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『国家と教養』 [☆☆]

・「何もない」を「0がある」と達観したインド人の勝利だったのです。

・ヨーロッパは長い中世の時代、無教養どころか、読み書き計算すらできない無知蒙昧の地だったのです。

・どの国も、口先では人道とか正義とか平等を唱えながら、あくまで国益を優先します。

・現在でもヨーロッパでは、「大戦争(The Great War)」と言えば第二次ではなく、より多くの死者を出した第一次大戦のことです。

・ユーモアを生むには、いったん自らを今ある状況から一歩だけ退き、永遠の光の中で俯瞰するということが必要です。これは現況への没入を忌避するということであり、バランス感覚につながります。

・イギリス人は「他人と違うことは格好いい」という文化がありますが、これは自分が付和雷同していない、バランス感覚を保っているという証拠だから格好いいのです。

・ヒットラーがまず手がけたのは、自分達に近い政見を持つこれら政党を一つずつ壊滅させることでした。自分たちに近い政党とはとりあえず手を組み、敵対的な政党を潰しにかかるのが普通なのに、まず近い政党を壊滅させるというのですから、すでに天才的政略家です。

・周囲に一見論理的であるけれど現実や本質をよく見ないで、口角泡を飛ばす人々をよく見かけました。彼等を「ロジカル・イディオット(論理的バカ)」と呼んでいました。

・アメリカやフランスにロジカル・イディオットが多いのに対し、ドイツにはロマンチック・イディオットがが多いと思います。何か美しい原理や原則に陶酔すると、バランス感覚を失い、突っ走ってしまうのです。

・ハル・ノートを書いたのは、財務次官補という要職にあったハリー・ホワイトでした。1995年に公開されたソ連の暗号解読文書(ヴェノナ文書)によると、彼は歴然としたソ連のスパイでした。

・幾多の教養層の人々が戦後、「私は騙されていた」と語りました。しかし教養層ともあろう人は、新聞を飾る戦争宣伝文句の嘘に気付くだけの政治常識や軍事常識を持たねばならなかったのです。

・手塚治虫はこう言いました。「君たち、漫画から漫画の勉強をするのはやめなさい。一流の映画を見ろ、一流の音楽を聴け、一流の芝居を見ろ、一流の本を読め、そしてそれから自分の世界を作れ」。

・実生活において、論理などというものは吹けば飛ぶようなものです。人を殺してはいけない論理も、人を殺してよい論理も、少しでも頭のいい人ならいくらでも見つけることができます。

・現代社会の病の本質は、世界的規模での民主主義の浸透に、各国国民の教養がついていっていない、という不合理にあったのです。

・ドン・キホーテは読書により紳士になった。そして読んだ内容をそのまま信じたため狂人となった。



国家と教養 (新潮新書)

国家と教養 (新潮新書)

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: 新書



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