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『瞬間説得 その気にさせる究極の方法』 [☆☆]

・私たちが説得されるか否かは、五つの要素によって決まります。単純性(シンプリシティ)、私的利益感(パシーブド・セルフ・インタレスト)、意外性(インコングルティ)、自信(コンフィデンス)、そして共感(エンパシー)です。この五つの要素(頭文字をつなげるとスパイス(SPICE)となる)を混ぜ合わせた影響力のカクテルは、絶大な効き目があります。

・一つは現代人の使う、音のある、不透明な言葉。もう一つは太古にさかのぼる、音のない、しぐさという深い言葉です。

・平均してサイコパスは、一般人ほどまばたきの回数が多くありません。彼らが人の気力を奪い、催眠術にかけるような雰囲気を身につけているのは、生理的な異常性を備えているからです。

・アイ・コンタクトは共感を構成する欠かせない要素でもある。イラクの平和維持軍で、兵士の多くがサングラスをしている部隊では、目を露出している者の割合が多い部隊に比べて、精神不安定を訴えるケースが多く、また死者も増えると報告されている。

・人が肖像画を見るとき、関心を持つのは常に目の部分だということがわかりました。でも、なぜでしょう? この疑問に対する説明の一つに、生存本能に関係するというものがあります。目そのものに魅力があるわけではなく、目の見ている方向が重要だと言うのです。人間の進化の過程で、視線が突然特定の場所に定まることは、脅威が迫っているという強力な合図として働いたはずです。

・自閉症の幼児は、目ではなく口の部分に注意を向ける。自閉症の人は、成長するにつれて、認知の面でも情緒的感覚の面でも見る能力を欠くようになります。

・視線を合わせる能力がないと、どのような結果がもたらされるか。他人の視線を追う能力がなければ、つまり、他人が見ているものに関する最も基本的な情報が集められなければ、どうしたら他人が実際に自分と視野を持っていることを理解できるでしょう。こうした基本的な個人の違いを心に描けなければ、どうしたら人の希望、恐れ、意図や動機を見抜けるでしょうか?

・オークションで低価格から始めれば、より多くの人を引きつけます。言いかえれば、商品をより魅力的に見せ、入札者を増やします。彼らはさらに高い値を付けることによって、商品への投資額を増やすだけでなく、感情的な消費も増やしていきます。

・情報を与える順序次第で、人の考え方は変化する。

・買ったものが突然クズだと気づいたからでもありません。それは、買ったものがクズだと、みんなに知られたことに突然気づいたからでした。

・突然のキャンセル率が30パーセントあたりを上下していました。彼は一つ手を打っただけでそれを10パーセントに下げました。これまで予約係は客が予約の電話をしてくると、こう言っていました。「ご予定が変わりましたらお電話ください」変更後はこうしました。「どうしてもご予定が変わるようでしたら、お電話いただけますでしょうか?」そう言った後、相手の返事を待ったのです。指示から質問に変え、きわめて重要な沈黙をプラスしました。それだけで問題がかなり解消されたのです。客は質問に「はい」と答えることで、心理的な予定表を心に焼きつけます。

・成功した政治家は、大衆が考えていることをしょっちゅう一番大きな声で言っている。

・偏見を持つ個人が集まって人種問題を議論すると、彼らの態度はさらに頑なになり、偏見が強まります。一方、あまり偏見を持たない人たちが集まると、より寛容になります。

・少数派、負け犬たち。物事を「一風変わった見方」で見る人たちです。

・説得というと、私たちはたいてい複雑でなければならないという幻想を抱いています。そうではありません。頭の中で繰り返し再現される記憶しやすい曲のように、最も効果的な影響力は単純なものです。

・ロックバンドのオアシスが、機器の故障でステージを中止しなければならなくなりました。個別に送られた小切手はリアムとノエルが個人的にサインしたもので、変わった「バーネイジ銀行というロゴが入っていました。バンドの広報担当者が言いました。「現金化することはできます。でも、珍しい小切手ですから、かなりの人がそのまま持っていると思いますよ」

・説得力とは、99パーセントの自信(コンフィデンス)と1パーセントの偶然の符号(コインシデンス)からできているんだ。

・男性におけるサイコパスの出現率は約1~3パーセントなのに対して、女性では約0.5~1パーセント。

・感情なんて……めめしい人間のものだ。

・単独テーマで分類される妄想には、カプグラ症候群(自分に一番近い人が、実はそっくりの外見を持つ替え玉だと思い込む妄想)、コタール症候群(自分が死んでいるという妄想)、フレゴリの錯覚(変装した正体不明の人たちにつきまとわれる妄想)などがあります。

・すべての信念には強さの度合いがあり、その分布があります。スケールの一方の極は「堅固」であり、対極には「軟弱」があります。

・励ましや報酬、あるいは日常的な社会的影響を与えるといった説得ではありません。脳に自信を打ち込むという説得法です。人の頭の中で、内在的自己認識の一構成要素を別の構成要素へ転換させることによって「その気にさせた」わけです。

・脳は最初に信じ、それから評価し、熟考するのではないでしょうか? 私たちが取り入れる見方は、論理的に考えた帰結ではなく、逆に私たちが論理的に退けられない見方なのではないでしょうか?

・脳の懐疑抗体の生産が操業停止に陥り、ある程度の時間があれば、人はどんな情報のウイルスでも繁殖を許し、足場を築かせてしまう。

・信念が脳の「一つの状態」だとしたら、脳の状態を変化させることによって、理論的には信念を変えることが可能です。

・裁判の勝ち負けは事実の強弱によって決まるわけではない。印象によるんだ。暗示の力によって多くのことが達成される。ただ証拠を見せるだけじゃなく、いかに証拠を見せるかだからね。

・認知的に不自由な人が引き起こす気まぐれのせいで、この世の生活には永遠に大量の失敗やヘマやバカな間違いが起こります。



瞬間説得 その気にさせる究極の方法

瞬間説得 その気にさせる究極の方法

  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2011/06/23
  • メディア: 単行本



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