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『人生は攻略できる』 [☆☆]

・キャラとは「友だちグループの中で自分を一番目立たせる役割」のこと。

・自分と似ているけれど、それぞれが異なるキャラを持つメンバーは、一緒にいるとすごく楽しい。これが「イツメン(いつものメンバー)」と呼ばれるコアの友だち集団だ。

・ジモティはこのイツメンを中心に、同級生を含め10~20人の「友だち」と、それに先輩や後輩を加えた50人くらいの知り合いの輪の中で生活している。この小さな集団が、ジモティにとっての世界のすべてだ。

・ジモティは進化の法則(ヒトの本性)にぴったり合った生き方をしている。だから日本だけでなく、世界中にものすごい数のジモティがいる。

・国や民族、宗教や文化を問わず、世界の大半はジモティによってつくられている。それだけ「故郷」と「友だち」は強力なのだ。

・故郷を捨てるということは、友だちのいない世界で生きていくということだ。こんなことは、原始時代はもちろん江戸時代だって想像することさえできなかった。――多くの貧しい国では今でもそうだ。

・「自分らしさ」とは何だろう。その特徴は、何が「自分らしい」か訊かれてもうまく答えられないけど、「自分らしくない」ことはすぐにわかるし、その判断に何の迷いもないことだ。

・グローバル市場が国家を超えて巨大化した現代では、ほとんどの富はプラスサムの交易(市場取引)から生まれる。それは両方が得をする「Win-Win」のゲームで、金持ちが貧乏人から略奪しているわけではない。

・不動産を所有したいなら、マイホームではなくREITを買えばいいだろう。

・騙されてヒドい目にあうのは、中途半端に頭のいい人たちだ。自分に自信があると、「特別な自分には特別なチャンスが来て当たり前」と思ってしまうのだ。

・日本の労働組合は正社員の既得権を守るための団体で、ついこのあいだまで「同一“価値”労働同一賃金」を唱えていた。正社員と非正規では同じ仕事をしていても労働の「価値」、すなわち人間としての価値が違うのだから、格差は当然だというのだ。

・アマゾン銀行やグーグル銀行が登場すれば、日本の銀行はみんな消えてしまうだろう。

・「ピンクカラー」と呼ばれる共感力を必要とする女性の仕事はあまり影響を受けない。

・日本の会社の最も大きな問題は、スペシャリストの仕事を素人がやっていることだ。2~3年で部署を変わっていたら、専門的な知識や経験など身につくはずがない。

・バザールの必勝戦略は「よい評判(「あの店、美味しいよね」「あそこが一番安いよ」)をたくさん集めること」になる。だから、これを「ポジティブゲーム」と呼ぼう。

・伽藍の必勝戦略は「悪い評判(失敗)」をできるだけなくすことになる。こちらは「ネガティブゲーム」だ。

・困ったことに、世界の中で特に不安感が強い日本人は伽藍が好きだ。なぜなら、そこでは競争がないし、イツメン(いつものメンバー)だけで集まっていて安心だから。

・スペシャリストがほとんどいない日本で、何か「スペシャル」なものを持っていると、それだけで人生がものすごく楽になる。

・彼らはみなクリエイターで、1日8時間労働とか、残業は月60時間とか、そんなバックオフィスの仕事のためのルールにはしばられない。

・グーグルやフェイスブックに匹敵する成功なら何兆円という莫大なお金と世界的な名声が手に入るだろうが、人生を楽しく暮らすのにそんな大金は必要ない。

・都合よくブルーオーシャンがみつかれば誰も苦労しない。結局、「ブルーオーシャンを探す競争がレッドオーシャンだった」という話になってしまう。

・ニッチ戦略の魅力は、みんなが求めることではなく、自分が好きなことに全力要求できることだ。たくさんのお客さんがいるマスマーケットは典型的なレッドオーシャンで、そこで成功するには「みんなが好きなこと」を提供できなければならない。

・プライスレスな世界を「愛情空間」「友情空間」と呼ぶならば、その外側には広大な「他人」の世界が広がっている。これを「貨幣空間」と名づけよう。なぜなら、知らない人ともお金によってつながっているから。

・一度の大きな痛みより、長く続く小さな痛みの方が幸福度を大きく引き下げる。夫や妻、子供と死別するより、毎日の長距離通勤の方が(長期的には)人を不幸にする。

・「ギバーになりましょう」なんて、しょせんきれいごとだ……。これはもちろん正しいが、なぜこんなことになるかというと、有限のものをギブしようとするからだ。

・ギブしても減らないものは2つある。ひとつは、面白い情報を教えること、もうひとつは面白い知り合いを紹介することだ。

・「弱いつながり」は、「知り合い以上、友だち未満」の関係だった。でもフェイスブックを見ればわかるように、世界ではこれが「Friend(友だち)」と呼ばれる。

・アメリカでいま、「BOBOS(ボボズ)」と呼ばれる新上流階級が台頭しつつある(ブルジョアBourgeoisとボヘミアンBohemiansを組み合わせた造語だ)。

・形あるモノがどんどん老朽化し、しょぼくなっていくのに対し、「心の中にあるコト=物語」は脳のポジティブな作用によって、逆にどんどん美化されていく。

・母親と娘が友だち関係になった、とよくいわれる。でもこれは、女性の精神年齢が18歳のままだと考えれば、何の不思議もない。ちなみにこれは日本だけではなく世界的な現象だ。

・君はもしかしたら、大人になることを恐れているかもしれない。でも、そんなことは全然心配することはない。もはや誰も大人にならないし、なれないのだ。

・「100倍の法則」をひとことでいうと、「加害は100分の1に、被害は100倍に評価する」になる。

・人にイヤなことをしたら、君はすぐにそのことを忘れてしまうだろうが、相手はずっと(場合によっては死ぬまで)覚えているということだ。

・「自分のことは自分が一番わかっている」と思うだろうが、これは間違いで、友だちの判断の方がずっと正しい。なぜなら友だちは当事者じゃないので、「100倍の法則」に影響されないから。友だちが「そんなの大したことじゃないよ。無視しとけばいいよ」といったら、君がどれほど傷ついていたとしても、その程度のことなのだ。

・近代の学校が同い年の男女をひとつの場所に集めて共同生活させるというものすごく特殊な場所だからだ。こんな異常な環境は実社会にはないから、学校生活に最適化された「コミュ力」はたいして役に立たないのだ。

・「いいね!」というのは、何かに挑戦した人に与えられる評価だ。1年か何ひとつ失敗しなかったことで、たくさんの「いいね!」をもらえるはずがない。



人生は攻略できる

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  • 作者: 橘玲
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
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『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』 [☆☆]

・おそらくすでに約30年前に起こっていたんだ。だから僕らはシンギュラリティ後の世界を生きている。テクノロジーの方が、自身を維持するために、人間を利用しているのさ。

・5人のドイツ人が19分以上話をしていると。誰かがヒトラーの名前を出すという結果になった。

・ボタンを押して誰かを殺すことは簡単で、ナイフを使って殺すのは難しい。

・発展途上国が資本主義的になろうとして、意外にも成功しているということはないように思う。もし成功しているとしたら、それは発展途上国なのではなく、優れた工業国だということでしかない。

・実存主義者、構造主義者とポスト構造主義者は、基本的には何らかのことを正しく理解していたのだとわかる。つまり、それは社会構造というのは夢のようなもので、そこには、より深い現実などないということだ。

・正義などなく、あるのは征服だけである。

・危機の時代に何が起こるかと言うと、新しい観念が必要になってくる。我々は、今何が起こっているのかを理解する必要が大いにある。

・ドイツ人と「友だち」になると絶対に離れることはありません。一度「友だち」になると……離婚する方が友だちと縁を切るよりよっぽど簡単です。

・日本人は同質性が高いのです。そのため、表現に細心の注意を払わなくても、すぐにアイデアを共有することができます。そこが日本のアドバンテージだと思います。

・日本では、文字、特に漢字は人の知性レベルを反映していると言えるでしょう。手書きの文字を見れば、知性のレベルを推測することができます。

・今日、フェイスブックなどのソーシャルメディアを利用する時、もう誰も他人のことを見ていないのではないでしょうか。自分自身による自分のバージョンをブロードキャストして、それを情報の海に流し込むだけ。

・ただ鏡を見ているだけで、他人のことはもう見ていないような。

・人間は、技術を使う動物である──動物プラス技術、それが人間だということです。人間は技術を使わなければサルになってしまいます。

・過去において人間は二つの方法によって進化してきたのです。一つは遺伝子。もう一つは技術です。技術を発展させることによって、私たちの能力もどんどん伸びてきたわけです。

・人工器官や人工臓器によって腕や足、内臓を代替できるようになったように。その意味で、人間はロボットに近づいてきているのです。

・人間は一生懸命動物にならないようにしている動物だ。



マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する (NHK出版新書 569)

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『対話の技法』 [☆☆]

・「あなたの言ったことは全部理解するし、全部そのままオッケーです」という場合には、相手と私が一心同体になってしまって、二人が存在する必要がなくなってしまいます。

・優れた問い手が的確な問いを発し、問いと答えをつなげながら一つの議論にしていく能力こそ、問答の遂行に必要です。

・一生を対話による哲学に捧げたソクラテスは、人々の誤解と憎しみによって最後には死刑になってしまいました。

・場を共有する人の間で交わされた言葉は、たいていの場合どういう意図があるか、どんな背景があるかなどが暗黙の了解となっていますが、書かれた文章だけを見ても、そういった前提が共有されないことが多いのです。

・思考は、言葉を自分の内に向けて発する二次的な対話なのです。

・はじめから合意など目指さないと開き直ってしまっては、対話は始まりません。つまり、目標地点のない対話は、たんなる会話やおしゃべりになりかねません。

・言葉が貧困になると感情をコントロールできなくなる。語彙やニュアンスが貧しいと、自然と語気が強くなります。つまり、自分の言いたいことを丁寧に発信できないと、言葉以外の部分で相手に圧力をかけざるを得なくなります。

・言葉を豊かに持っていない人は、語る本人が本当は何を考えているかを明瞭に把握できない、それを表現できないという事態に陥ります。

・ハラスメントは受け手との関係で起こるものなので、仮に加害者が無神経で意図せずに相手を傷つけたとしても、少なくとも過失傷害にあたります。意図を伴っている場合はいわば障害や殺人未遂でしょう。

・人間が機械と言葉を交わすこと、ヴァーチャルなアイドルに恋をすること、あるいはペットの亀に話しかけることがシュールだと感じるとしたら、実は人間同士が言葉をやりとりして理解したつもりになっている姿もよほどシュールなのかもしれません。

・普段は意識さえしなかった別の見方や理論に出会うことで、自分が変わることが実感されます。それは、知識や素養が増えたという程度ではなく、自分のあり方や存在そのものが根底から揺るがされて変容する体験です。対話の醍醐味はそこにあります。

・私たちは対話の相手を求めます。それは、一緒に何かに向かっていく相手、いわば共同探究者を求めているからです。



対話の技法

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  • 作者: 信留, 納富
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