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『遅刻してくれて、ありがとう』 [☆☆]

・前の時代には、歴史を創るには軍隊が必要だったし、歴史を記録するには映画スタジオか新聞が必要だった。公表には出版社が必要だった。今では誰でもキーボードを叩くだけで、歴史を創れる。

・センサーやソフトウェアで何ができるかを学ぶだけでは、十分ではない。センサーやソフトウェアでできることを、変えていかなければならない。

・21世紀には、すべての答えを知っていることが秀でた知力だとは見なされなくなるだろう──それよりも、適切な質問をすべて投じられる能力が、非凡な才能を示す尺度になるだろう。

・アメリカには、平均13分しか使われていない電動ドリルが8000万台あります。みんな自分のドリルが、本当に必要なんでしょうか?

・もう「恵まれない環境」というものはなくなりました。必要なのはちゃんと動く頭脳と短期間の訓練だけで、世界のどこにいても、自分のアイデアを素晴らしいビジネスにすることができます。

・低所得層の人々がますます力をつけるようになって、ミドルクラス並みに考え、行動し、人間の安全保障、尊厳、公民権を要求している。

・北京であった物乞いの多くは、地元企業やスタートアップ企業に金で雇われ、QRコードを宣伝し、通りすがりの人間にスキャンさせるように仕向けられているのだという。スキャンによって企業は人々のウィーチャットIDごとのユーザー・データを収集できる。

・もっと安定していた時期には、貴重なことを学べば、その知識から無限大に価値を生み出すことができると安心し、のんびりすることができた。今はそうはいかない。今成功するには、新しい知識の適切なフローに加わり、知識のストックをたえず新たなものに更新しなければならない。

・それを製造するよりも輸送する方がコストも時間もかかる。

・それ以外の世界は、ヨーロッパによって発見され、植民され、征服された時に歴史の主流に加わった。

・一部の文化、社会、個人は、未知の人間と接触し、彼らから学び、最善のものを統合し、他は無視するような素地ができている。それ以外の脆弱な文化、社会、個人は、そういう接触によって脅かされるか、自分たちの文化の方が優れていると思っていたのに、順応して他者から学ばなければならないことに屈辱をおぼえる。

・あなたかあなたのお子さんが難病の時、フェイスブックができる前は、孤独でどうすればいいのかわかりませんでした。いまではすぐに、同じ経験をしているグループの支えを見つけられます。

・レイプのような大規模な社会問題について聞くと、たいがいの人間は反対だというが、何かの手を打つことはめったにありません。しかし、直接の影響を被った個人の物語を伝えて、変革のための運動に参加する機会を与えると、たいがいすぐさま反応して行動を起こします。

・加速の時代には、社会が人々の下に堅牢な床を築かないと、大勢が壁に手を伸ばす──それがいくら自滅的であろうと。

・コミュニケーションの増加とは、よりクリエイティブなタスクを実行するために、クリエイティブなユニット(すなわち人間)を集めることなのだ。

・現在を完新世という地質学の時代区分で呼ぶのは、もう適切ではないと、すでに多くの地球学者が唱えている。その新時代には、「人新世(アントロポセン)」という名称まで与えられている。アントロポが「人」、センが「新」を意味する。

・ISISの過激な暴力には、数多くの要因があるが、北アフリカと中東の人口がこの50年の間に3倍に増加したことは間違いなく一因だろう。

・人口問題否定論者は、気候変動否定論者と同じように、人口増加が地球に与えている影響を認めようとしない。

・急流で安定を高めるには、急流と同じ速さか、あるいはもっと早く進むことが重要です。パドルを水に入れて抵抗を発生させたり、舵に使ったりするたびに、勢いが失われ、転覆の危険が増します。

・デジタル・デバイドはおおむね解消された。そうなった時の最も重大な格差(デバイド)は、「モチベーション・デバイド」だという。

・テクノロジー産業では、テクノロジーと対人関係を組み合わせた仕事が、急成長している。テクノロジーのスキルだけでは自動化される確率が高いし、共感や柔軟性だけが備わっている人間はいくらでもいるから、高給はとれない。そのふたつが相互作用していることが高く評価される。

・今は政治スペクトラムの右寄りもしくは左寄りのどこにいても、関係ない。重要なのは、開かれた-閉ざされた、学習好き-学習嫌いのスペクトラムのどこにいるかだ。


遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方

遅刻してくれて、ありがとう(上) 常識が通じない時代の生き方

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)








・エジプトの象徴ともいえるピラミッドの灰皿や鳴くラクダのぬいぐるみを中国で製造し、はるばる輸送してもなお、エジプト人が製造するよりも効率的で利益が出るのだ。

・リビア、シリア、イエメン、ムバラク政権崩壊後のエジプトのような国は、「~からの自由」は確保したが、「~をやる自由」は得られていない。

・「自分が日陰を利用できないとわかっていながら老人が木を植えると、社会は偉大になる」という作者不明のギリシャの諺がある。セレブのリーダーは、そういう日陰は作らない。目の前の満足を追い求める。

・本質的に問題があるのは、そもそもイスラム過激派をずっと誤解していることだ。それは運動であって組織ではない。組織ならスパイを潜り込ませ、分裂させ、指揮系統や司令部を全滅させることができる。拡散している運動では、それが難しい。

・外国を占領したいと考える大国は、どこにもない。外国を占領すれば高くつくということを、大国はすべて痛い思いをして学んだ。国を乗っ取るよりも、労働力や天然資源を──あるいはオンラインで知能を──輸入する方がずっと楽だ。

・女性の半分、男性の4分の1が読み書きができない国──エジプト──に戦車やジェット戦闘機を与えて、いい結果になるはずがない。

・保守派の核心をなす真実は、社会の成功を左右するのが政治ではなく文化だということだ。リベラルの核心をなす真実は、政治は文化を変えられるし、内側から社会を救えるということだ。

・「他者」から学び続け、遅れた時には追いつこうとする人々と、「他者」やよそ者との接触によって屈辱を感じ、適応という厳しい作業にいそしまないで殴りかかる人々との違いを、私は目の当たりにしてきた。

・いま繁栄するには、方法は1つしかない。自分にとってのハリケーンの目を見つけるか、創り出すことだ。ハリケーンの目は、ハリケーンとともに移動する。ハリケーンからエネルギーを得ながら、中に安定した安全な場所を作り上げる。ダイナミックであるとともに、安定している。

・選挙運動はどんどん悪質になった。私が政治家になった頃は先輩たちに、「断じて政敵の名前を口にしてはいけない」と戒められたものだ。今は政敵がどれほど嫌な奴かをいうことから始める。

・「私が支持しないことを、みんなに知っておいてもらいたい。これが可決されるまでは、私は反対するということを。でも、可決されたら、110%応援する。失敗は望まないから」。彼は[あとで]「だから言ったじゃないか」とは絶対に言わなかった。

・「できる」は「やる」と同じではないが、「できない」とはまったく違う。

・問題は、適切なソフト・スキルを備えた人間を見つけられるかどうかです。雇用主は、朝起きて、服を着て、出勤し、無駄口を叩かず、根気がある人がほしいだけです。そういう労働者は、予想以上に少ないのだという。

・トップダウンの新政策を当てにしてはならない。「氷山は角から溶ける」。イノベーションは、そこから始めなければならない。


遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方

遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方

  • 作者: トーマス・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)






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『オフショア化する世界』 [☆☆]

・今や、オンショアにとどまっているマネーの方が例外的に見えなくもない。そのようにしているのは、いまだに税金を払い続けわずかな金しか持たない「庶民」のみなのである。

・公海上にある限り、パナマに登録された船舶は、パナマの法律だけを認識しておけばよかった。

・超富裕層のとる軌道を、さほど裕福ではない人たちから実際に分離することによって、プライベートジェットのシステムは、身体的な移動の排他的な空間を創出し再生産するのである。

・超富裕層にとって、贅沢はライフスタイルではなく、必要条件である。

・訪問客が危険を感じながらオフショアを手に入れるのを助けるために、「危険な旅行」のためのガイドブックさえある。近年、貧困ツアーは、本当にビッグビジネスとなった。

・石油輸入量世界第2位の中国は、戦略上の石油備蓄が2週間分しかないため、石油タンカーが途切れることなく確実に入港するようにしなくてはならない。

・既存の機器は4Gで作動することができない以上、その多くは廃棄されるほかない。4Gは、現在世界中で使用されている50億台の携帯電話を含む、すべてのハードウェアの入れ替えを引き起こすだろう。

・戦争の大義名分は理想や正義や経済的繁栄に求められるのではなく、原初的な政治的なるものの実存に向けたものとしてある。個々の政治体、そしてそれらが有する兵器は敵の存在を前提としているのである。

・多彩な愛情や友情からなる友達未満(semi-friend)が無数に存在するこのモバイルな世界で、誰を友と呼んだらよいのであろうか。彼(彼女)らは友だちでいてくれるのだろうか。

・子供時代をビデオゲームで過ごし、どれだけの「敵」を殺したかを点数化されてきた「操縦士」は、実在の人間を監視したり殺害し終えたなら、、気分転換のビールを飲みに自宅へと戻るのだ。

・ドローンは、「英雄不在(post-heroic)」の時代と呼ばれる現代、殺人という人間にとって重大なことをオフショア化した。

・「アルゴリズム化された防犯装置」は、日頃の通勤や航空機のチェックイン作業を軍事的行動に近づけつつあり、敵味方の区別を前提にしたアーキテクチャーによって操作されている。

・海には、数えきれない危険と同時に、知られざる富があるのだ。地球とは、まさに「海の世界」なのである。70億の人間は、その表面の4分の1に過ぎないところにいる。

・オフショアにするということは、陸からは見えない水平線の彼方の、人目にはわからないところにやってしまうことを意味している。

・水際に立てば、水平線はわずか3マイル先にあり、海洋面の大半は水平線の彼方である。

・過剰な財やサービスは、まさに「無駄」なのである。そこではカネが、テレビの買い替え、不必要な着ない服、エキゾチックな島への旅行、たくさんの使いもしない玩具、過度に高く(低く)設定された室内温度などに費やされている。

・既存の現実と戦うことでは物事は変わらない。何かを変えたければ、既存のモデルが古ぼけて見えるような新たなモデルを作りだせ。



オフショア化する世界――人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?

オフショア化する世界――人・モノ・金が逃げ込む「闇の空間」とは何か?

  • 作者: ジョン・アーリ
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2018/09/12
  • メディア: 単行本



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『MINE マイン』 [☆☆]

・フィリピンでは銀行口座が日本ほど普及していません。ですので、日頃この預金金利が話題になることはほとんどないのです。話題になるのは、どちらかというと、誰が誰にお金を送るとく、受け取るときの「手数料」です。

・「犯罪」と「犯罪にも使えるツール」をイコールにしてしまうような見方を、人というものはしてしまいがちだ。

・経済圏は、「お金が動く」ことによって成立します。動くお金が「通貨」、じっとしているお金が「貨幣」で、この意味「資産」は「貨幣」かもしれない。

・そこに「かけなくてもいい、ムダな手間ひま」、または「ムダにめんどうくさいこと」、そういうムダを、限りなくゼロにしていく。

・何を、どこを自動化し、何を、どこをマニュアルのまま残すのか、あるいは、「オート/マニュアル」の切り替えができるようにしておくべきなのか、それらについてはAIを含む今後の課題だと思います。

・ムダな面倒はできるだけゼロにしていくことで、手間ひまかけたい創作、ホビー、仕上げたい仕事、やりたい事業など、そうしたことに時間を投入することができるような世界、経済圏を作っていきたい。

・既存業務の「改善」とか「効率化」とか、イノベーションを既存の枠内に閉じ込めてしまおうとするかのような、そういうショボい話ではないのです。

・もう日本語になっている「シェア」ですが、この「シェア」によって形成されるエコノミーって何よ? という思考=概念設計がない。だからよそんちから借りてきたネコみたいな感じがするのでしょう。

・「シェア」って、「分配」とか「分け合う」とか「分かち合う」という意味だということは、中学生レベルの英和辞典にも出てます。「共有」では、このわかりやすすぎるもともとの意味が見えにくいと思いませんか?






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