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『老人の壁』 [☆☆]

・だから定年とか、昔は隠居とか、世の中が決めていたんですよね。決めておかないと、いつまでも本人は若いつもりでいて、まわりが迷惑する。

・人のことはかまわず、我さえよからばと思ひて、気のゆるゆるとした人、かならず命長し。

・自分が機嫌よくしてるとまわりもよくなる。だけど、機嫌悪い人ってまわりがよくしてくれなくちゃ、と思っているからなんですよ。

・絵を描こうとすると、まず見方が変わるんです。いつもと同じような見方じゃ何も描けない。

・発見って、自分が変わることなんです。見つける前の自分と、見つけた後の自分は違う。別の人になるんです。

・世間で言われる正解というものがあると思うから、つい後ろの解答ページを見ちゃうようなことをしてしまうわけで。それをやると、もう楽しくない。

・「十桁以上で」とか。そうなると忘れてしまう以前に、思いつかない。

・虫にはね、耳がないんですよ。体のいろいろな部分で音を聞いているんです。

・彼らが言葉を使えない最大の理由は、じつは「絶対音感」なんです。

・昔は子供がよく死んだでしょう。特に可愛い盛りに死なれると、親は「あの子の人生は何だったのか」と思い、その後、子供を見る目が変わってきます。同じような年の子が一生懸命遊んでいるのを見ると、思う存分遊ばせてやろうって、そういう優しさが出てくるんですよ。

・子供に教えるというのは、教えていることの中身じゃないんですよ。子供と真正面に向かっている先生には、子供はついていくでしょう。子供は先生の熱意に反応してるんですね。

・自分そのものを作品と考えて、自分を育てていく。修行って、そういうものでしょう。

・自分というものは、探すものではなくて作るものなんです。

・精神がおかしくなってしまったので、本人のせいではない、っていうような無罪論は必ず出てくる。だから、刑法の考え方そのものを変えなきゃいけなくて、僕は結果論でいいと思っているんですよ。それが平等の扱い方だと思うんですよね。

・温度を下げていくと、ある瞬間に氷に変わる。同じように、無意識の脳活動が、ある瞬間にぽーんと「意識」になる。意識に上がってくるんです。

・哲学者のアランは、「自分は絶対に占いを聞かない。聞いたら影響を受けるから。信じてる、信じてないにかかわらず」って書いてますよ。

・「一億総活躍しろ」なんて、誰かが活躍したら、誰かが突き飛ばされますよ。世のため人のためって無駄に動き回る人、いっぱいいるじゃないですか。

・子供が風邪を引いたりなんかすれば、普通の先生だと必ず抗生物質を飲ませますね。お陰で何が起こったかっていうと、自己免疫疾患です。免疫が適当に抑制されるということが起こらなくなって、どうなるかっていうと、花粉症から始まって、喘息でしょう、あとは1型糖尿病。

・皆さんご存じないのかもしれませんが、家畜は低濃度の抗生物質を必ず使っているんですよ。そうすると、脂肪が増えて肥満になるんです。抗生物質というのは、病気を防いでいるんじゃなくて、生産を上げているんですよ。

・自動車なんか、おかしいと思いません? 人間一人運ぶのに、トンっていう重さの物を何で動かすわけ? まったくの無駄でしょう。

・新兵って、50パーセントは空に向かって鉄砲を撃つっていうんです。それを人に向けて鉄砲を撃てるようにするのが、訓練です。

・普通の人、絵を描かない人は、ほとんど見てないですね。普通の人は、写真を撮って安心するんです。とくに顕微鏡の写真なんかを撮ったら、自分で見ちゃったと思ってるんだけど、ぜんぜん見ていないんです。

・考えることを「一段階」で止める人が多いですね、一段階目の答えを出して、はい終わりっていう。

・意識は「増幅装置」なんですよ。だから、目にはちゃんと全部入ってるんだけど、意識があると一部を増幅するんです。そうすると、他が消えちゃいます。

・ナディアっていう有名な少女がいてね、あの子は自閉症で、それで馬の絵がダ・ヴィンチのデッサンにそっくりだったんです。別に見て描いたんじゃなくて、馬を見て描いてね。そんな能力があったんだけど、そのこ、一生懸命、教育されて、言葉がやっとできるようになったんです。そうしたら、もう、ぜんぜん絵を描けなくなってしまった。



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