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『おいしいふ~せん』

・ゆすらんめのジャムです。ソーダで割るとゆすらんめジュースになります。

・あんずの実は、とても気持ちよく半分に割れる。中におとなしく入っている種から、杏仁豆腐の粉が取れることはよく知られている。

・暮らしがつまらなくなっている。便利って、おばけみたい。そっと私から、何かを消していく。

・「おみおつけの実は一品」というのが、父のやり方だった。「いくつも入れるのは、品がない」許されるのは、油揚げにねぎの小口切り、または、豆腐にねぎの小口切りのみ。三色おみおつけは、ご法度なのだ。

・遠い昔のことで、「……のような気がする」としか言えない。

・思いは叶わなかったけど、遂げられなかった思い出は、遂げられた思い出よりずっと大きく心に残っている。

・「柿の皮は金持ちぬむかせ、梨の皮は貧乏人にむかせよ」という言葉を、子どものころに聞いたことがある。柿の皮は厚くむくと渋みがなく甘い。だから余裕のあるお金持ちに。梨はぎりぎりのところが一番おいしいから、貧乏人に、ということらしい。ずいぶん露骨な表現だけど……。

・加齢のせいでしょ。物事はこの言葉で、万事おわりになる。

・頭で考えたものが、いつも体と仲良くなれるとは限らない。その時、その時、動く心に従ってみるのもいいのでは。

・蓮を輪切りにすると、旅の気配がちょっぴり漂う。蒸気機関車の車輪を思いうかべてしまうのだ。

・私は「キャベツだけサラダ」をつくるようになった。キャベツをごくごく細くせん切りにして、ちぎったのりとおかかをかけ、ごま油としょうゆをかける。



おいしいふ~せん

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  • 作者: 角野 栄子
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2023/11/07
  • メディア: 単行本



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