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『データ資本主義』 [☆☆]

・21世紀初頭は75億人を超える人々の衣・食・住、教育、雇用を支える必要があるだけに、需要な資源はとてつもなく制約される。天然資源だけでなく、貨幣や時間も同じだ。コミュニケーションを向上させて、これまで以上に効率よく調整していかなければならない。

・米国では、買ってから欠陥が現れる質の悪いクルマを俗語で「レモン」と呼ぶ(良質なクルマは「ピーチ」と呼ぶ)が、結果的にレモンばかりが出回る中古車市場の状況を「レモン問題」という。

・貨幣を使ってモノの価値を表示すれば、その価値を過去に遡って調べることもできる。

・単に人数を増やせばいいというものではない。真実にたどり着く可能性が50%以上ある人物ならば、追加する意味があるのだ。

・ポーカーは美しいゲームだ。とりわけ、心理学、確率、ゲーム理論が複雑に絡まり合うところに醍醐味がある。優秀なポーカープレイヤーは、例外なくすぐれた記憶力、計算力、合理的指向の基盤がある。

・我々は伝達や処理が必要な情報の量を減らして、貨幣と価格に依存している。

・すっかり価格に慣れきってしまい、他が目に入らなくなっている我々にとって、多種多様な尺度に基づいて製品を比較し、自分にマッチする選択肢を特定するには、どうすればいいのか。

・溶接機を使うときに目の保護シールドを下ろさなければ安全が確保できないのなら、最初から溶接機にセンサーを取り付け、シールドが下りていることが確認できなければ溶接機が作動しない仕組みにしておくべきだ。

・人間は、現状維持に比べて現状変更のメリットを軽視し、未知のものより慣れ親しんだものを好む傾向がある。

・心理学の多くの実験では、被験者に二者択一の選択肢を提示している。だが、人生は白か黒かで片付けられるほど単純ではない。

・デジタル・ツールは、我々の行動をスピードアップするために使われているが、同時に、調整という社会的な仕組みを再編する可能性も秘めている。

・20世紀から使い続けている高コストの情報インフラを抱える銀行は、ペイパルやアップル・ペイなどのデジタル系のライバルとはまともに戦えない状況だ。

・フィンテック系のベンチャー企業が重点を置いているのは、格安手数料ではなく、革新的な付加サービスだ。

・コスト削減は短期的には業界にプラスに働くとしても、長期的には、沈みゆくタイタニック号で少しでもバランスを取ろうと甲板のデッキチェアの配置をああでもないこうでもないと変えている程度のものだろう。

・データには、交換手段として重大な欠点がある。データはそれ自体に価値があるため、紙幣よりもむしろ塩や金貨に近い。

・イノベーションとは画期的なアイデアではなく、いかに多くのフィードバック・データを集められるかにかかっていると言える。

・人々は依然として市場の様子をうかがってから判断を下す傾向があるが、誰もが同じシステムから助言を受けていることになれば、社会全体が同じ道を通って同じゴールに向かって進んで行きかねない。

・現実的には、自動運転システム導入の呼び水となっているのは、低燃費、高額な設備の利用率向上、人件費の削減といった経済効率だ。

・衣料品ショッピングの悩みは、自分の好みにぴったりの商品が存在しないことではない。ほとんどの人々にとっては、自分に似合う服を手間をかけずにさっと見つける手立てがないことなのだ。エコノミスト風に言うなら、アパレル業界はアイテム数を増やしてきたが、見つけやすさを高めてこなかったことになる。

・そもそも、意志決定で我々は何をめざしているのだろうか。正しい答えが欲しいのか、それとも判断後の幸福感が大事なのか。

・現実の細かい枝葉を削ぎ落せばすっきりするという発想は、過去の遺物となった。知識が少なく、情報が豊かでないときには、そういう発想でも役に立った。

・地球が平らだと決めつけるのはまさに単純化の典型である。実際、その見方で何世紀もの間、不都合なくやってこられた。我々の進歩があってようやくこの単純化に終止符を打ち、世界は平らな平原ではなく球体であるという、もう少し複雑な考え方を採用するに至る。その複雑さが人間を進歩させる一助となった。



データ資本主義 (ビッグデータがもたらす新しい経済)

データ資本主義 (ビッグデータがもたらす新しい経済)

  • 作者: ビクター・マイヤー=ショーンベルガー
  • 出版社/メーカー: NTT出版
  • 発売日: 2019/03/25
  • メディア: 単行本



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