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『発想の視点力 いまは見えないものを見つけ出す』 [☆]

・多くのヒトは、「答え」を見ると安心する。そこで考えるのをやめてしまう。

・前例がいっぱいある、そして、仲間のいっぱいいる場所に安住してしまう。でも、そういうメジャーなところに新しい発見はなく、未来も見えない。

・現実には決して起こることのない超「例外」的状況(たとえば、人類の99%が突如失明)を創り出し、そのとき何が起こるか(の仮説)を教えてくれる。SFのような現実を離れた世界こそが、比べるべき究極の「例外」の一つなのだろう。

・新しいビジネスやアイデアは、便利で快適な都市からではなく、不便で大変な周縁・辺境でこそ、続々と生み出されてきた。

・都会に住む多数派が知らぬところ、中央から離れたところにこそ新しい発見がある。

・住宅メーカーにとって、買ってくれたヒトの分析は大事だが、その陰には膨大な買ってくれなかったヒト、が眠っている。

・「にほんブログ村」の住まいブログを見てみると、なんと1000人以上が自分の家造りのプロセスを公開している。それらのブログを追うだけで、そのヒトたちが一体何社に声をかけて、どんな理由で、ある会社に発注を決めたのか(あるいは、どんな理由で、ある会社に決めなかったのか)が、かなり詳細にわかる。

・潜在顧客の攻略を考えるならば、まず買わないヒト分析、来ないヒト分析、知らないヒト分析にチャレンジしよう。

・自分の日常行動を写真に撮り、それを客観視することで見えなかったものが見えた。自分の行動や身近な人たちの行動を客観的に見る工夫をしよう。

・読書会だって勉強会だって、価値があるのは他人の視点だ。どうせやるなら、いろんな変わったヒト(自分から遠いヒト)を集めよう。多様性の価値はそこにある。

・雑誌・新聞の記事は、「一過性である」という大きな特徴(限界)を持っている。基本的には、その日1日や1週間のことが中心だ。

・ある新聞しか読んでいない人には知らされない事実なんていくらもある。

・大企業とは万事がこんなものかもしれない。よく言えば多面的、悪く言えば支離滅裂気味だ。

・世界を、いや各国々をよく知らねばならない。相手が自分とどれだけ違うのか、何を考えているのか、何が関心事なのかを知らずして、コミュニケーションは成り立たない。

・「さっきは騙されたが、今度は騙されないぞ」「今度は裏をかくのか、それとも裏の裏?」と思い悩んでも仕方がない。怪しく思うなら、ちゃんとハカって白黒つければいい。

・市場がない(お客さんがいない)のに頑張ることほどバカなことはない。なのに多くの企業がその罠に落ちている。

・世紀の大発見、素晴らしい研究成果、そして稀代の研究者を、当時の「専門家」たちの感覚(常識)や追及が封殺した例はいくらでもある。

・新しいアイデアや発想には、本来前例がない。当然そのメカニズム(機構と原動力)や因果関係の理解も浅いし、証拠もない。そこに「証拠は?」とか、「何で?」とか、「どうやって?」といった懐疑的な質問をぶつければ、相手は受けきれるはずがない。

・マーケティングの歴史は、ヒトの感情や行動をハカることへの挑戦の歴史と言ってよいだろう。

・「地球環境のために環境に優しい商品を買いますか」と問えば、100%の消費者がイエスと言う。「値段が1割高くても買いますか」と問うても、半分くらいはイエスと答えるかもしれない。でも、実際に店頭でその通り行動する人はほとんどいない。5%価格が高いだけで、多くの消費者はそのエコ商品を見なかったことにしてしまう。

・そのヒトが本当に地球環境を気にしているかどうかは、「気にしているか」と尋ねるのでなく、環境にやさしい行動(たとえばお風呂の水を再利用しているか)を「実際にしているか」どうかで判断すべきなのだ。それしかない。

・「95%の確率で正しいと言いきれること」だけを論ずるのが学問の世界なら、「10%の確率でしか正しくないかもしれないが凄く面白いことを見つけること」がビジネスアイデアの世界だ。

・ヒトの価値観をハカるための、二つの問いがある。
資源配分:そのヒトは何に一番、時間やお金を費やしているだろうか。
トレードオフ:そのヒトは何を選んで何を捨ててきただろうか。

・自分の判断やセンス(カン)の正しさや不正確さをハカられていると知ると、ヒトは必ず保守的になる。

・目利きを見つけ、カンを密かにハカれば、きっと未来が見える。

・月次で製品の需給を見ていても間に合わない。10日ごとの旬次にして月に3回、生産や調達の調整を図る。それによって、在庫を切らさないよう、でも持ちすぎないようにする。

・新しい観測手段、測定技術でハカられたデータには、きっと何かが潜んでいる。それを発見できるかどうかは、ヒトの執念と視点次第だ。

・現在、日本勢は個数で世界時計市場の約6割を握るが、売上高ではわずかに2割のみ。市場の売上高の7割以上はスイス勢のものだ。しかも、腕時計の世界市場の4割は、個数で3%以下に過ぎない「スイス製機械式腕時計」によって売り上げられている。

・世の大人たちは、なぜ数十万円、数百万円、もしくは1000万円以上ものお金を腕時計にかけるのだろう。そこには「さりげなく、でも自慢したい」「その価値を知っている人にだけわかって欲しい」という心理がある。ゆえに高級腕時計メーカー・ブランドは、マス広告を打つ。買う人向けにというより、それを見る人向けに。だから決して、安っぽい宣伝はしない。買ってもらうための宣伝でなく「あなたは買わない(買えない)でしょうけれどスゴイものなのよ」を伝えるためのものだから。

・初心者が何かをするとき、必ずハカるだろう。自分の目分量に自信がないのだから当たり前だ。ある意味プロフェッショナルになるとは、ハカらずに仕事ができるようになることだ。カンでほとんどすべてを判断できる世界にまで行くことだ。でも面白いことに、本当のプロは、ちゃんとハカっている。人間の感覚が、実はいい加減だとわかっているからだ。

・iPodのデザインが素晴らしいと思うなら、それを分析し、パターン化すること。ただスゴイや面白いで終わらせずに、その本質に迫ること。

・パナソニックは「自分が欲しいのは商品という魚だけではない。その魚を捕まえられる網も欲しいんだ」と言って、3人のデザイナーを IDEOに派遣した。

・うろうろアリは、えさを巣に運ぶという意味では生産性ゼロの存在だ。しかし、えさを一生懸命巣に運ぶ生産性の高い普通のアリたちは、えさがいつもの場所になくなると、突然困ってしまう。だけど、うろうろアリはいつも辺りを当て所なくさまよっているから、新しいえさ場にぶつかることも多い。あっちにもあったよ、行ってみたら? 結局、普段は生産性ゼロの「うろうろアリ」を抱えている巣の方が、全体的・長期的には繁栄することになる。

・「ジャングルジムはキケン」という少数の親たちの声に、学校も公園管理者も抗しきれない。キケンな遊具たちはどんどん撤去され、子供たちは何が本当に危険なのかわかりようもない快適で安全な温室に閉じ込められつつある。

・「常識」や「自制心」は必要だ。それこそが大人と子供を分けるもの、と言える。

・子供たちがたまたま持った他人とは違う考え、たまたまとった違う行動、それを認めてあげよう。よいことならば、いや、悪いことでなければ、それだけで褒めてあげよう。それは面白いね、ステキだねと。

・みんなと同じだと不安、という感覚こそが発想力の根源にある。

・普段、同じこと(かつ、難しくてできそうにないこと)を3回続けてやることは、あるだろうか。大抵は1回で懲りる、もしくは1回目の途中で放り出す。でも、それをあえて繰り返す。3回目には、結構な確率で新記録を達成できるはずだ。

・米国ではDIYが非常に盛ん(10兆円産業)だが、これは父親たちが「子供と一緒にやれる仕事」を欲しているからだとも言われる。

・子供たちは、親のいうことは素直に聞けなくとも、「斜め上」の関係である大人たちの言うことを、意外と聞き入れる。



いまは見えないものを見つけ出す 発想の視点力

いまは見えないものを見つけ出す 発想の視点力

  • 作者: 三谷 宏治
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2009/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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