SSブログ

『キノの旅 21』 [☆☆]

・「ただ人気者になりたい。ただ有名になりたい」としか思わない阿呆共のオモチャになってしまった。そしてそのために、阿呆共は節度もなく手っ取り早く有名になることを狙うようになった。連中は、とにかくバカなことをして注目を浴びたがる。

・強風ですっかり横になった松は見ただろう? あれとまったく同じだ。歪んで大きく育ってしまったシステムは、二度と真っ直ぐには戻らない。無理に直そうとすれば――、折れる。

・混ざった血は、常にその中間を目指すのです。こうして長い長い時間をかけて、特徴のない平均的な顔つきが増えていきます。

・そこで奇策に出ました。本を読むことを法律で禁止してしまったのです。するとどうでしょう? 好きではなかった人は「わざわざ禁止されるくらいなら、それは魅力的な行動なのかもしれない」と勘ぐって、本に手を伸ばすようになりました。

・悪く言えば特徴のない、よく言えば全く場の雰囲気を乱さない声だった。

・「なんでその人に聞かなかったの?」「行けば分かるのなら、そっちの方が面白いでしょ?」

・心と体の限界を知り、心と体が病むほどの、必要以上の努力をせず、適度な休憩をとることができること。

・碑文で既に「石に彫った文」って意味だから、「石版の碑文」は「頭痛が痛い新聞紙の神」だよ。「読んで解読」は、ギリギリセーフかなあ。

・精神的に、肉体的に追い込まれても、決して相手も見ずに無駄な発砲としてはいけません。悪い癖です。撃てばなんとかなると思っているのは。

・何を見ることになっても負けないこと。自分を信じて、自分を大切にしなさい。たぶんそれが、一番難しいことなのですよ。

・旅先で重要なのは、生水を絶対に飲まないことだ。一度沸かせば雑菌は死ぬし、お茶にすれば多少汚い水でも味をごまかせる。

・奴隷が自由になるには、解放されるだけじゃダメだ。それまでのさばっていた「主」を殺さなくちゃ。さもなきゃ、一生追いかけられる夢を見るぜ?

・人殺しは初めてだろうけど、心配するな。俺達はみんな荷物を守るために何人か殺しているが、「目的がちゃんとある殺し」はそんなにショックは引きずらないよ。安心しろ。

・私達は、毎晩死ぬんだよ。寝ると意識が全て飛ぶだろう? その時、人は死ぬんだ。朝になると新しい魂が発生して、その肉体に宿る。記憶だけはそっくりのまま、同じ体に引き継いでいる。だから名前も持ち物もそのままで、今日を生きる。

・ただ単に同じ体と記憶を引き継いだだけの、別の魂を持つ他人なんだよ。私には昨日の記憶があるけど、それは昨日の他人が、この体で体験したことさ。

・「体と記憶が同じなだけの別人では、絶対にない」ということを、証明できるかい?

・昨日生きた私と同じ体の誰かは、「安らかに眠った」。記憶と体を引き継いだ私達は、今日一日を精一杯生きる。悔いのないように。そして、明日の誰かに、体と、素敵な記憶を渡せるように。



キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

  • 作者: 時雨沢 恵一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/10/07
  • メディア: 文庫



キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

キノの旅XXI the Beautiful World (電撃文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2017/11/10
  • メディア: Kindle版



タグ:時雨沢恵一
nice!(0) 
共通テーマ:

nice! 0