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『つんつんブラザーズ』 [☆☆]

・欲しいものを買い、必要なものには金をかけない。

・人間は誰も、死ぬだいぶ前に、いらなくなる。不要になるのである。

・「安心」というキャッチフレーズを信じていたとしたら、さらにおめでたいことである。

・僕は、血が繋がっていることに意味があるとは考えない人間だ。親子の関係も、育てた時間に意味がある。

・「謝罪しろ」という怒りは、謝罪されたら行き場を失って、困ることになる。

・機械は生きていない、死者も生きていないという意味で、同じなのである。

・楽園と呼ばれるような観光地も、現地の人にとってみれば、貧しさから抜け出せない田舎なのである。

・帰り道に迷わないように、分岐点では、必ず後ろを振り返ることにしている。その方向の映像を記憶しておくことが、迷わない秘訣である。

・「屋台が炎上」などというニュースでも、屋台が何をして非難されたのか、と考えてしまうようになった。まさか、本当に燃えたとは考えない。

・本当にじっくりと取り組んで考えている人ならば、質問にはならず、自分のやった成果を語るはずだ。

・犬は、自分が見たものが現実であり、自分が知ったものが現実だと考えるしかないから、自分が知っていれば、誰もが知っているものになってしまう。

・仕事の関係というのは、報酬を払う側と、それに対して奉仕する側、つまり金の流れる始点と終点からなる。

・国立大学にいたから、お役所仕事も目の当たりにしている。「どうしてそんな無駄なことをわざわざするの?」ときくと、返ってくる答は、「それをする役目の者がおりまして」である。

・科学的なバックグラウンドがないと、すべてがSFになり、すべてがリアルなのだ。何がファンタジィで、どこから起こりうる未来なのかも、区別がつかなくなる。

・当時既に実現していた。単に普及していなかっただけである。

・大事なことは、政策である。民衆が喜ぶような政策ではない。民衆がちょっと困るような、つまり我慢を強いられるような政策を、きちんと説明すること。それが政治家に求められるリーダーシップの本質である。

・Amazonで読者の評価が低い作品ほど売れているのも同じで、売れているから、好意的でない人まで読む結果、評価の平均値が低くなる。

・安全とは、危険の確率を下げること、ゼロにすることではない。

・自分が置かれている状況が、どの程度に危険なのか、普段から意識しておき、常に確率が低い方を選択して行動していれば、大半の事故や被災は防ぐことができる。

・自己が実際に起こったのを見て、慌てて「ゼロにしろ」と言うような対処では、安全は実現できない。次に現れるものは、今まで顕在化しなかったものだ。

・ニュースになった過去の事故しかイメージできない人が多い。

・知りたいことは、自分の目で見て学ぶ。この観察力に、まず非凡な才能が発揮されるのが天才である。見ればわかる、ということだ。

・確実に言えるのは、天才は自分で自分を評価していることだ。人に評価されることが目的の凡人は、人に見てもらうまで出力結果の評価が見えない。だから遅いのである。

・大勢がいる場所に長時間いる人は、周囲の人間によって、自分の感情の大部分が作られていることを、多少意識した方が良い。認識していれば問題ないが、無意識に受け入れていると、一人になったときに感情がなくなっていて、笑えない、泣けない、という状況になるかもしれない。

・面接で本人の意気込みをいくら聞いても、わかるのは演技力だけ。

・祭りで餅や菓子を投げる人は少ないが、群がってそれを受け取ろうとする人たちは大勢いる。この少数対多数の関係が逆転するような事例はまずない。

・死が怖いのではない。ただ、明日も明後日もやりたいことがあるだけだ。

・機械の信頼性は向上し、トラブル・ゼロに近づいている。ただ、その一端は、未だ人間による整備に支えられている。

・人口減少で問題になるのは、安全である。犯罪に対する防御が、どのようなレベルで実現できるか。そのあたりが、都会と田舎の最後の決着をつけそうだ。人は、安全な場所に移動したがるはずだからである。

・警察や法律が抑止できるのは、軽犯罪だけ。自分が死んでも良い、という人間が起こす犯罪は防げない。

・恩人がいないというのは、窮地に陥らない用心深さの証かもしれない。

・ヨーロッパのある時期の美は、豪華絢爛な装飾の量を競ったが、それらは、富で美を買おうとした哀れな行為としてしか歴史に残らなかった。

・日本には古来、朽ちゆくもの、滅びゆくものの美へ注ぐ目があった。しかし、それは弱さを求めたのではなく、着飾った虚構が崩れ、還元される本来の姿に、永遠という強さを求めようとしたものだ。



つんつんブラザーズ The cream of the notes 8 (講談社文庫)

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  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/12/13
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