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『養老先生のさかさま人間学』 [☆☆]

・我慢しているのを気づかれないように我慢するのが忍で、耐は我慢が周囲にわかってしまってもいいわけです。「痛い、痛い」と騒いで我慢するなら「耐える」ですが、何も言わないでじっと我慢するのは「忍ぶ」でしょうね。

・何事もそうですが「良い」「悪い」はそれを測るモノサシによります。

・世間には「正解」が好きな人が多いことは分かっています。でも世の中には正解がないことも多いんですよ。

・どうすれば本気で学ぶんでしょうか。学ばなきゃ、死んじゃう。そういうときです。安全安心な環境って、そういう意味では学ぶ態度をつくりません。ぼんやりしていても、平気ですからね。

・感情を上手に言葉にするのは難しい。だから詩歌や文学があるんですね。

・皮膚の温度が高くなるとどうなるのか。温度が上がると、化学反応の速度も上がります。皮膚も同じように、温度が低いときには起きなかった反応が起こる可能性が出てきます。羽が生えたのは、そんなところに理由があるのかもしれません。

・学校では「問題」があって「答え」を出す。研究はその逆さまなことをしないとダメなんだ。「答え」を見て「問題」を探る。

・酵素のように、物を分解する働きを持つタンパクは、水の中で立体構造、つまり分子の形を変えます。酵素として働くために、その形が重要なのです。

・水に溶ける物と、溶けない物があります。水に溶けない物は、生き物にあまり影響を与えません。物理的にしか影響しないからです。毒は水に溶けるから毒なんです。つまり毒の分子が水の中で働くわけです。

・英国にカモメの卵の殻の厚さを毎年測っていた人がいたそうです。何の役に立つのか、本人も分からなかったと思います。でもDDTという殺虫剤が使われるようになり、鳥が減って来て、それがDDTの影響だったと判明する大切な記録になったといいます。

・細胞が分裂するときには、「中心体」という構造が働き、そこから「紡錘糸」がのびてきます。この中心体もミトコンドリアと同じように、別な生き物だったらしいのです。でも今では私たちの細胞には欠くことのできない一部になっています。

・世界が変わるのではありません。自分が変わると、世界が違って見えるのです。

・世界は見慣れたものばかり。実はそれは、自分自身が変わっていないということでもあるのです。つまり、自分が育っていないということです。

・論語では「これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」といっています。好きでやっているつもりでも、楽しんでいなければ、どこかに無理がきてしまいます。体を壊すとか、周囲の人に心配をかけるとか。

・「ちょうどいい」は難しい。世間が偏っているときは、自分は普通と思っていても偏って見られます。「普通」は世間の標準だからです。

・大人になったら、結局は自分で決めなければいけません。「誰かに言われたからこうした」と言っても、通用しません。

・戦前の社会が正しくないとはいえ、戦後社会が全て正しいかといえば、そうではありません。私は既に、戦後の個人尊重の価値観が行き過ぎていると感じています。

・「勉強したって退屈だ」と思う生徒がずいぶんいるのではないかと思います。退屈だと思うのは、学んで自分が変わったという経験がないからです。それは、本当は学んだことになりません。



養老先生のさかさま人間学 (ZouSan Books)

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  • 出版社/メーカー: ミチコーポレーション
  • 発売日: 2021/05/26
  • メディア: 単行本



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