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『ビジネス難問の解き方 壁を突破する思考』 [☆☆]

・目的はあくまで利害対立のなかで優位に立つことであり、戦争はそのための手段のひとつに過ぎない。

・日本のスポーツ選手は、試合前のインタビューなどで「相手は関係ない、自分のプレーをするだけです」という言葉をよく口にする。一見頼もしく聞こえるが、実はこれがあぶない。いくら自信があっても、「自分のプレー」が勝つための正解とは限らない。そういうのを「ひとり相撲」というのである。

・勝海舟は、「誰を味方にしようなどと考えるから間違うのだ。みんな敵がいい。敵がないと、事が出来ぬ」という言葉を残している。

・「和をもって貴しと為す」日本人は対立を好まない。もっと言えば、対立の緊張感に耐えられない。

・一級品とは何か? それは壊れないものだ。

・ラインの完成度が高ければ、当然のこと、検査に手間をかける必要はない。逆に、厳重な検査を行なうのは、それだけラインが未熟で不良品が出やすいからだともいえる。

・日本のものづくりの現場では、不良品を出荷しないのではなく、はじめから不良品を生産しないことが現実的な目標となっている。

・人間は本能的に臆病であり、危険を最大に見積もる。

・結果されよければ、手段は常に正当化される。

・欧米の人々と日本人とでは、そもそも豊かさの価値観が違う。つまり、どんな生活をしたいかという目的意識が違うから、世の中の現状に対する認識も大きく分かれるのだ。

・コロンブスは自らが発見した新大陸を、死ぬまで東洋の一部だと思い込んでいた。東方交易の道を拓くことだけを冒険の目的と定め、それ以上の成功の可能性があるとは夢にも思わなかったのではないだろうか。先入観というものの恐ろしさである。

・実は、何のためにそれをやるのかという目的を検討する段階で、成否の90パーセントが決まるといっても過言ではない。

・農業を行なう自然環境としては、日本は世界でもトップレベルにあるのだ。それでいて、日本の農業がうまくいかないとしたら、これは天災ではない。明らかに人災である。逆に言えば、何がどう悪いのか、人災の要因となる問題点を発見し、解決すれば、日本の農業は世界一になるのも夢ではないというわけだ。

・文字の多寡だけでは情報量の大小ははかれない、「受け手が知らなかった内容をどれだけ伝えているか」が、情報量のものさしになるというわけだ。

・予測が覆れば、その後の行動も変わらざるをえない。ある人間に新しい情報を伝えたところで、それ以後の行動がどれくらい変わっていくか。その変化の比率によって情報量を規定しようというのが「情報理論」の考え方である。要するに、情報量とは驚きの大きさだといっていい。

・動機づけになるのはやはり好奇心だ。いいかえれば、驚き=情報量を求め、感じる心である。

・サイレント映画を字幕なしで上映し、いろいろな人に映画の筋や登場人物の気持ちを読み取ってもらうという実験がある。このテストで成績がよかったのは、仕事で何らかの成功を収め、家庭や周囲の人間関係も円満という人たちであった。子供の場合は、クラスの人気者的な子供がいい結果を出したという。

・好奇心や他者への感受性は、まず視覚的観察力からはじまる。

・海外からの中継なら、バックの街並みや、そこを行き交う人々の姿、表情に目を凝らす。ニュースの主役は往々にして演技をするが、背後の彼らはいわば素で出ているエキストラだ。彼らの表情に期せずしてその国の今がにじみ出ていることは珍しくない。

・「問題を発見する能力」の高い人ほどボケない。現状に満足して、何事も「これでいいや」となったら、もう本当にボケてしまうそうだ。すなわち、人間の脳の働きは「心配する」ことによって活性化されるわけである。

・現実の社会は、びっくりするような出来事ばかりで成り立っているわけではない。むしろびっくりしない、当たり前のことが大部分であって、その中にときおり、そうしたびっくりする事件が、ある種の誤差として混じってくるというのが真実であろう。

・資本財とは、モノを作るのに必要な素材や部品、工作機械などの生産財のことで、今ではこれが総輸出の七割を占めるようになった。それに対して、耐久消費財の輸出はわずか二割そこそこにとどまっている。いまだに日本の貿易黒字の原因は自動車だと考えている人たちに、私はこの事実をもっと大きな声で訴えたい。

・日本は天然資源が乏しいが、それを高度な技術で加工した「人工資源」(資本財)を、世界に対して独占的に供給できるのが強みだ。

・ITは金のなる木ではなく、問題解決のためのツールである。ツールだからこそ、さまざまなビジネスとも融合できるのだ。

・日本人は横並び意識が強く、誰かが何かをやって成功するとすぐ真似をしたがる。よほど秀でていれば別だが、そうではなくてみんなと同じ行動を取ったのでは、発信する情報量はゼロに等しい。まず競争には勝ち抜けない。何かしら「違い」や「新しさ」を出すことで、そこに情報量が生まれ、周囲から優位性や存在価値を認められるようになるのだ。

・同じアイデアでも、いくつかの目標に対してそれを実行するのと、ひとつの目標に狙いを絞り、もてる力のすべてをそこに集中するのとでは、印象や効果がまったく違う。当然、「そこまでやるのか」という驚きを与える後者の方が、情報量としては大きく、価値もある。

・えてして人間は、何かいいアイデアを思いついたり、切り札を手にすると、それだけですべてが解決できるように思い込んでしまう。現実には、思わぬ状況の変化によって、期待通りの結果が出ないことの方が多いのだ。

・評価能力とはすなわち、新しい技術に対してただ良い悪いを言うだけではなく、実際に使うか否か、その実行力までが問われるのである。誉めておいて使わないというのは、評価していないのと同じだ。

・最初から完璧な結果を求めるため、段階的に改善していけばいいというフィードバックの発想が持てないのかもしれない。

・問題があるから日本はダメなのだ、と現状をネガティブに見るか、問題があるにもかかわらずこれほど豊かだ、とポジティブに見るか、この違いは非常に大きい。なぜなら、およそ問題というものは、きちんとした手順を踏んで知恵を絞れば、必ず解決できるからである。

・日本語はかなり冗長な言語で、その会話の冗長度は、一般に約42パーセントだといわれている。

・世間に出回っているもっともらしい理屈だけで、生身の人間を動かし、現実と闘おうとすると必ず失敗することになる。



ビジネス難問の解き方―壁を突破する思考 (PHP新書)

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  • 作者: 唐津 一
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 新書



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