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『ボクたちのBL論』 [☆☆]

・「壁ドン」と同じく「BL」は近い将来、知る必要のない人間たちに消費されていく言葉となる。無理解に消費され、「これがお前の好きなBLってやつだろう?」的ないじられかたをされていく。

・BLとは日本人女性が作り出した知的遊戯です。

・彼女たちが欲しいのは答えではなくヒントなんです。彼女たちは材料さえあれば、それをもとに料理する腕があるんです。というより、そもそも料理すること自体が好きなんです。

・毎週の連載を骨の髄まで愉しみ尽くすには、「この後どうなるんだろう」以上に、「今出てないあいつはどうしてるんだ」という想像力が必須なわけですよね。まさに「余白」の愉しみなわけです。

・「萌え」は突き詰めると個人的なものになっていかざるをえないので、どんなに共感し合える仲間とも、最終的には「違う」となる。

・これだけあるとみんなが観るアニメはもう出てこないって言われてたんですよ、2011年の『魔法少女まどか☆マギカ』までは。

・「寝癖かわいい」なんておかしいという意見をよく聞きます。向こうの人には、cuteとかprettyっていう言葉しかない。「人の隙を愛でる」みたいな考えを「かわいい」って表現すること自体ありえないんです。

・「ものの隙」、言いかえれば「余白」や「未完成性」、「省略」ということになりますが、それを愛でることの総体が「かわいい」とか「萌え」なのかな。

・一般論として、女性は同調や似た者同士での仲良しの感じを大切にします。もちろんそうじゃないって女性の方もいるかと思いますが、そういう方は女性コミュニティでは少し息苦しい思いをしているかもしれない。

・女性が男性同士の友情が「なんなのか分からない関係」を全て「恋愛という関係」に置き換える作業が「腐る」という知的遊戯なんだと考えました。

・任侠映画とBLが相性がいいのは、絆を描いているからなんでしょうね。

・「知る」ことが「その人を好きになる」ことと結構、関連付けられてるんです。なので、「知らないことがある→それを知れる喜び→好き」っていう描かれ方がすごく多い。

・みんなが騒いだり手をつけてるものには興味ない、っていうひねくれ体質が、未開発の土地を耕すクリエイティビティにもなっている。

・おいしそうな「友情」をみつけたら、「恋愛」に調理しちゃう、「友情グルメ」なんですよ。BL好きな人は、本当、いろんな友情も全部恋愛という概念に包括しちゃっていくんじゃないかな。

・BLって女性が基本的に描いているじゃないですか。そうするとBLにおける「受け」の愛撫のされ方は……。いつも自分がされてる感じ! そう。実は「私、こうされると好き」を描いているのかもしれない。

・俺がMというよりは、気を遣ってほしくないんです。正直で、天真爛漫がいいんです。悪意や嘘がないから。

・違いに大きいも小さいもない、「違う」っていうことがもう大きんですよ。

・ほどよい調合の余白なんですよ。たまに出てこないキャラがいたりとか、それに対して一切説明がなかったりだとか。だから、全てを説明しないことはやっぱりおもしろい作品の条件なのかもしれないし、あと押しつけないことがグッとくるひとつの要素なのかなって感じですね。

・テレビ見てても、街歩いてても「気になったこと」っていうのはもう妄想の第一歩なんですよね。「あれ? なんでこうなってるんだ?」っていう。

・天才が努力とチャンスに目覚めた瞬間に全然敵わない相手になる。

・愛ってなんなのかということを考えたら、その人のことを考えている時間のことだと思う。「好き」だけじゃなくて、すげえ嫌いとか、腹立つわとか、なんとかしてあいつを倒したいとか。そういう、相手のことを考える時間も全部を愛と解釈しています。

・福山の付き合う相手が「私ではない」から腹立ってるんじゃなくて、「<私のイメージした福山>なら選ぶだろう相手」と違うから腹立ってるということなんだろうなという気がしていて。



ボクたちのBL論 (河出文庫 さ 41-1)

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  • 作者: サンキュータツオ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/11/03
  • メディア: 文庫



ボクたちのBL論 (河出文庫)

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  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/11/06
  • メディア: Kindle版



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『イシューを探せ!』 [☆☆]

・ウチの会社は立派な計画・中途半端な実行・悲惨な結果です。

・生まれたのは成果物(読み物としての資料)であって、成果(具体的な果実)ではないと言われても、二の句が継げない。

・「改革」をテーブルの上に乗せて会議室の中で甲論乙駁している最中、業務オペレーションの現場では小さな改善が積み重ねられており、実はそちらこそが成果に他ならない。

・人間が介在する議論は常に「で、どうしようか?」から始まる。「まずさ、今どうなってんの?」との違いは明白であろう。

・where to go よりも How to go の議論をせよと言いたい。

・人間はそもそも「与えられたもの」よりも「自ら獲得したもの」を大切にする。ならばその支援をすべきだ。答えを「与える」よりも、「自ら獲得した気にさせる」方がずっと賢い。

・利用シーンに視点を移し、「どれだけ売れるか」ではなく「どれだけ使われるかをビジネスのバロメーターににしようとしている。

・相手方の言い分を聞いてやろう、という気持ちがなくなったら、もうその人の負けである。



イシューを探せ! ――なぜモノづくり企業はイノベーションのジレンマから逃れられないのか?

イシューを探せ! ――なぜモノづくり企業はイノベーションのジレンマから逃れられないのか?

  • 作者: 田中 陽一
  • 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
  • 発売日: 2018/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



イシューを探せ!――なぜモノづくり企業はイノベーションのジレンマから逃れられないのか?

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  • 発売日: 2018/11/09
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タグ:田中陽一
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『こころ動かす経済学』 [☆☆]

・日本文化の根底には「和をもって貴しとなす」の考え方があります。本来は、人の意見を聞いて認め合うという意味で、単に仲良くするということではありません。

・経済学の道徳論で、「正義」の徳が「機会の平等」を求めるとすれば、「善行」の徳は「結果の平等」を促します。

・他人の苦しみや悲しみは、当事者の境遇がつらく苦しいものであればあるほど、第三者の共感を得にくい傾向がります。

・富裕層なら「善行」で対応できますが、多くの人は「善行」をする資産もなく「見て見ぬふり」となります。

・19世紀後半以降になると、思想家たちは自由主義から社会主義までの多様な立場に立って、「正義」と「善行」を分けて考えることから決別します。

・自由競争の正義を信じる人は分配の正義を拒否し、反対に分配の誠意を信じる人は競争の正義を拒否する傾向があります。

・今でこそ、日本人は欧米人に比べて清潔で働きすぎといわれていますが、明治時代に留学から帰国した津田梅子は、だらしがなく、昼間から仕事もせずに怠けている、と日本人を評しました。

・お金より心という人はたいがい金持ちなんですよね。

・いつも空腹の人は、おなかいっぱい食べるだけで幸せを感じます。けれど、毎日十分食べている人は、満腹になっただけでは満足できません。「おいしいものを食べた」など、社会的に評価される食事でなければ幸福を感じません。

・ペットは自分が必要であることを確認させてくれる存在です。世話し続けることで幸福を感じるのです。

・彼らは自分の不幸を埋め合わせるために、他人の不幸を望みます。

・おもてなしでは、客がサービスのルールをあらかじめ了解した上で、提供側の能力や技能を評価・鑑賞するのです。この遊びの精神がおもてなしの特徴です。

・一般にリスクと不確実性は似た意味で使われますが、経済学では確率で表せる事柄をリスク、表せない事柄を不確実性といいます。



こころ動かす経済学

こころ動かす経済学

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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