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『ツイッターと催涙ガス』 [☆☆]

・フェイスブックがアラビア語版を公開してから約1年後の2020年末にかけて、アラブ世界における事態は、誰の目にも明らかなほど熱を帯びてきた。

・活動家は、急な事態にも十分な役割を果たせるよう、抗議活動や目立った反対意見がない普段から、活動家であることを継続していなければならない。

・微妙で複雑な議論が、毒のある過剰な単純化に圧倒されてしまったのである。

・我々が住む世界のマスメディアは、もはや営利企業や政府が運営し、機能が集中する拠点があり、少数の編集者だけが関わるマスメディアではない。

・画面に出てくるのは料理番組、娯楽番組、全然関係ない話をしゃべり続ける司会者、現実のニュースはどこにもない。

・ある古い諺は、「釘がないから」国が滅びると戒めている。これは依存の連鎖を表した諺で、蹄鉄の釘がないから馬が走れない。馬が走れないから騎士が乗れない、伝令が届かない、戦いができない、そして王国は滅びる。

・メンションは自分のツイートにその人のユーザー名をつけることによって、直接フォローされていない人に話しかける一般的な方法である。

・なぜ、多くの抗議キャンプに図書室が設置されるのか? ニューヨークのズコッティ公園のオキュパイ参加者は、図書室を立ち上げた。それは世界中の他の占拠キャンプ地でも同じだった。

・参加者の間には、グループを代表して決定を下す権限を持つリーダーがいないことは好ましいのだという、広く共有された信念があった。ゲジ公園である女性が、自分に代わって意思決定する権力者がいないと知った時の気分を、「新鮮な空気を吸うような気分だった」と表現した。

・ハッシュタグが集合的アイデンティティを構築・拡大することを助ける。

・新しいアルゴリズムは、ハードウェアが全く変わらなくても、我々ができることを変える。同じネットワークとコンピュータで異なるプログラムを実行すれば、全く違うことができる。

・ツイッターの特徴のひとつであるハッシュタグは、様々な話題について人を集めることができ、社会運動の中で非常に多用され、ハッシュタグ名で呼ばれる運動もたくさんある。

・全世界の活動家やジャーナリストにとって、マクドナルドやスターバックスは、日常的に充電やWi-Fiを求めていく場所である。

・テレビ放送なら何が報道されて、何が報道されていないか、誰でも監視することができる。しかし、アルゴリズムによって個別化されたフィードや検索結果は、個々のユーザーにしか見えていない。

・他人の個人情報をネット上で晒す「ドキシング」行為による嫌がらせも、しばしば行われる。自宅の住所から乗っ取られた個人のメールアドレスまで、本人の意図に反して公開されてしまう。

・規模と匿名性が合わさると、言論の自由の行使の障害に関する我々の理解自体を変えてしまうのだ。

・警官による殺害の発生率は、過去十年で(そのもっと前と比較しても)特に大きく増加はしていない。しかし、デジタル技術に支えられたある運動のおかげで、警官による殺害に対する注目の量には大きな変化があった。

・メディアの報道は、大きな抗議活動の中の少数のグループだけを取り上げ、本質的な問題の議論をもみ消すようになっていった。

・検閲は、情報を遮断することだと考える人も多い。が、地球上の人口よりも携帯電話の契約数が多い時代にあっては、時代遅れの考えである。

・現在のネットワーク化された公共圏では、情報が多すぎ、迅速かつ効率的に信憑性を確かめる方法がないため、混乱とごまかしを助長する目的で、意図的に虚実まぜこぜで情報過多を作り出せば、情報を効果的に抹殺できる。

・大方の予想とは違い、中国政府の検閲は、国や共産党に対する批判は削除していなかった。研究から明らかなのは、政府が速やかに削除するのは、集団行動を促す可能性のある投稿だということだった。

・定期的な選挙や自由な報道のない硬直した力の構造には多数の盲点があり、安定したコースから大きく外れても検知する方法がほとんどない。上層部のこの視野の狭さこそ、権威主義的政権が突然の反乱に対して脆いことの原因の一部であるともいえる。

・注目がなければ、情報はほとんど意味がない。

・人々はより自分に近い側を「犠牲者」として表している物語や写真を信じ、政治的に反対の意見を持つ人たちの被害を否定した。

・混乱と疑惑は、権力者とそれに挑戦する運動とでは、受ける影響が違う。根本的に非対称だからである。社会運動は、本質的に、変化を生み出そうと行動を呼びかけるが、疑惑は現状を存続させる無為無策につながる。

・世界が裏側ですべて首尾よく操られているなら、何をわざわざ?

・お金が無くなったら、銀行から1万ドル借りればいい。それは当人の問題だ。もし100億ドル借りているなら、それは銀行の問題だ。

・活字と印刷機の発明によって、カトリック教会は、企画化された贖宥状の大量生産が可能になり、文字通りお金を印刷するのに近い状況が生まれた。

・世界には、10年前には電気が来ていなかったのに、今は子供でも携帯電話を持っている地域がある。あいかわらず電気は来ていないか、来ても時々だというのに。

・テクノロジーは善でも悪でもない。中立でもない。

・「言葉のぞんざいさは、我々が愚かな考えを持つことをたやすくする」のである。



ツイッターと催涙ガス ネット時代の政治運動における強さと脆さ (ele-king books)

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  • 作者: ゼイナップ トゥフェックチー
  • 出版社/メーカー: Pヴァイン
  • 発売日: 2018/10/17
  • メディア: 単行本



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