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『坂の上の坂 55歳までにやっておきたいこと』 [☆☆]

・とりわけアッパーミドルクラスの人々の間では、こういう考え方が主流でした。「リビングにテレビがあるのは、会話を楽しむ教養がない人たちがすること」

・日本はやがて成熟社会になる。成熟は、単に経済の成熟や高齢化を指すだけではありません。これをやっていればいい、というみんなが追いかける一般解や目標には、あまり意味がなくなってくる。自分が何を追いかけたいのかが問われてくるのです。

・人が幸せになるためには、自分自身で「何が幸福なのか」を定義しなければならない。それが、成熟社会の姿なのです。

・ゴールデンウィークの交通渋滞も、日本国民が世界一高い電気料金を払わされ続けてきたことも、根は同じこと。「みんな一緒」をやめて、ピークをちょっとずらせば解消する問題です。

・日本人は無宗教なわけではない、無宗教という宗教に入信しているのだ。それは何かといえば、「現世御利益」でしょう。

・キリスト教はじめ、なぜ世界の宗教が日本に浸透しなかったのか。ひとつの仮説があります。それは、日本人が現世御利益を求めてしまうからです。すぐに結果を求めてしまう。「天国では幸せになれる」などと言われてもピンと来ない。

・外国では絵や図がうまく描けない人が少なくありません。日本人のようにさっと地図を描くのが不得意な人が多い。ところが日本では、ごく普通の人がさらさらと図や絵で物事を説明できる。これは、教育の賜でしょう。

・新聞報道をそのまま事実として受け取ったり、キャスターやコメンテーターの勝手な解釈を自分の意見であるかのように勘違いしてしまう。

・彼らが知りたいのは「あなたは何ができるんですか?」の一点です。端的に言うなら、「そのとき、私はどこにいたのか」を書くのが日本流なら、「そのとき、私は何をしたのか」を書くのが欧米流です。

・自分の名前で本が出ていると、運良く講演の声がかかるということもあります。日本の社会が「講演会」や「研修会」にけっこう大きな価値を置いていることはあまり知られていません。みんな専門家の人脈があるわけではないので、専門の話が聞きたいのです。

・ヨーロッパのブランド時計のムーブメントが実はいくらなのか、私は業界の人に聞いて仰天しました。手巻きのムーブメントなら、現地の工場卸売り価格で、数千円で買えるそうです。

・画家の描く絵は一般的に、画商が買った瞬間に三倍くらいになります。ということは、消費者が持ち帰った瞬間、価値が三分の一以下になってしまうということです。ならば直接、画家に頼んだほうが安い。

・オリジナルなモノづくりのハードルは今やどんどん下がってきています。アイディアさえあれば、工場を持っていなくても個人でファブレス・マニュファクチャラー(製造設備を持たない製造業者)になれます。

・ひとつの情報だと点で終わってしまうし、二つだと線、三つなら面になって、四つくらい情報がまとまれば、ようやく奥行きのあるイメージとして記憶されます。

・日本の義務教育の地盤沈下は、お父さんお母さんの学歴が高まったことも影響していると私は見ています。両親の相対的学歴が教員全般より高まったことで、先生への尊敬の念が薄まってしまったのではないか。

・ペットを飼うときに重要になるのは、名前です。一日に何度も呼ぶ名前ですから、ポジティブなイメージの名前のほうがいい。できるだけ明るい名前、そうなりたい名前、幸福を呼び寄せる名前がいい。

・痩せることをがんばりたいなら、飼い犬や飼い猫に「ジュリエット」より「ダイエット」と名づける。

・変動金利では、金利上昇時に利息が返済額を上回ってしまって元本が減らない「未払い利息」という状況が発生する。住宅ローンには、払っても払っても元金が減らない、永遠に借金がなくならない可能性だって起こりうる。

・今では自動販売機がしゃべりますし、エレベーターが話しかけてくることもある。環境のほうから働きかけてくるから、人間が自分から働きかける機会が圧倒的に減っています。

・人間が頭を使わなくていいように、機械のほうのインテリジェンスを高めているわけです。便利さと表裏一体の、このヤバさにも気づいていたほうがいい。

・避難所には、800人の方が避難しておられました。800人の方々に700個のロールケーキでは数が合わない。だから、このロールケーキを受け取るわけにはいかない、と避難所の責任者に拒否されてしまったのです。800人には800個配らないと不公平になる、と考えたのでしょう。不満の声が上がるくらいなら、むしろ断ってしまったほうがいい、と。



坂の上の坂

坂の上の坂

  • 作者: 藤原和博
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2011/11/22
  • メディア: 単行本



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