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『ななつのこ』 [☆☆]

・いつから、与えられたものに納得し、状況に納得し、色々なことすべてに納得してしまうようになってしまったのでしょうか?

・本当は大切な謎はいくらでも日常にあふれていて、そして誰かが答えてくれるのを待っていたのです。

・<本を読むために読む>ことを、さっぱりと止めたのだ。そして読書が楽しくなった。

・女という生き物は、自分がステキな服装をしている(あるいはそう信じている)ときには自ずと気分が浮き立つものだ。

・メートルないし、キロメートルで測るよりもより大きな距離が、両家の間には介在していた。その計測単位は<円>という。

・日本の都会には、むき出しの地面というものはないに等しいのが昨今の現実です。とりわけ「プライベートな土」というものは、平穏に生活する庶民とはどんどん無縁のものとなりつつあります。シャベルやスコップすら持たない家が多いのです。

・おぞましいものや汚いものは視界内に入れたくはない。場合によってはいささか卑怯ともなりうるが、精神世界をさわやかに保つ為にはいたしかたない。私の「逃避型処世術」である。

・絵は本当の通りに描くことはないのよ。写真とは違うのだから。自分が本当にいいなと思うものを、心を込めて描けばいいの。

・これは琴座のヴェガです。つまり一万二千年後には、織姫星が北極星になるのです。

・これは白鳥座のデネブです。八千年後にはこの星が、北極星になるのです。

・いつも本ばかり読んでいた。でなければ、文字通り夢みたいなことばかり空想していた。何年生のときだったか、保健体育の教科書の中で、それらの行為が<逃避>という冷ややかな言葉で片づけられていることを知り、私は深く傷ついた。

・理解することと納得することは、別な問題である。

・その人はね、他の人が絶対に真似のできないことを進んでやることで、人の尊敬を手に入れられると思っていたのよ。そんな方法しか、知らなかったのね。

・紫陽花がピンクになったり青くなったりするのは、土の中に溶け込んでいる、アルミニウムの量によるんですって。

・教師としてはまだ若すぎるのではないだろうか。情熱や常識が、ときとして弱い子供を脅えさせることに、思い至らないのだ。

・天文学をやっていると、自然に神話に詳しくなるだけだよ。

・頭のいい人の一番の欠点はね、自分以外の人間が何も考えていないと思っちゃうことですよ。悪気がないから、余計に始末が悪いの。ホームズやポワロとおんなじでね。

・結局、世の中なんて、うまくいくか、いかないかのどっちかよ。まあ統計学的にみて、五十パーセントはうまくいくわけですよね。四捨五入しちゃえば、十割だわ。



ななつのこ (創元推理文庫)

ななつのこ (創元推理文庫)

  • 作者: 加納 朋子
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 文庫



タグ:加納朋子
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