認知症の親の介護に困らない「家族信託」の本-資産凍結、その前にしておくべきお金の対策- [☆☆]
・その口座からは実家の光熱費や固定資産税なども自動引き落としになっていました。「すべての取引」が停止されると、それも止まってしまいます。
・裁判所は弁護士や司法書士など親族以外の専門家を後見人として選任するケースが多くなりました。その理由は、法定後見人となった親族の「使い込み」があまりに多いことです。
・東京や千葉などの都市部では、預貯金が500万円程度あれば専門家が後見人に選ばれます。家族が「凍結を解除したい」と思う場合、それぐらいの財産はあるでしょう。
・しかし後見人が選ばれても、親族が財産を思い通りに使えるわけではありません。実のところ、これは親族にとって、むしろ「凍結の第二段階」だと思った方がいいでしょう。
・例えば東京家庭裁判所が選んだ後見人の場合、通常の事務に対する基本報酬額は毎月2万円。年間24万円の計算になります。
・財産が1000万~5000万あれば月額3~4万円、財産が5000万円超なら月額5~6万円程度。「赤の他人」に親の財産を管理された上に、その財産がどんどん目減りしていくわけです。
・地方によっても、報酬は異なります。後見人を引き受ける専門家の少ない地方ほど、高額になる傾向があるのです。管理する財産が4000万円程度なのに、毎月8万円の報酬を取られている人もいます。4000万円の財産が年間100万円近いペースで減っていくのですから、家族としては気が気ではないでしょう。
・面倒を避けるには、早めに保険金の受取人を配偶者から子に切り替えておいた方がいいでしょう。
・まず、財産がどれくらいあるのかを知りたくて家族が本人の財産状況を開示するように求めても、後見人にその義務はありません。財産のチェックは裁判所の役割。開示を断られても。家族は文句を言えません。
・見ず知らずの相手に、頭を下げて「生活費を下さい」とお願いしなければいけなくなった人もいます。しかも裁判所が決めた後見人は、家族にとってどんなに不愉快な人でも、解任することができません。
・避けるには、認知症になって凍結される前に手を打たなければいけません。その段階なら、「任意後見制度」と「家族信託」という二つの手段が使えます。
・「赤の他人」が家に土足で踏み込んでくるような事態を招かず、本人や家族がお互いの支え合うために財産を使えるようにするには、早いうちに準備をしなければいけません。
・任意後見人は、まだ本人が意思を伝えられるうちに、自ら選んでおくものです。
・財産を「箱に入ったケーキ」だと思ってください。実際に値打ちのある「おいしい部分」はケーキで、法律上の「名義」はそれを入れる箱です。例えばAさんが財産の「所有権」そのものをBさんに譲る場合、箱に入ったケーキを丸ごと渡すことになります。これは「贈与」になり、税金がかかってしまいます。しかし家族信託では、ケーキだけ箱から出してAさん(委託者兼受益者)の手元に置いておき、空っぽの箱だけをBさん(受託者)に渡すことができます。
・税務署がみているのは箱を持っている名義人ではありません。課税対象はあくまでも財産そのもの。誰がケーキを持っているかをみます。ケーキそのものが贈与されない限り、贈与税はかかりません。
・大陸法の特徴を一言でいうなら「ガチガチの法律」ということになるでしょう。決めたルールは条文の言葉通り厳格に運用されるべきだという考え方です。一方の英米法は、とりあえずルールは決めるけれども、実際の運用は現実の裁判を通してどんどん変えていけばよい、という考え方。多くの判例を積み重ねることで、現実のルールが作られていくわけです。
・まず、預貯金が凍結されるかどうかは、認知症の診断書があるかどうかとは関係ありません。あくまでも、銀行の窓口で本人の意思確認ができるかどうかが判断基準です。たとえ認知症の診断を受けていても、症状の程度が軽く、コミュニケーションを取ることさえできれば、ふつうは問題ありません。
・民法には次のような規定があります。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」つまり、親子はお互いに扶養義務があるので、子どもが親の面倒を見るのは当然のこと、という意味です。
・最終的には高齢者自身の「自覚」ではないでしょうか。これだけ認知症患者が増え、広く社会問題にもなっているのですから、「自分だけは認知症とは無縁だ」などと考えるのは間違っています。
・裁判所は弁護士や司法書士など親族以外の専門家を後見人として選任するケースが多くなりました。その理由は、法定後見人となった親族の「使い込み」があまりに多いことです。
・東京や千葉などの都市部では、預貯金が500万円程度あれば専門家が後見人に選ばれます。家族が「凍結を解除したい」と思う場合、それぐらいの財産はあるでしょう。
・しかし後見人が選ばれても、親族が財産を思い通りに使えるわけではありません。実のところ、これは親族にとって、むしろ「凍結の第二段階」だと思った方がいいでしょう。
・例えば東京家庭裁判所が選んだ後見人の場合、通常の事務に対する基本報酬額は毎月2万円。年間24万円の計算になります。
・財産が1000万~5000万あれば月額3~4万円、財産が5000万円超なら月額5~6万円程度。「赤の他人」に親の財産を管理された上に、その財産がどんどん目減りしていくわけです。
・地方によっても、報酬は異なります。後見人を引き受ける専門家の少ない地方ほど、高額になる傾向があるのです。管理する財産が4000万円程度なのに、毎月8万円の報酬を取られている人もいます。4000万円の財産が年間100万円近いペースで減っていくのですから、家族としては気が気ではないでしょう。
・面倒を避けるには、早めに保険金の受取人を配偶者から子に切り替えておいた方がいいでしょう。
・まず、財産がどれくらいあるのかを知りたくて家族が本人の財産状況を開示するように求めても、後見人にその義務はありません。財産のチェックは裁判所の役割。開示を断られても。家族は文句を言えません。
・見ず知らずの相手に、頭を下げて「生活費を下さい」とお願いしなければいけなくなった人もいます。しかも裁判所が決めた後見人は、家族にとってどんなに不愉快な人でも、解任することができません。
・避けるには、認知症になって凍結される前に手を打たなければいけません。その段階なら、「任意後見制度」と「家族信託」という二つの手段が使えます。
・「赤の他人」が家に土足で踏み込んでくるような事態を招かず、本人や家族がお互いの支え合うために財産を使えるようにするには、早いうちに準備をしなければいけません。
・任意後見人は、まだ本人が意思を伝えられるうちに、自ら選んでおくものです。
・財産を「箱に入ったケーキ」だと思ってください。実際に値打ちのある「おいしい部分」はケーキで、法律上の「名義」はそれを入れる箱です。例えばAさんが財産の「所有権」そのものをBさんに譲る場合、箱に入ったケーキを丸ごと渡すことになります。これは「贈与」になり、税金がかかってしまいます。しかし家族信託では、ケーキだけ箱から出してAさん(委託者兼受益者)の手元に置いておき、空っぽの箱だけをBさん(受託者)に渡すことができます。
・税務署がみているのは箱を持っている名義人ではありません。課税対象はあくまでも財産そのもの。誰がケーキを持っているかをみます。ケーキそのものが贈与されない限り、贈与税はかかりません。
・大陸法の特徴を一言でいうなら「ガチガチの法律」ということになるでしょう。決めたルールは条文の言葉通り厳格に運用されるべきだという考え方です。一方の英米法は、とりあえずルールは決めるけれども、実際の運用は現実の裁判を通してどんどん変えていけばよい、という考え方。多くの判例を積み重ねることで、現実のルールが作られていくわけです。
・まず、預貯金が凍結されるかどうかは、認知症の診断書があるかどうかとは関係ありません。あくまでも、銀行の窓口で本人の意思確認ができるかどうかが判断基準です。たとえ認知症の診断を受けていても、症状の程度が軽く、コミュニケーションを取ることさえできれば、ふつうは問題ありません。
・民法には次のような規定があります。「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」つまり、親子はお互いに扶養義務があるので、子どもが親の面倒を見るのは当然のこと、という意味です。
・最終的には高齢者自身の「自覚」ではないでしょうか。これだけ認知症患者が増え、広く社会問題にもなっているのですから、「自分だけは認知症とは無縁だ」などと考えるのは間違っています。
認知症の親の介護に困らない「家族信託」の本 資産凍結、その前にしておくべきお金の対策
- 作者: 杉谷 範子
- 出版社/メーカー: 大和出版
- 発売日: 2018/07/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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