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『採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの』 [☆☆]

・「アップ・オア・アウト(Up or Out)」という原則があります。これはキャリア形成上の節目には「昇格するか、組織を出て行くか」というふたつの選択肢しか存在しないことを意味し、米系コンサルティングファームの人事制度を象徴する言葉としてよく使われます。

・世界中から留学生を集め、「多様な国の同級生と学生生活を送ることで、世界で働くことが体感できる環境をキャンパス内に作ろう」とする。

・「考えることが楽しくて楽しくて」という人でないと、毎日何時間も考える仕事に就くのは不可能です。

・思考力の高い人とは、考えることが好きで(=思考意欲が高く)、かつ、粘り強く考え続ける思考体力があるため、結果として「いくらでも考え続けられる人」のことを言うのです。

・現状分析能力があっても処方箋を書く能力がないと、現状というコインを裏返しただけの解決策しかでてきません。たとえば、「海外製品に比べて価格が高いから売れません」(現状分析)→「ではさらにコストを削減し、原価を下げましょう」といった具合です。これでは解になっていません。

・自分の言動を変えるのは自分一人でできるけれど、自分以外の人の言動は、リーダーシップなくしては変えられないのです。

・リーダーシップのある人は、「成果を出すこと」を「自説が採用されること」よりも優先します。

・私に求められているのは、「自分で決め、その結果に伴うリスクを引き受け、その決断の理由をきちんと説明する」ことであって、上司の指示をすべて聞き入れることではなかったのです。

・日本では社会において、さらに言えばビジネスの現場においてさえ「成果が最優先されない場合が多い」ことが挙げられます。実はリーダーシップを考える時、常にセットで考える必要があるのが「成果主義」なのです。

・「楽しければよい」状況で求められるのが、せいぜいまとめ役や調整役にすぎないのに対し、成果を達成するためには必ずリーダーシップが必要となります。

・他部署の判断に口を出さない人たちは、組織の和や組織の秩序を、ビジネス上の利益最大化という成果目標より優先しています。こういった職場では、リーダーは必要とされません。

・日本では、本来、成果目標を問うべき状況であるにもかかわらず、その目標が明確にされないために、みんなが「和」を優先し、誰もリーダーシップを発揮しないことがよく起こります。

・リーダーシップのない人に成果目標を与えると、その人は結果を出すために無謀な方法に頼ります。プレイヤーとしての自分の成功体験をメンバーに押しつけたり、根性論や精神論で乗り切ろうとする人もいます。

・日本では、雑用係のことをリーダーと呼んでいるのではないかと思うことさえあります。

・「俺がいいと言うまで何日でも歩き続けろ」と言われて、ひたすら歩き続けるモチベーションを保てる人はいません。「とにかく売上を上げろ、できるだけ利益を上げろ」と連呼するのはそれと同じです。

・「あなたはどうすべきだと思いますか?」と聞くと、「もっとよく調べます」と答えるのです。それなのに「調査で何がわかったら、決断できるのですか?」と問うても答えが返ってきません。こんな人がリーダーに向いているでしょうか?

・世の中には経営者が何も決断できないままに、ずるずると消耗戦を続けている企業がたくさんあります。

・同じものを見た時に、常に同じことしか考えないのであれば、ひとつのチームにその二人が存在する意義はありません。同じものを見ても、時には異なることを感じとるからこそ、それぞれの人の存在価値があるのです。

・従来は、日本など市場(購買力)が大きな国で雇用が生まれていたのに、これからは「その機能を置くのに適した国」に雇用が移転するのです。

・「その機能を置くのに適した国」とは、欧米から、および、地域内のアクセスがよく、優秀な人材が豊富で、社会コストが安い国です。

・ホワイトカラーの場合、求められているのは給与の安い人材ではありません。それは、英語でリーダーシップがとれ、専門知識を駆使してアジア全体のオペレーションを率いていける付加価値の高い人材です。

・日本の最大の問題は、「優秀な人材は存在しているのに、優秀なリーダーが存在していない」ことです。

・日本における「優秀な人」の問題は、チームで取り組むことで、個人で取り組むより高い成果を達成したという経験を持たない人が多いことです。この国ではむしろ優秀な人ほど「みんなでやるより自分一人でやった方が早い」と考えています。

・現実の社会を考えた時、集団や組織を動かさずに成果を上げられることはほとんどありません。ところが日本では教育現場においてさえ、そういった経験を求められません。これでは社会に出た後も、組織を動かすなんて不可能です。

・「自助と公助」と「共助」には大きな違いがあります。それは、他のふたつと異なり、共助が機能するためにはリーダーシップの存在が不可欠だということです。

・昔は村の世話役から名物町内会長まで、要となるリーダーが存在していました。そういった人がいなくなると同時に、伝統的な共助のコミュニティは崩壊したのです。

・核家族の両親が、赤ちゃんが熱を出すたびに救急車を呼んでいたら、公助は財政破綻するでしょう。しかし、ネット上のコミュニティで誰かがアドバイスをしてくれれば、暖かくして寝ているだけですむことも多いのです。

・現在の日本で起こっているさまざまな問題の根底には、リーダーシップ・キャパシティの不足という共通の課題が存在しています。知識や思考力や勤勉さを総動員し、目の前の問題を解決していくためのリーダーシップを発揮できる人の数が、あらゆる場所において不足しているのです。

・人は二つのタイプに分かれます。最初のタイプは、何らかの問題に気がついた時、「それを解決するのは、誰の役割(責任)か」と考えます。もう一方の人たちは、それを解くのが誰の役割であれ、「こうやったら解決できるのでは?」と、自分の案を口にしてみます。この後者の人を、リーダーシップがあると言うのです。

・世の中は「誰かが」うまくまとめてくれるのではなく、一人ひとりが力を出し合って、うまく回していくものなのです。

・日本ではTTPに関しても「参加したら、国際交渉でアメリカに押し切られ、日本は不利益を被る」という理由で反対する人がいて驚かされます。話し合いに参加したら不利益を被るから参加しないなどと言っていては、国際社会のメンバーとして認知されなくなってしまいます。



採用基準

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  • 作者: 伊賀 泰代
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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