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『ポスト・モバイル ITとヒトの未来図』 [☆☆]

・仮想が癒されない現実のオルタナティブだった日はもはや過ぎ去り、現実が仮想を補完する二義的な要素になりつつある。

・大衆に熱狂を期待するのはインテリ層の悪癖であろう。

・情報処理機器が場所でなく、人に帰属するようになる「属人化」は、生活を情報処理に依存する度合いが高まれば必ず観測できる現象である。

・属人化の傾向は、ゲーム機にも波及している。PS3やXbox360といった据え置き型のゲーム機の販売台数は予測値を下回ったが、PSPやDSにおいてはその限りではない。

・どこに行っても電力や水が供給されるように、どこへ行っても演算能力が共有されるようになるだろう。現在では、照明や冷暖房設備が「サービス」であると認識されることは少ない。これらはすでに環境である。

・どんなメリットがあるのかを示せなければ、技術的にどんなに優れていても普及することはない。過去、多くの製品や技術が運用の形を示せずに市場から消えていった。

・利用者にとって、読んだそばから捨てることを考えなければならない新聞や雑誌などは、電子書籍化が特に歓迎されている。

・アマゾンはキンドルで販売する電子書籍の著者印税率を最大70%に設定している。

・キンドルの白眉は、他の成功したウェブ・アプリケーションと同様に、情報の発信者(著者)と受信者(読者)の距離を近づけ、時には交差させることにあるだろう。アマゾンは、ブックストア上で著者が電子書籍を直販することを認めている。

・人が群体として存在し、その共同体において行動する以上、その行為が誰かによって見られるのは必然であるとも言える。「自分が監視されている」と感ずるか否かは、多くの場合主観の問題であり、その人の性向やバックグラウンドによっても異なる。

・現代的な監視とは、被監視者も喜ぶような形で行われる。「児童や高齢者の安全にも寄与する」と言われれば、そこで思考を打ち切りたくもなる。

・われわれは、コンピュータに触れたいのではなく、サービスに触れたいのである。しかし、サービスを作り出すためにはコンピュータの演算能力が必要で、結局サービスを享受しようと思えば、コンピュータを買ってきて、会社や家でコンピュータを動かし、演算能力を生成しなければならなかった。

・「ウェブサーバAでいつもホームページを見ているが、ウェブサーバAが突然壊れてしまった。しかし、予備のウェブサーバBがすぐに稼動して、ウェブサーバAの代わりにホームページを見せるサービスを始めた。利用者はまったくいつも通りにホームページを見ることができた」 このような状況のとき、このサービスは「透過性」があると呼ぶ。



ポスト・モバイル―ITとヒトの未来図 (新潮新書)

ポスト・モバイル―ITとヒトの未来図 (新潮新書)

  • 作者: 岡嶋 裕史
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/07
  • メディア: 新書



タグ:岡嶋裕史
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