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『私と悪魔の100の問答』 [☆☆]

・神の権威が既に確立した後になって、その仮想敵としてでっち上げられたのが悪魔だ。

・人間が神を必要としたのは、世界があまりにも不可思議だったからだ。誰がこんな風にしたんだろう、と思ったとき、人はその創造主を空想した。

・当分は何を見ても、きっとそんなに驚いたり、笑ったりできないでしょうね。あいつ以上に変なものや不思議なことがあるとは思えないし。

・そんなに自信たっぷりに否定できる、その理由はなんなんだ?

・舐めるなとか言ってる割には、身内の先輩にはいくら馬鹿にされても逆らわないんだから。

・こんなことは恥ずかしいから隠したいという気持ちが、色々な問題の原因になっているとも言えるんじゃないのか。

・ああいった連中というのは、なんで無駄に威張りたがるんだと思う?

・嫌われたくないから、嫌いにならないでいるのか、嫌いになるのが不自然だから、嫌わないのか。

・素直ってのはそういうものだろう? つまりは我慢しないってことだ。自分の感情を出すということは、苛立ちや怒りもまた正直に他人にぶつけることだ。

・人間を不幸にするもの、それはほとんどの場合、他の人間だ。

・往々にして君みたいな少女は自分の感覚に合わないことは全部「信じられない」で拒絶できると思いこんでいるが、君たちが信じようと信じまいと、あるものはあるんだ。ひとりでになくなったりはしない。

・怖がっても大丈夫だと、心の奥底では確信している。だから平気で悲鳴を上げて、自分は怖がっていますって周囲にアピールできるんだ。

・演技か本気かなんて対した問題じゃない。怖がっているとバレてもいいって思える時点で、安心しきっているということだ。本当に怖い相手には、自分はビビッてますと知られるのは非常にまずい。危険だ。簡単にやられてしまう。

・怖がって大声を上げるというのは、群れの中で生活している者が、他の者に助けを求めるということだから、助けが期待できないときには意味がない。

・神は本気で悪魔を滅ぼす気がない。悪魔がいなくなってしまえば、神の価値を上げてくれる存在がなくなるからだ。

・ミロのビーナス像は、腕が欠けているからこそ価値がある。あれがふつうの女性像だったら、誰もそんなに大したものだと思わないんじゃないのか?

・欠けていることが人の心を刺激するから、ミロのビーナスは永遠の芸術のシンボルになった。

・残るような芸術が何故残るのか、それは残したいと思うヤツがいるからだ。なんで残したいのかというと、そいつも消えてしまうから、自分の代わりに残るものが欲しいからだ。

・戦争がなくならないのは闘争心のせいじゃない。もめ事を解決するのをメンドくさがって、怠けているうちになし崩しに事態が悪化して、後戻りできなくなっているだけだ。戦争が人間の本質、ってのはそういう意味だ。

・寝てばっかりで来場者につまんねーぞと野次られるライオン、生物の本質があそこにはあるよな。

・目先のことしか考えない漁業者によって放流されたナイルパーチのため生態系が完全に破壊され「金になる」魚以外は生存できないものに変わってしまったのです。

・むしろ憧れとか希望とかを持っていると邪魔なくらいの、そういう場所なんだって。だからテレビに出たがっている人がほんとうに出た後でどうなるかも、なんとなくわかる。みんな心の中で宝物のように大切にしていたものをゴミのように扱われてもへらへらしていられる、そういう割り切ったものになってしまう。

・伝統を守ると称して都合のいいところだけをつまみ食いするか、古臭いことは無視していいと舐めた態度を取るか、だ。

・毎日働いているヤツが一日でも仕事をサボれば責め立てられて、怠け者が仕事をしなきゃならんと叫べば世間は喝采する。

・正しいだけでは足りないんだ。それが世界の本質だ。

・自分が思い通りにできないからって、他人にまでそれを押しつけようとしてる。

・理由もわからず、そういうもんだって決められたことに従っている。それができない人を見つけては空気が読めないヤツって馬鹿にしている。自分だってその空気ってのが何に由来しているのか、その理由を全然知らない癖に。

・あきらめなさい。生きる気がないヤツは、どうせ助けられない。

・毎日さんざん使っている携帯電話の構造さえ知らないというのに、この男の異常さだけを怯える資格が自分にはあるのだろうか。

・おざなりな正義と古臭い建前で凝り固まった世界を少しでも崩して風穴を開けてくれそうな、悪と呼ばれることを恐れない強さに憧れる。

・どんな形であれ、とにかく関係がなければ、そこに憧れは生まれない。



私と悪魔の100の問答 Questions & Answers of Me & Devil in 100 (100周年書き下ろし)

私と悪魔の100の問答 Questions & Answers of Me & Devil in 100 (100周年書き下ろし)

  • 作者: 上遠野 浩平
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/10/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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