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『「バカ」の研究』 [☆☆]

・バカもゾンビと同じように、わたしたちをバカ仲間に引き入れようとしているのだ。

・複数形は人間にとって何の価値もない。四人以上集まったら、それはバカの集まりだ。

・バカを更生させるのが自らの義務だと、あなたが信じたとする。その時のあなたは、バカがどのように考え、行動すべきか、わかっているつもりになっているだろう。あなたと同じようにするのが正しいと思い込んでいるだろう……でもほら、実はその考え方こそがバカなのだ。これでとうとうあなたもバカの仲間入り。

・たった今見たばかりなのに、またすぐに腕時計に目をやるバカもいる。時間を知りたい時、わたしたちは腕時計に目をやる。それは自動的な手続き、つまり「スクリプト」だ。そうやって、目の前のことに集中しなかったり、別のことを考えていたりするから、結局は何も見えておらず、情報も頭に入ってこないので、二度も時計を見るはめになる。

・バカは信じる力に長けている。陰謀論、月の満ち欠けの心身への影響、犬にも効くとされるホメオパシー療法……ありとあらゆることを信用する。

・ふたりの高校生の場合も、「楽観バイアス」のせいで、「まさかバレるとは思わなかった」のだ。だが、もし友だちの誰かが同じ計画を彼らに打ち明けたとしたら、おそらくふたりとも「バレたらどうするんだよ、やめろよ」と冷静になって止めたことだろう。

・彼らは、太陽中心説信奉者の科学的な論証に対していつもこう言う。「しかし聖書では……」

・社会は、そこに暮らす人たちの協力と節度によって維持されますが、どちらの能力もバカには欠けている。バカが50パーセントもいると社会が成り立たなくなってしまいます。

・本物のバカとは、自らの知性に過剰な自信を抱き、決して自分の考えに疑いを抱かない人間のことだ。

・コーランには19、聖書には7という数字がそれぞれ数百回ずつ出てきて、特別な意味があると思われています。

・自分の問題点に気づいて治したいと思うのではなく、まわりをよりうまくコントロールするにはどうしたらよいかを知りたがるのだ。

・釣りのタイトルが疑問形の場合、本文でのその答えは常に「ノー」であるべきです。でなければ、タイトルにする意味がありません。ライターは意図的に読者をだまそうとしてこうしたタイトルを作ります。

・メディアの罪は、単なる噂や宣伝を「ニュース」として伝えている点にあります。

・誰もが世界の中心になりうるということは、全員が横並びだということでもある。

・チャレンジ動画の投稿者にとって、興味の中心は「チャレンジ」そのものではなく、他人に見られることだ。

・「存在するとは知覚されることである」は、デジタル時代に生きる人たちのための格言なのだ。

・現代社会では、バカな発言はかつてないほどたやすく、そしてスピーディに「シェア」され、「フォロー」される。これもまた、論拠を述べずに同じことを繰り返すという意味で、単なるトートロジーにすぎない。

・もちろん、実際には何も行なわれず、行なわれる「べき」ことを述べているだけなのだが。

・論理的に説明をしてひとつの結論に達するのではなく、いきなり結論を述べておいて、その後でそこにつなげるための理屈をこねまわす。バカは結論を出したがる。

・バカを生産・増殖するために生まれたかのような「インターネット」というテクノロジーに後押しされ、これからもますます速く、遠くまでバカは拡散されるだろう。

・「ポスト真実」は「ポストフィクション」をももたらすのだ。真実かどうかを気にしないということは、創作にも興味がないということなのだから。

・バカにならないために必要なのは、創作する喜びを再発見し、自らの知性について謙虚な姿勢を貫くことかもしれない。

・10歳の時にIQが平均以上だった子供は、成人してからベジタリアンになる確率が高いという。

・古代ギリシャ時代、ソクラテスが「記憶力の発達を妨げる」として読書を厳しく糾弾しました。確かにわたしたちは、ホロメスの『イリアス』や『オデュッセイア』をもう暗唱できません。そういった意味でソクラテスは正しかったのです。

・仏教の教えで言われるように、多くの大人は、自分の心にとらわれてしまい、私欲に走り、過ぎたことをくよくよと思い悩み、外の広い世界へ目を向けたがりません。

・今のテレビは最悪です。討論ばかりしていますが、その日の起きたばかりのことさえすぐに論じようとする。非常に軽率で無謀です。

・謝罪は人生の瞬間接着剤だ。これでたいていのものは修復できる。

・大学の哲学教授のほとんどは哲学者ではありません。哲学史を教えているだけです。「プラトンはああ言った、デカルトはこう書いた」としか言えない。「わたしはこう考える」と、自分の意見をきちんと言える者はひとりもいません。

・ただ自分の意見を述べるだけだとバカなのがバレてしまう。でも何かを測定した結果さえ提示すれば、バカがバレにくくなります。だから心理学者は測定せずにいられないのです。

・フランスでは一定の年齢以上になると教壇に立つ資格がなくなるようですね。老人の使い道などそのくらいしかないというのに。

・学のあるバカは無知なバカよりもっとバカだ。



「バカ」の研究

「バカ」の研究

  • 出版社/メーカー: 亜紀書房
  • 発売日: 2020/06/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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