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『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』 [☆☆]

・80代90代の認知症の人に年齢を聞くと、自分のことを40代、あるいはもっと若く答える方もいます。これは、今いる場所・日付・時間の把握が苦手になる「見当識障害」のせいで、自分の正しい年齢がわからなくなってしまうためです。

・何度も言ったり聞いたりするのは短期記憶の障害が本当の原因ではありません。「ちゃんと覚えていたい」「週に迷惑をかけたくない」という、人として当然の気持ちの表れです。

・同じことを聞かれても、「私が覚えておくから大丈夫よ」と言えば、本人の安心につながることも考えられます。

・男性の場合、働き盛りだった30~40代に戻るケースが多いようですが、これは、認知症による不安を解消するために、自分がはっきりわかる時代や、元気で充実していた古きよき時期に戻るのではないかと推測されています。

・認知症の人は過去の世界に戻っている場合があり、女性なら、自分が子育てをしていた20~40代に戻っていることが多く、中には10代にまで戻ってしまうケースもあります。

・大切な物ほど、「ここなら安心」と特別な場所にしまうので、ソファーやベッドのすきま、タンスや引き出しの奥など、めったにしまわないようなところにも目を配って探してみてください。

・財布が小銭でパンパンに膨れたり、家のあちこちに小銭が置いてあったりしたら、失計算に悩んでいるサインです。

・私たちの会話が早送り(2倍速以上)で聞こえているといわれています。認知症の人に話を伝えるときは、私たちが普通に話すスピードでは理解できないことがあるので、まずはゆっくりと話すことが原則です。

・認知症になると、「覚える」「覚えつづける」「思い出す」ことが苦手になり、「忘れたくない」という気持ちが強くなり、「大切なことを覚えていたい」「あのことを忘れていないだろうか」と心の内で葛藤し、周囲に注意を向けることが難しくなります。

・周囲をキョロキョロと見ていたり、ソワソワしたり、イライラしたりしているときは、認知症の人が不安を抱えているサインです。

・元気だった人に突然、認知症の症状が現れたら、脳血管障害を疑いましょう。認知症は多くの場合、何年もかけて徐々に認知機能が低下していき、やがて発症に至るのが一般的です。しかし、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害(脳卒中)が起こると、ある日突然、認知症のような症状が現れたり悪化したりします。

・間違いを正すよりも、まずは感謝を伝えてあげてください。

・ゆり子さんにとって、書道は「自分らしさ」に大きく関係したのだと思います。特技や趣味、信条などは、人生観や自尊心、アイデンティティ(自己同一性)と深く結びついています。こうしたことが奪われると、意欲が低下して抑うつ症状を招き、認知所が急速に進む可能性も考えられます。

・認知症が進むと、物事を覚えるのが困難になり、ついさっき話したことさえすぐに忘れてしまうようになります。そのため、認知症が進んだ人とのコミュニケーションでは、毎日、顔を合わせるたびに「初めまして」と声をかける気持ちで接するのが望ましいのです。

・漠然と「大丈夫ですか」と声掛けするのは、実はよくありません。というのも、かえって「自分は大丈夫ではないのだろうか」と不安を感じさせてしまうからです。

・視力が低下すれば、眼鏡などで矯正できます。足腰が衰えれば、杖をついたりバスやタクシーなどの公共機関を利用したりします。認知症の人は「覚える」「わかる」ことが苦手になっているので、そうしたことをみなで少しずつサポートできるようになれば、認知症の人でも生涯、自分らしく生活できる社会になるはずです。

・私は、安心できる人が寄り添う「人薬(ひとぐすり)」こそが、認知症には最も効くと信じているのです。



マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界 (健康実用)

マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界 (健康実用)

  • 出版社/メーカー: 文響社
  • 発売日: 2021/04/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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