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『「論理エンジン」が学力を劇的に伸ばす』 [☆☆]

・論理には演繹法と帰納法がある。演繹法とは、一般から具体を導く方法である。帰納法はその逆で、具体から一般を導くことだ。

・受験で必要なのは、そのほとんどが演繹的思考力である。数学では、公式を頭に置いて、最後は具体的数値を求める。物理では、たとえば万有引力の法則から、個々の現象に関して説明する。すべて、一般から具体ではないか。逆に、ニュートンが個々の現象から万有引力を発見したのは、帰納法による。

・人間の頭は突然、なにかの拍子で変わるものではなく、毎日ご飯を食べるように、日々論理的に言葉を扱いつづけるうちに、自然と変わっていくものなのだ。

・言葉を使わないで、「わからない」と思うことはできない。「眠い」も「甘い」も同じことである。「甘い」というなにかが存在するわけではない。その人が「甘い」と認識したのである。そうやって、人間は言葉で世界を切り取り、認識し、整理していく。

・言葉を使わないでなにかを感じたり、考えようとする状態を、「カオス(混沌)」という。人間はカオスの状態から、あらゆるものを言葉で切り取っていくのだ。

・おそらくまだ言葉が生まれていないころ、空は空ではなく、大地は大地ではなく、カオスだったのだ。私たちが「空」「大地」という言葉をはじめてもった瞬間、世界は空と大地に分かれ、「空」「海」という言葉をもった瞬間、空と海に分かれていく。言葉が「空」を生み、「大地」を生み、「海」を生んだのだ。

・言葉の微妙な使い方に習熟すると、それはその人の感性を磨いていくことになる。不快な感情を、すべて「ムカツク」というひと言で表現することで満足している人は、そのような粗雑な感性で生涯を生きていくことになる。

・自分の好きな作家の本は、いつ読んでも楽しいものだ。また、自分の考えに合う文章を読めば、自分自身が肯定されたようで心強さを感じる。しかし、これではいつまでたっても知識の幅が広がらないし、自分の価値観の偏りに気づくことができない。

・不快な感情を、すべて「ムカツク」のひと言ですませていると、それがその人の感性になっていく。感情は誰でも(動物でも)もっているが、繊細な、あるいは鋭い感性をもとうとしたら、言語の使い方に習熟しなければならない。

・「国語の授業には感受性や想像力が大切だ」という教え方は、一歩まちがえば、教師の感受性や想像力の押し売りとなって、かえって子供たちの反発を招くことになりかねない。感受性や想像力は教えるものではなく、育てるものなのである。



「論理エンジン」が学力を劇的に伸ばす

「論理エンジン」が学力を劇的に伸ばす

  • 作者: 出口 汪
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2006/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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