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『逆転交渉術 まずは「ノー」を引き出せ』 [☆☆]

・交渉ごとをどれだけ数学的論理で飾り立てても、私たちも結局は動物であり、心の奥底にある、つかみどころのない漠然とした恐怖や要求、認識、欲望にもとづいて行動したり反応したりする。

・通説とは異なり、傾聴は受動的活動ではない。あなたにできるもっとも能動的な行為なのである。

・交渉とは誰かを威嚇したり苦しめたりすることではない。人間社会が形成される元となった感情のゲームに参加するだけのことだ。

・交渉を言い争いと捉える人たちの場合、自分を圧倒するのは己の頭の中の声である。話をしていないときには自分の意見について考えていて、話しているときには意見を戦わせている。

・言語によるコミュニケーションでは、声が最大の力となる。自分の声を使って意図的に他人の頭の中に手を伸ばし、感情のスイッチを切り替えることが可能になる。

・すぐれた聞き手は、話し手がこれから言おうとしていることを口に出す前に、予想することさえできた。

・共感とは相手側にいい顔をしたり、同意したりすることではない。相手を理解することである。

・強い感情を表している顔の写真を見せられたとき、脳では恐怖を引き起こす部分である扁桃体の活動が活発になるのを発見した。だが、感情にラベリングする──恐怖に理性的な言葉を当てはめる――ことで、生々しい緊迫感が断ち切られるのである。

・ネガティブな事柄に対処する最善の方法は、それに反応せず批判もせず、観察することだという研究結果がある。そこから、ネガティブな感情のひとつひとつに意識的にラベリングをし、それをポジティブで思いやりのある、解決策をふまえた思考に置き換えるのである。

・多くの人がはまる落とし穴は、他の人が言ったことを文字通りに受け取ってしまうことだ。

・「ノー」は現状を維持するための、とりわけ一時的な決定であることが多い。変化は恐いが、「ノー」はその怖さから多少は守ってくれる。

・交渉の初めから「ノー」と言う許可を相手に与えるよう、読者に助言している。キャンプはそれを「拒否する権利」と呼ぶ。そして、人は「ノー」と言う権利を守るためには死ぬまで戦うため、その権利を与えておけば、交渉の環境はすぐに建設的、協力的になると述べている。

・交渉の世界では、優しさだけでは裏目に出ることがある。優しさが策略として使われると、誠意がなく人の心を弄ぶことになる。

・「ノー」と言うことで、言った人間は安全と備え、主体性が確保されたと感じる。「ノー」という答えを引き出す質問を使えば、相手はあなたをはねつけたことで、主導権を握っているのは自分だと証明できた気になる。すぐれた交渉者は、相手が引き込まれ、考えを巡らせている証拠として、きっぱりとした「ノー」から始めることを歓迎する。仕向けさえする。

・ある女性が、夫にスーツに合わせて黒い靴を履いてもらいたいと思っている。ところが夫はそうしたがらない。茶色の靴の方が好きだからだ。では、どうしたらいいだろうか。二人は譲歩し合い、中間まで歩み寄る。するとどうなるかというと、夫は片方に黒の、もう片方に茶色の靴を履く。これが最善の結果だろうか?

・有害な取引をするくらいなら、取引をしない方がいい。

・すぐれたベビーシッターが売っているものとは、いったい何だろうか。それは子供の世話そのものではなく、リラックスできる夜だ。

・「なぜ」で始まる質問はしない。「なぜ」はどんな言語でも、必ず非難の言葉になる。

・驚くほど高い割合で、交渉は金銭ではない何か――多くの場合は自尊心や地位など、財政上の困窮以外の問題によって左右される。

・概して嘘をつく人は、事実を言う人よりも多くの言葉を使い、三人称の代名詞をはるかに多く使うことを発見した。「わたし」よりもむしろ「彼、彼女、それ、そのもの、彼ら、彼らのもの」について話をはじめ、自分自身と嘘の間にある程度の距離をとろうとした。

・嘘をつく人たちは疑い深い相手を論破しようと、より複雑な文章で話す傾向があることも突きとめた。研究者らはこれを「ピノッキオ効果」と名付けた。ちょうどピノッキオの鼻のように、嘘とともに言葉の数が伸びていったからだ。

・何よりもまず、話を聞いてもらいたがる。聞いてもらいたいだけでなく、自分の話をとことん聞いてもらったと思うまでは、相手の話を聞く能力がないといっていい。

・誘拐事件で影響力を持っているのは誰だろう。ほとんどの人は犯人がすべての影響力を持っていると考える。犯人が売りつけようとしている商品には、何人の買い手がいるだろうか。買い手がたった一人しかいないのに、どんなビジネスが成功するというのだろう。

・もし交渉が破綻したら、その瞬間にどちらがより多くを失うと感じるかを、交渉者としては常に意識しておくべきだ。より多くを失うと感じ、その損失をより恐れる方の側は、持っている影響力が少なく、逆もまた同じである。影響力を得るためには、取引が頓挫したら、相手には現実に失うものがあると信じ込ませることだ。

・運命の分かれ道が現れるのは、筋の通らない何か「いかれている」ものを見たり聞いたりしたときなのだ。

・自問してみよう。「私たちにはほとんどタダ同然でできることで、相手から何がもらえるだろうか?」


逆転交渉術――まずは「ノー」を引き出せ

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  • 作者: クリス ヴォス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2018/06/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



逆転交渉術 まずは「ノー」を引き出せ (早川書房)

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