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『ビジネスに「戦略」なんていらない』 [☆☆]

・ビジネス書を読む読者が見落としているのは、ルールブックをいくら読んでもゲームを楽しんだことにはならないという単純な事実です。

・ゴルフがうまいか下手かは、ゴルフを楽しむということとは本来関係のないことです。ゴルフが本当に楽しいのは自分が上手になってゆくプロセスを実感できるからなのです。

・モノの交換から始まって高度消費資本主義の現在に至るまでの「商取引」の原理からいっても、ビジネスはモノを媒介とする平和的なコミュニケーションであり、戦争のアナロジーで語れるようなものはないはずです。

・戦略本が読者の心の深いところに響かせているのは「恐怖」です。敵よりも早くこの「戦略」を手にしないと大変なことになるよ、というわけです。

・共同体には必ず、その共同体をバインドする「共同幻想」が必要です。

・物語を語るものはほとんど宿命的に自分の起源について嘘をつく。

・希少価値に必ずしも高い価格がつくわけではありません。この世にひとつしかないものなんて、それこそ掃いて捨てるほどあるのです。幼児の落書き。使い古した衣服。全ての絵画。みんなこの世でひとつしかありません。それにもかかわらず、あるものにはとてつもない価格がつき、あるものは捨てられる。

・お客さんは「神」なのですから、神との対話は理解し合うかどうかではなく、信ずるか否かという次元の問題なのです。

・相手が必ず「ズル」をする、こちらを騙そうとしている、攻略しようとしていると考えることは他者に対する拒否の兆候です。敵対関係というものは、まさにこのような相互不信を拡大再生産してゆくような関係であると言えます。

・確かに「嘉永元年開業」というような看板を見ると「へえ、すごいね」と思ったりしますけれど、じゃあ、そういうところの蕎麦が昨日開業した隣の蕎麦屋の蕎麦より美味しいかというと、そういうことでもありません。

・科学者というのは、自説を反証したさらに包括的な理論に「有用なパーツ」として組み込まれることを「屈辱」ではなく、「栄光」と感じる知性のことなんです。「ああ、私はこういう「氷山」の一部だったのか……」という納得の仕方をするということですよね。

・「原初の遅れ」というのは、人間が世界に到来したときに、すでに「自分抜きでゲームが始まっていた」という感覚のことです。



ビジネスに「戦略」なんていらない (新書y)

ビジネスに「戦略」なんていらない (新書y)

  • 作者: 平川 克美
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2008/06
  • メディア: 新書



タグ:平川克美
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