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『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』 [☆☆]

・「地政学」というと、ともすれば抽象的な話になりがちなのですが、ごく単純化して言えば、その名の通り、地理は政治や歴史などに影響を与えるのだ、ということです。

・東西の壁がなくなった結果、再び地政学の重要性が浮かび上がってきているわけです。

・北緯三十八度に軍事境界線が引かれた韓国は、地図上は半島に位置していても、地政学的には「島国」なのです。

・グローバル時代には、地図を眺めるだけではなくて、それの持つ政治的、歴史的な意味を考える習慣をつけることが、今まで以上に求められるのではないかと思うのです。

・もう少しで因幡の国に渡れると喜んだ兎が、騙していたことをサメにポロっとしゃべってしまい、最後の一匹に捕らえられて皮を剥がされた。「舞い上がって、余計な種明かしをしないこと」という話の教材として、私は外務省時代によく使いました。

・水清ければ、魚住まず。今の日本は、魚は増えたんだけど外来魚ばかり、という感じでしょうか。

・大衆の受け入れ能力は極めて限られており、理解力は薄弱であるが、その代わりに忘れることにかけては実に早い。この事実から、全ての効果的な宣伝においては、焦点をごく一部にしぼり、それをスローガンのように利用し、最低レベルの人間がその言葉で目的としたものを思い浮かべることができるまで、決まり文句を使い続けなくてはならない。

・多くの人がネットニュースしか見ない時代に、じっくり新聞を読むというのは、結構アドバンテージになるのではないでしょうか。

・本当は、現実の政党の政策、主張を詳しく調べて比較するというような授業をやれば、政治的関心を高めることができるかもしれないのですが、どうしても制約があって。まあ、教科書が世に出ることには、消えてしまっている政党もありますから。

・「空気を伝わる音」が毎秒0.34kmに対して、「地面の揺れ」は毎秒5~7kmと、桁が違うのです。こういうふうに数字で示されると、揺れの伝わる速さが実感できます。

・終わりまで全部読んで振り返ると、また違ったりする。それが文学の深さ、面白さです。

・坊ちゃんは、ちょっとした暗示で簡単に騙される。ほとんどアホに近い単純な人間のように描かれている。

・筆記体は、「ゆとり教育」の時になくなりました。だから、今の若者は筆記体が書けないのです。

・母音の前の冠詞は「an」だという例文に、「This is an orange.」というのがありました。「これはミカンです」。あるイギリス人に、「それは誤訳だ」と指摘されたんですよ。日本人のいう「温州ミカン」は、「オレンジ」ではなく「マンダリン」なのだ、と。どれだけ多くの日本人が、誤りを教えられてきたことか。

・「Sato」「a Sato」「the Sato」は、全部違うのです。「Sato」はいいとして、「a Sato」は「佐藤とかいう人」で、「the Sato」になると「何かしでかした佐藤」のニュアンスになる。

・昔と違って、中学の英語教科書には、「実戦」ですぐに役立つコンテンツが盛りだくさん、社会人の学びなおしに適した教材である。

・語学力のMAXは、読解力なのです。読む力で外国語力の天井が決まります。同じ文章を聞いたり、話したり、書いたりできるのに、読むことができないということは、あり得ません。

・「只管朗読」を提唱しました。「ただひたすら座禅すること」を意味する禅宗の「只管打坐」をもじったもので、「英語をモノにしたければ、ひたすら音読せよということです。

・騙されたと思って、中三の教科書を中心に隅から隅まで何度も音読する。英語については、シンプルにそれを実践しましょう。

・要するに、ポストモダンなのです。「大きな物語」は語らない。小さな差異に着目して、興味を引きそうなキャラクターとその言葉をただ並べているだけ。結果的に、何のメッセージにもなっていません。

・日本国憲法第二二条では、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められている。何人もということは、日本国民だけでなく、外国人、無国籍者も含まれるということだ。

・翼賛の本来の意味は、「力を添えて助けること。天子の政治を補佐すること」だ。翼賛は強制ではないという建前だ。人々が自発的に天子(皇帝や天皇)を支持し、行動することが期待される。期待に応えない者は「非国民」として社会から排除される。



人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく-12社54冊、読み比べ (単行本)

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  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/06/22
  • メディア: 単行本



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