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『書店はタイムマシーン 桜庭一樹読書日記 』 [☆☆]

・同世代の友人は、たまに親から注意されるときも、内容が具体的かつ社会的(身を固めろとか)なのに、どうしてわたしだけ、食事は1日3回とか、忘れずに水分補給しろとか、最低限の生命維持みたいなことを心配されるんだ。若干、悩んだ。

・福永武彦。息子が作家の池澤夏樹、孫娘が声優の池澤春菜とさいきん知ってびっくりした。

・どこの国にも、幼いころの惨めさを得意気に語る人がいる。

・起こった出来事と、それによって形成された人間性を、一見まったくちがう物語に落としこむのが、多くの小説の書かれ方かなぁ、と思う。

・休息に必要なのは、たっぷりの、食事と読書と睡眠、それから誰にも会わないことだ。

・知性や教養というのは本来、このようなエンターテイメントなのだなー、難解なことじゃなくて。

・現実は苦くときに社会は臭うほど汚いけれど、信じられる大人の姿を指針に、少年少女は未来を信じて雄々しく成長していく。

・兄貴は夢を見てたんじゃないよ。兄貴には現実というものがなかったんだ。

・"ドロレス"とは、ラテン語で「悲しみ」という意味です。

・君よ、若い人よ、愉快で偏狭で頑固でおっちょこちょいな、つまりはよき本読みとなれ、と後ろから無言で、フンフン、フンフンと祝福する。

・なぜか行く先々で体中に楽譜の刺青を入れ続けていた。皮膚に溢れる音楽。女たちを魅了する、その未知の魅力。

・人は、いつも引き裂かれている。上半身は空に向かおうとし、下半身は土に根を下ろそうとしている。

・何よりもまず、知られたくないと望んでいるのだ。理解に色濃く染まり、説明と洞察と愛情が鬱陶しくみなぎる世界にあって、神秘的で不可解なままでありたいと願っている。

・なにかが過剰で、この世の斜め上に突き抜けてしまった人たち。

・だらしない女はそうでもないけど、だらしない男ってエロティックだと思う。

・「あなたはこういう作家のはずだ」って自分の考えをぶつけたいインタビュアー、案外いるんだよね。

・住む場所を変えることでリセットしようとするのは、前に進んでいるんじゃなくて、さまよっているのかも。

・「昭和の時代には<魔少年>がいた」って。15歳でランボオを読んじゃうような早熟の天才。

・純文学っていうのは、物語じゃなくて文章を読む、文体を味わうものだってこないだ聞いたんだ。



書店はタイムマシーン―桜庭一樹読書日記

書店はタイムマシーン―桜庭一樹読書日記

  • 作者: 桜庭 一樹
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本



タグ:桜庭一樹
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