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『金持ちが確実に世界を支配する方法』 [☆☆]

・人間が生存できるとされる気温の幅は驚くばかりである。パキスタンからシベリアまで、その差は摂氏113度に及ぶ。

・企業側のコストは削減できるだろうが、いったい誰に何を売ろうというのか。資本主義には顧客が必要である。中国をはじめとする新興諸国といえども、国内の文無しの国民の代わりを務めることはできない。

・トルコの犯罪組織の口利きに誘い込まれ、送り込まれる移民は、ギリシャでは根絶されていた結核のような疾病を持ち込んでくる。

・金融業界に広がる「群れ行動」は、よく知られている。米国有数の銀行家の一人はいみじくもこう言っている。「音楽が鳴っている限り、踊らなくてはならない」。

・2011年末には、1000万件が差し押さえられ、同数の世帯が見捨てられた。

・融資基準に達しない、経済的に不安定な世帯に対して組まれた住宅ローンにリスクがあるなら、同じようなリスクのある住宅ローンを何千も束にしてデリバティブとし、輪切りにして売ったものがどうして「安全」であり得ようか。

・過去を忘れてしまう者は、過去の二の舞をする運命にある。

・イギリスの金融セクターの雇用者は労働者全体の4パーセントであるが、ボーナス全額の40パーセントを手にしている。

・彼らは依然としてただ突っ立って「用意」しているだけで、一歩も踏み出していない。

・米国でもヨーロッパでも、税金が高く、累進性も高かった時代を通じて、雇用創出は今より活発だった。

・ある国に企業が投資するのは、生活の質全般、良好な公共サービス、そして教育を受けた、生産性の高い、健康な労働力を利用するためであって、税率は主な理由ではない。

・アイルランドは、「ケルトの虎」時代の当初こそ、12.5パーセントという法人税率で成功を収めていたが、これほど税率が低くても、デル・コンピュータなどの主要企業がこのエメラルドの島より東欧の方が芝生が青いと見て投資を引き上げるのを食い止めることはできなかった。

・投資は現在では、大部分がさらなる金融商品の購入に向けられ、雇用創出産業の設備、特に消費財を生産する工場には回されない。

・「専門家」はあらゆる機会を捉えて、富裕層減税イコール投資増イコール雇用増と際限なく繰り返す。証拠は何も示さない。ないからである。

・出版は妨害してはならない。検閲によって注目や論争を呼ぶべきではない。書店を占領して資本主義的生活様式を礼賛する「ベストセラー」を書けばよい。

・人権に関する長大なリストは「サンタクロースへのお手紙」と大して違わない。

・目標とは、どれほど想像力をたくましくしたところで、「権利」にはならない。

・世界人権宣言と両規約が挙げているのは目標なのだが、それを得る権利があるというような話を吹き込まれれば、不健全な影響が生じる。

・目標を権利のごとく扱えば、人は当然のように権利を要求し、義務を引き受けなくなる。

・権利を語る言葉は、義務を誰か他の人に巧妙に押し付けるものである。私が欲しいもの、必要なものをすべて手に入れられないのはあなたのせいだ。それは、私が当然受けられてしかるべきものなのだ、と。

・有効なのは、断言する、繰り返す、自信たっぷりに提示するといった周知のテクニックのみである。

・共和党は、「組合員」や「組合活動家」ではなく、常に「組合ゴロ」という言い方をする。こういう言葉は頭に染み付いていく。有利に事を運ぶには、機先を制して名づける機会を決して逃さないことである。

・概念を定義し、ターゲットに名前をつけ、言葉遣いを決定する者こそが世論を取り込む戦いを制する。

・法とは理想的には純然たる「禁止法」に限るとした方概念である。法の役割は、何をすべきかではなく、何をすべきでないかを規定することにある。

・個人は、立法者によって一部の行為の禁止が宣言される場合を除き、立法者も含めた自分以外の誰の意思からも自由である。

・大統領が誰であれ、最終的に物を言うのは、企業の収益率と労働者に対する勝利であり、政治よりも経済が優先するだろう。

・ヨーロッパは「民主主義の行き過ぎ」に苦しめられており、市井の人々にヨーロッパの問題にやたらと首を突っ込むのをやめさせるときが来たのである。

・「3つのS」戦略とは、「知らせず(Secrecy)・水面下で(Stealth)・すばやく(Speed)」である。

・タブロイド新聞の言葉の暴力は、底辺では人々の怒りを煽り、頂点ではニーチェ的な強者による弱者の排除に加担する。

・人がおそらくは生来的にもつ公平意識を軽んじる、傍若無人な振舞いをする、自信過剰になるといったことは重大な誤りであり、多大な害をもたらしかねない。

・正しいということと、自分の立場を声高に主張することは別である。黙って静かにしていれば同じ成果が得られるのに、どうして論争や憤りを巻き起こす必要があろうか。

・ほんの少しの繊細さがあれば多くの成果が得られる。「知らせるに・水面下で・すばやく」の「3つのS」戦略にもう1つのS、「繊細さ(Subtlety)」を付け加えることを提言したい。

・需要と供給の法則は当然のこととして受け入れられてきた。商品やサービスの価格が上がれば、需要が下がる。しかし、他では不変のこの法則が当てはまらない重要領域がある──金融という最重要領域である。この領域では、Xという金融商品の価格が上がると、買い手が群れをなして押し寄せ、価格は上がり続ける。

・些細なことで不必要に欲張らないことである。

・互いに敵対する要素を潜在的に抱えている勢力の間に、フロイトが「小さな差異のナルシシズム」と呼んだものを醸成して、彼らをばらばらで断片的なままにしておくことが重要である。

・社会学的に見て、人が「自分のほしいものを見つける」のはインターネット上ではなく、他者とかかわり、共通のものの見方をつくりあげていくからに他ならない。

・大して生産も消費もしない、莫大な数の不要・余剰人口が、現在、物理的にも社会的にも環境面でも、過大な場所を占めているということが共通認識になるべきである。そうした人口は地球への重荷であり、何も貢献せずに経済や社会にコストと負担をかけている。

・市場の目的とは、価値を生み、それによって利益を生むようにすることである。雇用は、資本主義経済活動の副産物であり、たまたま生じるものにすぎない。

・世界中を福祉国家にするなど夢のまた夢である。たまたま地球上に姿を現した人なら誰かれかまわず、できもしない絵空事を約束する「人権」などもってのほかである。

・19世紀、富裕層は、「価値のある」貧困層と「価値のない」貧困層を区別していた。

・大規模な土地集中が起こり、分益小作人や小作人が追い出された。トラクターの方が仕事がはかどる上に、収穫の分け前を要求しないからである。

・米国の産業の衰退はといえば、『フィナンシャルタイムズ』紙の指標からは証明できない。全業種合わせた上位50社のうち、ちょうど半分が米国企業である。

・「すべては自分のために」という誘惑は捨て去るべきであり、「すべて現状のままであって欲しいなら、すべてが変わる必要がある」という知恵を受け入れること。

・啓蒙主義の時代を通じて、歴史上、米国でもヨーロッパでも、戦争、植民地主義、貧困の蔓延、ジェノサイドといった多くの暴虐が起こった。



金持ちが確実に世界を支配する方法――1%による1%のための勝利戦略

金持ちが確実に世界を支配する方法――1%による1%のための勝利戦略

  • 作者: スーザン・ジョージ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/09/26
  • メディア: 単行本



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