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『サイコパス』 [☆☆]

・サイコパスについて「感謝祭のディナーで七面鳥を切るときに感じるわくわくした気持ちで、被害者を拷問したり切り刻んだりする」と形容しています。

・普通に見える、あるいは普通以上に真面目で「いい人」であるかのように装う能力を持っているのがサイコパス。

・心拍数がもともと低く、しかも上がりにくい人の方が、反社会的な行動を取りやすいという、正の強い相関関係が示されている。

・モラルに反する行動をする時(あるいは、これからしようとする時)、一般の人間は心拍数が上がります。心拍数が上がると、不安感情が喚起され、パニック状態になったりします。そのシグナルによって「こんなことをしてはいけない」と感じ、その行動を反省したり、中止したりします。

・心拍数の低い人間は、一般人と同じような感じ方ができない。したがって相手への共感性に乏しく、反社会的な行為へのハードルが低くなる。

・心拍数が低い状態とは、脳の覚醒レベルが低い状態であるとも言えます。

・サイコパスは道徳によって判断することはありません。「合理的なのだから、それが正しい」と考えます。そう答えることによって、自分がまわりからどんなバッシングを受けるかは、予測する能力を持ちません。

・博愛主義者とは、特定少数の人間に対して深い愛着を築けないサイコパスなのかもしれません。

・脳科学や神経科学の研究者は「遺伝的な要素が大きい」と判断しがちであり、社会学者や教育学者は「後天的な要素が大きい」と判断しがちな傾向があります。

・家庭生活が安定していようと不安定であろうと、サイコパスが最初に姿を現すのはほぼ14歳であり、健全な家庭に育ってもサイコパスの場合は環境が歯止めにならない。

・戦場でためらいなく敵兵を殺せるのは100人に1人か2人しかいないそうです。

・戦場では、自分が殺されるかもしれない状況でも迷いなく落ち着いて敵を攻撃することができ、味方の悲惨な死体を見ても心理的なダメージを負わない人物が勇敢な英雄として讃えられてきました。そういう人間は、おそらくはサイコパスでしょう。

・サイコパスの特性を考えると、面接ばかりを重視した採用試験や大学のAO入試には、問題があるといわざるをえません。過剰に魅力的で、確信をもって堂々とした話しぶりをするサイコパスばかりが通る試験になりかねないからです。

・MENSAは「人口上位2%の知能を持つ人間のみが入会できる」ことを謳っています。しかし、たかだか50人に1人程度の知能で天才であるとは、ちょっと言いすぎではないでしょうか。

・何かを信じたら、そのまま信じたことに従い、自分で意思決定しない方が、脳に負担がかからず、ラクなのです。たとえば、宗教を信じている人の方が、そうでない人よりも幸福度が高いというエビデンスもあります。

・サイコパスは、「信じたい」という、人間の認知のセキュリティホールともいえる弱点を、巧みに突く生存戦略を取っている存在とも言えます。

・精神分析も人間学的心理療法も日本では根強い人気があります。しかし、犯罪抑止に効果が実証されているのは、認知行動療法のみです。



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