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『ダンテ・クラブ』 [☆☆]

・我々は周囲にいるあらゆる人間を脅かしているんだよ。そうしなければ何かを成し遂げることはできないんだ。

・我が国の精神は電信の速さで進んでいるのに、偉大なる教育機関の方は駅馬車でその後を追いかけているのさ。

・毎週のように、さまざまな文芸紹介記事が現代の最高傑作が出版されたと報じており、「深い独創性」などはもはや、無知な人間ならこの国の主要作物だと思いかねないほどありふれたものになっていた。

・ふたりの争いはたいてい、どちらが注目を集めるかの争いだった。

・厳正さを欠いた憂慮は、臆病な利己主義やたんなる感傷にしかなりません。

・しゃべらせるのではなく、耳を傾けさえすればよかったのだ。

・真の詩とは、あらゆる人間の心に浮かぶ漠とした人生観が、すぐに役立つ軽便かつ実用的なものとして、核となる一行に凝縮されているもののことなのだ。

・すぐに泣くような未亡人は、たいていすぐに新しい夫と一緒になる。

・過去を許してもらうには死ぬのが一番みたいだな。

・ボストンの人間になるには、すなわち自分とこの街とを同時に背負って立つ人間になるには、君が自分でそれを選ばなくてはならない。さもなければ、君はいつまでもよそ者のままだ。

・あんなものは、それ自体くだらんだけでなく、同じ主題でもっといい作品が出てくるのを妨げることにもなる。

・読者が何を読むかは知っていても、なぜ読むのかはよく知らんのじゃないか。

・新来者を我が国の国民性に順応させ、我が国の制度に喜んで服従するようにさせなければ、我々の方が、いつの日かよそ者の大群に順応させられてしまう。

・誰も傷つかない限りは事を荒立てない男。

・日和見主義者たちは、善を選ぶことも悪を選ぶこともしなかったため、天国と地獄のどちらからも疎まれる。

・公開処刑にしたのは、その脱走兵が軍を見捨てたように、軍も彼を見捨てたことを示すためです。奴隷主たちも同じような手法で、逃亡しようとした奴隷を見せしめにしていました。

・誇り高いイタリア人はみなそうだが、彼もまた生まれながらに、誰もがイタリア語をしゃべるべきだと思い込んでいた。話さない人間は、会話を交わす価値もないと。

・他の国からの移民が増えれば、すでにここにいる者たちの仕事がその分だけ減るわけですから──どんな問題が起きるかは、おわかりでしょう。

・自らの正しさを信じてますます憎しみに燃え、己の罪をすら殉教者の印に変えてしまっていることが多い。

・ひとりの誠実な人物とのつきあいの方が、互いの称賛を何よりも求めるせわしない話し好きたちとの交際よりも好きなんだ。

・ひとりの友人を食事に招くなら、最高のワインを。ふたりの友を招くなら、その次でけっこう。

・人はみな二度、暗い森に踏み込むと言うがね──一度目は人生のなかばのどこかで、二度目はそれを振り返ったときに。

・不完全な生ではなく、たんなる未完了の死だ。

・ときにはな、やることはすべてやったんだと、あきらめるしかないときもあるんだ。

・反抗などという贅沢は責任がないからこそできるんだ。

・人間というものがいかに徹底して不完全に作られているか、医師として絶えず思い知らされていた。

・理想を持つ人間は、ちょっとやそっとの不幸じゃくじけないものだ。

・e io sol uno (エ・イオ・ソル・ウノ) 「ただわれひとり」

・せっかく復員してきたのに、まだ軍服なんか着てるのか? 今度は誰のための戦争をしてるんだ?

・この戦争では、北軍の名誉だの、奴隷解放だの、あるべき秩序の回復だのといったお題目が戦争遂行の理由とされた。ところが、そういうものを聞かされた兵隊たちがいざ故郷へ帰ってみたらどうだ? 粗悪な小銃や軍服を売って肥え太った連中が立派な馬車で街を走りまわり、オークの茂るビーコンヒルの屋敷で豪勢な暮らしをしている。

・銃を突きつけられ、卑屈な態度を取らされたことへの復讐なのだ。

・狂気というのは、精確な頭脳が過度の負担をかけられたときに採用する論理であることが多いんだ。

・人間というのは、己の悪癖のにおいを他人に嗅がされるのは嫌いなのさ。

・威厳の秘訣は、けっしてあわてないことだ。

・感情を抑えられず、不用意に怒りをぶちまけるのは、肝っ玉の据わった男ではない。気の小さい人間だ。

・人生の幸福の大部分は、戦いを遂行することにではなく、避けることにあるんだ。見事な撤退はそれ自体ひとつの勝利だよ。

・貴様はいつも傍観してるな。自分の方が分別があるような顔をして、他人のやることをいつも傍観してる。

・酔っぱらって騒ぎを起こすばかりで、もはや敵を警戒することも忘れ、一般人と同じく盲目になっていた。

・「大事を辞(いな)める者」が最悪の罪人だ。何百万という人々に正義をもたらすことのできる重要な地位を拒んだことに憤慨した。

・懲罰にはある程度の長さの苦痛、すなわち感覚の幽閉が必要なのだ。



ダンテ・クラブ

ダンテ・クラブ

  • 作者: マシュー・パール
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/08/26
  • メディア: 単行本



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