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『ドーナツ経済学が世界を救う』 [☆☆]

・革命の成功のためには、従来の説の誤りを指摘することも必要だが、それ以上に、新しい説を打ち出すことが欠かせない。

・目の前にある現実と闘っても、ものごとは変えられない。何かを変えたいなら、新しいモデルを築いて、既存のモデルを時代遅れにすることだ。

・2050年の市民たちは現在、1950年の教科書に基づいた経済学の考え方を教わっている。しかもその1950年の教科書は1850年の経済理論に基づいている。

・従来の支配的なフレームを批判するだけでは、皮肉な話だが、かえってその支配を強めることにしかならない。大体のフレームを持たないかぎり、古い考えに勝つことはおろか、闘いを挑むこともできない。

・米国の保守派がよく使う言葉に「税の軽減」がある。この短いたった二語で、税に「苦痛の種だ」、「救世主によって取り除かれるべき重荷だ」というフレームを与えることができてしまう。

・進歩派に何より必要なのは、二語のキャッチフレーズ、自分たちの考えを要約し、敵に対抗できる簡潔なフレームだ。

・人類が地球に及ぼす影響がそれほど大きくなってしまった結果、私たちはついに完新世をあとにし、「人新世」という未知の時代に足を踏み入れるに至った。人間活動によってできた初めての地質時代だ。

・今、世界的に中流層が急増している。それらの人々の欲するライフスタイルしだいで、私たちが地球環境の許容限界内に留まれるかどうかは大きく変わってくるだろう。

・黒幕を知りたければ、お金の動きを追えばいい。選挙運動の資金源をたどっていけば、その候補者の政策が誰の意向によるものなのかを突き止められる。

・ブラック・ショールズモデルの正確さがしだいに増したのは、トレーダーたちがその理論があたかも正しいかのように行動し始め、そのモデルの予測価格を自分たちの売買価格の基準として使うようになったからだったのだ。

・「集めやすい」大学生の行動は、世界の大半の人々の行動とはかなり違うことが明らかになった。それはきっと大学生たちが──世界の大多数と違って──WEIRD(ウィアド)と呼ばれる社会に暮らしているせいだろう。つまり西洋の(Western)、教育が普及し(Educated)、工業化が進み(Industrialised)、豊かで(Rich)、民主的(Democratic)な社会だ。

・私たちはまったく見ず知らずの人間たちによって、動かされ、心を形成され、好みを決められ、考えを吹き込まれている。世論を支配しているのは、そのように私たちを操っている人間たちだ。

・人を引きつける秘訣は、商品自体の長所(大きいとか、速いとか、優れているとか)を宣伝することではなく、商品を自由や力など、人々の間に深く根ざした価値観を結びつけることにある。

・次の10の価値観がすべての文化に見られる基本的な価値観であることを突き止めた。自決、刺激、快楽、達成、勢力、安全、調和、伝統、善行、普遍主義。

・上位1パーセントに入らない人々がますます収入以上の生活をしている。経済のトリクルダウン効果が幻想だとしても、行動のトリクルダウン効果はまぎれもない現実だ。

・野良犬も「Champ(王者)」と呼ばれるのと、「Scamp(ならず者)」と呼ばれるのでは、アルファベット一文字の違いだが、世界からの見られ方は全然違ってくる。

・お金が介入すると、それらの社会規範が労力への対価とか遵守への報酬とかいう市場規範に取って代わられてしまう。現金を払うと、元からある意欲やその意欲を支えていた価値観が損なわれる。

・「消費者」と呼ばれた回答者は、「個人」と呼ばれた回答者に比べ、行動を起こそうとする責任感も、他者を信頼する気持ちも弱かった。自分たちを消費者と考えるだけで、自己中心的な態度が生まれ、団結できず、分裂してしまうようだ。

・副産物などというものはない。あるのは産物だけだ。副産物という概念があること自体、私たちの思考モデルの視野が狭すぎること、考慮に入れる時間の幅が短すぎることを示すものだ。

・「機械脳」から「庭園脳」に考え方を転換するためには、ものごとは自動的に調節されるという考えを改めて、ものごとは管理しなくては調整できないことに気づく必要がある。

・庭師の仕事は、自然に任せることではなく、自然を世話することだ。庭師が植物を育成させるわけではない。しかし植物が育成できる環境を築いて、庭ですべきことをとすべきでないことの判断を下すのは、庭師だ。

・何が問題かとは誰でも問う。しかしそれだけでなく、次のことも問おう。どのようにここへ至ったのか? これからどこへ向おうとしているのか? 今もうまく機能している部分はあるか? あればそれはどこか?

・「痛みなくして、得るものなし」。これはボディビルダーの世界でもっとも有名な言葉だ。

・完璧な循環型経済なるものは永久機関と同類のファンタジーに属する。

・自分の考えが本物かどうかを知るためには、一度、自分の考えを変えてみるのが一番いい。

・ペルセウスは怪物メデューサの姿を直接見てはいけないことを知っていた。たぶん、未来の経済成長について考える時の教訓がそこにある。

・指数関数を理解できないことは、人類の最大の欠陥だ。なぜならもし指数関数的に増えるものがあった場合──池の藻であれ、銀行への負債であれ、一国のエネルギーの使用量であれ──それは私たちの予想よりもはるかに急速に増えるからだ。

・10パーセントの成長率は、7年で大きさが倍になることを意味する。3パーセントの成長率というと、微々たる数字に感じられるが、それでも23年で倍増をもたらす。GDPの成長にこれを当てはめたら、どうなるか?

・人にものごとを理解させるのは難しい。それを理解したところで給料は上がらないときは。

・石油1ガロンに含まれるエネルギーは、人間の肉体労働の47日分に相当する。したがって現在の石油産出量は、何十億人もの見えない奴隷の1日の仕事量に匹敵する。

・ヨーロッパの商人がもっと多くの毛皮を売ってもらおうと思い、毛皮を買い取る単価を引き上げたところ、クリーの人々は逆に、交易場に持ち込む毛皮の数を減らしてしまった。なぜか? 自分たちに必要なものを買うにはそれだけの数の毛皮を売れば、十分だったからだ。

・幸せを増進することが証明されている5つの行動を抽出した。以下がその5つだ。(1)周囲の人とつながる。(2)体をよく動かす。(3)世界に関心を持つ。(4)新しい技能を身につける。(5)他者に与える。



ドーナツ経済学が世界を救う

ドーナツ経済学が世界を救う

  • 作者: ケイト ラワース
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/02/10
  • メディア: 単行本



ドーナツ経済学が世界を救う 人類と地球のためのパラダイムシフト

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/02/14
  • メディア: Kindle版



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