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『日本を救うC層の研究』 [☆☆]

・日本はほぼ一世紀前から近代史の飛ばし読みをやってのけた。その無理から生じた歪みは、一世紀後になってみじめに露呈された。

・彼は弱さを最大の財産にし、弱い青年子女の同情共感を惹き、はてはその悪影響で、「強いほうがわるい」というようなまちがった劣等感まで人に与えて、そのために太宰の弟子の田中英光などという、お人好しの元オリンピック選手の巨漢は、自分が肉体的に強いのは文学的才能がないことだとカンチガイして、太宰のあとを追って自殺してしまいました。

・要するに古館は痛ましい。毒にも薬にもならない陳腐な「正論」をしたり顔で述べる姿が無残です。

・「高い=一流、安い=三流」ではありません。三万円の食事でも三流のものはあるし、1000円の食事でも一流のものはあります。

・駅前の390円のラーメン屋やファミリー居酒屋は、それが美味しいからでも、安いからでもなく、B層の感性に馴染んでいるから増えているのです。

・B層は「近代的諸価値を盲信するバカ」なんです。彼らは、平等主義や民主主義、普遍的人権などを信仰しています。

・弱い人間は責任をとろうとしない。自分が苦しんでいるのはどこかに存在する「悪」のせいだと考える。

・見える「危機」に対しては過剰に反応するのに、水面下で進行する「危機」に関しては不感症になっているのです。

・われわれが一等ごまかされやすいのは、一見現実的、一見具体的、一見実現可能にみえるような公約です。「明日君に一千万円あげるよ」と言えば、誰も信じないが、「明日君に三千円あげる」と言えば、つい信じてしまうようなものである。

・民主党は国民を裏切ったわけでも、暴走したわけでもありません。最初からおかしな集団が、予定通りにおかしなことをしただけです。

・どこの誰だか分からないような人物より、三代続く世襲議員のほうがまだ信用できる。少なくとも「あのオヤジの息子なら信用できる」「あいつの倅じゃ信用できない」と判断材料が多くなります。

・2012年の衆院選の際も、メディアでは「民主党はダメだけど、自民党に戻すのも嫌だ」みたいな世論をつくろうとした。それに騙され、維新の会あたりに投票したのが典型的なB層です。

・テレビメディアはこの20年にわたり組織を裏切った元官僚や口の軽い政治家をつかって、政治番組のエンタメ化を図ってきました。

・メディはモラルでは動きません。視聴率を稼ぐことが至上命令なので、レベルの低い視聴者にあわせて番組をつくります。

・橋下の政治や歴史、文化についての知識はチンパンジーレベルです。だから特定のイデオロギー集団に利用されやすい。オリバー君みたいなもので、メディアと悪い大人たちによって表舞台にひっぱり出されてしまった。

・橋下が一番恐れていることは、テレビの視聴者に飽きられることです。維新の会がやっていることはナチスと同様の大衆運動であり、飽きられたらそこで終了します。

・自分の意見を主張するだけならガキでもできます。「学校に行きたくない」も「牛乳を飲みたくない」も「校則を守りたくない」も意見には違いない。

・西欧ではオリジナルとコピイとの間には決定的な差があるが、木造建築の日本では、正確なコピイはオリジナルと同価値を生じ、つまり次のオリジナルになるのである。京都の有名な大寺院も大てい何度か火災に会って再建されたものである。





日本を救うC層の研究

日本を救うC層の研究

  • 作者: 適菜 収
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/07/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/07/04
  • メディア: Kindle版



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