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『[新訳]韓非子 騙し合いの社会を勝ち抜くための百言百話』 [☆☆]

・知者は、正しいものに賛成して、世俗に反対する。知者でない者は、正しいものに反対して、世俗に迎合する。天下には、このことを知る者は少ないので、正しいものが非とされてしまい、正しくないものが是とされる。

・事業を起こすには、それなりの道理というものがある。具体的にいえば、収入が多くて支出が少ない、という見通しがたったならば、その事業は起こすに値する。

・民は必ずしも改革や革命を歓迎しない。民というのは、いかにも苦しい状況に置かれていようと、それなりに安定した状態を望んでいる。

・いつの世でも、古くから伝わっているものを尊重するか軽視するか、必ず二つの勢力に分かれる。だが、どちらかというと、古くから伝わっているものを尊重する保守勢力が強い。

・小さな信義が積み重なって大きな信義ができる。

・子供を騙してはいけない。子供は何も知らず、何でも親のすることを真似するんだ。そうやって親から教わっていく。だから子供を騙せば、親が子供にウソを教えることになる。母親が子供にウソをついて、子供が母親を信じられなくなったら、もう母親が子供に教えるなんてできなくなるんだ。

・橘や柚を植えれば、やがて香りのいい味もおいしい実が成る。だが、枳殻や棘を植えれば、やがて人を刺すトゲができる。そんなわけで、君子は人材の登用には慎重を期すのだ。

・もし、お上が、富んだ者から徴収して貧しき者に施すとすれば、それは、努力したか倹約した者から奪い取って、贅沢したか怠惰だった者に与えることになる。

・矢を作る際、そのまま使えるようなまっすぐな竹を当てにしたのでは、百代たっても矢は作れない。車輪を作る際、そのまま使えるような丸い木を当てにしたのでは、百代たっても車輪は作れない。

・民の知恵など採用すべきではない。それは赤子の心のようなものだ。

・軽い刑は、利益が多いわりに罰が小さいのであるから、犯罪に心をひかれる。

・虎や豹が、その武器である爪や牙を使わなかったら、威力は子ねずみと同じになってしまう。

・そもそも好悪が一致すれば、人間は互いに認めあう。好悪が違えば互いに退けあう。

・努力の報いられない人に意外と自説に固執する人が多い。

・火は見るからに厳しいから、これに焼かれる人は少ない。火に比べれば、水の方はそれほど厳しくないので、つい溺れてしまう人が多い。

・そもそも、親子の間はもっとも親しい間柄なのに、怨んだり、責めたりするようになるのは、相手のために尽くしているのだ、という意識をもっており、それなのに相手は自分のために十分尽くしてくれない、と考えるためだ。

・何事も、自分を利するため、と思って、それをしようと思うならば、相手が外国人であろうと、うまくやっていけるし、反対に、これをすれば自分が損をする、と思うと、たとえ相手が肉親であろうと、うまくいかなくなり、怨むようになる。

・無理に、相手のため、などと自分に言い聞かせない方がよい。

・言行というものは、いかに実際の役に立つか、ということが問題なのであって、むやみに難しげな意見や奇をてらった行動というのは、まやかしなのである。



[新訳]韓非子

[新訳]韓非子

  • 作者: 西野 広祥
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2008/10/23
  • メディア: 新書



タグ:西野広祥
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