SSブログ

『全体主義の克服』 [☆☆]

・哲学は役に立たないのではなく、役に立ちすぎてきたのだ。哲学なしに全体主義はその諸概念を用いることはできなかった。

・「パン・デミック」という言葉は古代ギリシア語から来ていて、「全(パン)・民衆(デモス)」を意味する。

・ウイルス学者が、毎年20万人以上の子供が、汚れた水が原因のウイルス性下痢症で命を落としていると言っても、誰も耳を貸してはいない。その理由は単純である。そのような子供は、ドイツ、スペイン、フランス、イタリアには住んでいないからだ。

・こんなふうに考えてみてください。私たち全員が、インターネットのために働いているのかもしれないと。私たちがGoogleを使うと、Googleにはお金が発生します。それなら、ユーザーは労働者じゃないですか。

・神は自然の中にはいない。神は超越した存在である。これはつまり、自然は神不在のシステムであるという考え方です。

・彼らは科学的な解決策を受け入れない人を単に愚かだとみなしています。彼らは、科学とは別の見方で現実を認識することができないのです。

・伝統的な文化はすべて、星を指針としていたというのです。空を見上げれば、向かうべき方向がわかったのです。星は、昔の人々にとってGoogleマップやインターネットのようなものでした。

・現代物理学の間違いは、ある特定のスケールで観測される法則が、宇宙のあらゆるところで維持されるところにあります。物質が普遍的な法則に従うというのは、前時代的な考えであり、物理学が誤っている点なのです。

・フランス革命のときに掲げられた人権(1789年)が意味したのは、成人男性だけです。しかし、それが「世界人権宣言」(1948年)になると、今度はすべての人間について保障されるようになっていきます。

・16世紀以降、ヨーロッパの人々は中国と遭遇します。彼らは、ヨーロッパよりもはるかに古い国があること、そして聖書よりもはるかに古い歴史があることを知ったのです。神の創造は新しいものだった! ヨーロッパの知識人は驚愕しました。

・差異は資本主義の基盤です。人々は差異を生み出し、それを消費するサイクルを永遠に回すことを求められています。

・デジタル時代とは差異が見渡せる時代だと言うのです。

・広告の機能は、裕福な人々がどういう生活をしているかを伝えることにあります。ネットを見れば、ありとあらゆる差異が目に入ってきます。

・なぜエコノミークラスの席にたどり着くために、ビジネスクラスを通過しなければならないのか。それは、その結果、エコノミークラスの人々がビジネスクラスに乗りたがるようになるためです。

・ファーストクラスは頂点でしょうか。そうではありません。彼らは、プライベートジェットを持っていないからです。

・古典は繰り返し読めるように編まれています。だから古典というのは無限の可能性を秘めているんですね。

・私たちは、たった5人しか理解できないようなテクニカルな哲学を作ることもできます。でも、そういった専門的にすぎる哲学は、ほとんどコミュニティに貢献することはありません。

・大学の内であれ外であれ、人々は自分で問いを立てることを洗練しようとはあまり望んでないのです。

・中国語の「花」は動詞でもあり、何かを消費するという意味があります。中国語の「花時間」は時間を消費するという意味になります。

・多くのドイツ人は、魚を丸ごと食べることができません。切り身しか食べられないのです。おそらくドイツ人に魚を丸ごと一匹与えると、ショックを受け、食べることはできないでしょう。彼らはそれが動物であることに気づいてしまうからです。

・国際機関の目標は、誰もが中流階級になることができるようにするということです。これはマルクス主義の夢でした。

・タイムマシンを使って、20万年前の人間の赤ちゃんを現代の日本に連れてきたとしても、その子は完璧な日本人になれるでしょう。

・人間という動物は普遍的に同じあり方をしていて、私たちはその人間という動物を、教育や訓練によって特殊化していきます。

・社会をつなぎ合わせる接着剤は意見の相違であると論じました。



全体主義の克服 (集英社新書)

全体主義の克服 (集英社新書)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/08/17
  • メディア: 新書



全体主義の克服 (集英社新書)

全体主義の克服 (集英社新書)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/09/18
  • メディア: Kindle版



nice!(0) 
共通テーマ: