わせた。ミレーの有名な絵『落穂拾い』に描かれているのは、その農園で働く人ではなく、その地域の貧しい人たちということになる。

・オルタナティブな世界や経済を作るうえで大事なのは、中心になって運動を推進する大きな組織ではない。自発的な小さなグループがたくさんあることのほうが理想的なのだ。

・現在では、田植えも稲刈りも機械化が進んでひとつの家族でできる仕事となり、屋根は葺き替えのいらない瓦やトタン屋根となった。ユイはその必要性を失った。

・村社会には、近代社会が尊重した「個人の自由」というものを積極的に認めようとする傾向はあまり感じられない。多くの人は、このような人間集団の中で生きていくのがきつかったのだ。

・霊園の中を歩いていると、霊園は公園よりはるかに静かであることがわかる。人気も建物もなく、空が広々としていてとても穏やかな気分になる。

・贈与には3つの種類がある。ひとつは「お返しの必要な贈与」。そしてお返しができる時にはお返しをするのが望ましいとされる「お返しの期待される贈与」。最後に、ありがとうというお礼の言葉を言うだけでいい「お返しのいらない贈与」の3つだ。



0円で生きる: 小さくても豊かな経済の作り方

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  • 作者: 鶴見 済
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/12/18
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