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『人生論ノート』 [☆]

・独断家は甚だしばしば敗北主義者、知性の敗北主義者である。彼は外見に現れるほど決して強くはない、彼は他人に対しても自己に対しても強がらねばならぬ必要を感じるほど弱いのである。

・ひとは軽蔑されたと感じたとき最もよく怒る。だから自信のある者はあまり怒らない。

・孤独は山になく、街にある。一人の人間にあるのでなく、大勢の人間の「間」にあるのである。

・嫉妬は自分よりも高い地位にある者、自分よりも幸福な状態にある者に対して起こる。だがその差異が絶対的でなく、自分も彼のようになり得ると考えられることが必要である。全く異質的でなく、共通なものがなければならぬ。

・部下を御してゆく手近かな道は、彼等に立身出世のイデオロギーを吹き込むことである。

・思索の根本的な形式は対話である。

・期待は他人の行為を拘束する魔術的な力をもっている。

・世間が期待する通りになろうとする人は遂に自分を発見しないでしまうことが多い。秀才と呼ばれた者が平凡な人間で終わるのはその一つの例である。

・主義というものは自分で称するよりも反対者から押し付けられるものである。

・何が一般に病気であるかは、医者の判断よりも患者の判断及びそれぞれの文化圏の支配的な見解に依存している。

・旅をすることによって、賢い者はますます賢しくなり、愚かな者はますます愚かになる。日常交際している者が如何なる人間であるかは、一緒に旅してみるとよく分かるものである。



人生論ノート

人生論ノート

  • 作者: 三木 清
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2009/02/24
  • メディア: 新書



タグ:三木清
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