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『狼と香辛料 10』 [☆☆]

・景気が悪くなって下手に出るのは平民だけだ。高貴な連中は大抵余計につけ上がる。

・会話の矛先を急展開させるのは、相手から本音を聞き出す時の常套手段。

・剣を振り回してきた王には知恵の回し方がわからんのでしょう。

・一国の経済は石壁の中で行われる秘密の儀式ではないから、必ずどこかの国の貨幣で価値を計られることになる。弱った鹿が狼に食われるように、弱い貨幣で計算される財産は、強い貨幣によって食い荒らされるのだ。

・いくら高価だといっても、まだしも金を積めば買える物の中にある。本当に高価なものというのは、いくら金を積んでも買えないもののことだ。

・強い貨幣はなによりも強い武器。

・戦が劣勢の国ほど奇跡譚が多い場所はない。

・商売はいつだっておおっぴらに口にしないほうが儲かるもの。

・好奇心のない商人は信仰心のない聖職者だ。

・水瓶と同じように、無口な人間は言葉を口から流さない代わりに、たっぷりと頭の器に知識を溜め込んでいるともいう。

・下手に出ることと、見下されるのは似て非なるもの。

・自信を持って嘘をつくには、真実を土台にして限りなく広い解釈をすることだ。

・旅を共にするのならな、同じ奴が二人いてもしょうがない。互いに補い合ってこそ、最良の旅の友だ。

・どんな思惑であれ、相手がそれを知ることよりも、相手に訝しまれたほうがよくない結果を招くことは往々にしてある。疑念と想像は、真実を超えて膨らみやすいからだ。

・おや、と思ったのは、その言葉と振る舞いが、ほんの少し恩を売るようなものだったから。売るのだから、なにかを買うつもりに違いない。

・仕事も金もなければ、奪うか乞うかしなければなりませんが、そんな連中であふれていると治安が非常に悪化します。

・偽善と善行は紙一重。そのことをきちんと理解している者の笑顔は、いつだって爽やかな苦笑いだ。

・財布に入りきらない利益を追い求めた時、人は大抵不運に見舞われる。財布は胃袋と同じ。欲張れば、破裂して死に至ることだってある。

・ものを頼む時に、へりくだるでも、押しつけるでもなく、対等の立場に立つのは本当に難しい。誇りを持ち、かといって、居丈高にならず。

・物事の解決方法にはいくつもの選択肢がある。だが、そのなにかを解決したあとも、俺たちは生きていかなければならない。だとしたら、俺たちが選ぶのは、最も簡単に解決できる方法よりも、そのあとに気分よく、心安らかに暮らせる解決法であるべきだと。

・彼らは小麦の刈り方と共に、その増やし方も心得ている。一度の大きな儲けよりも、長く続く小さな儲けのほうが尊いとわかっている。

・一つの方法で全ての戦を勝ち続けることはできない。相手に応じて戦術を変えていくことこそが、唯一最強の必勝法なのである。

・どんな集団であれ、そこへの帰属意識は人間を犬にする。

・異様、というのはそれだけで大きな力になる。

・そこに一人なじまぬ者がいれば、それは天性の阿呆か、さもなくば。さもなくば、別の論理で生きる者だ。

・責任と目的意識は自然と鎧のごとく体を覆い、その者の本音を覆い隠していく。辛いことや悲しいこと、嫌なことや納得できないこと。それら全てを飲み込んで、ただひたすらに前進する。



狼と香辛料〈10〉 (電撃文庫)

狼と香辛料〈10〉 (電撃文庫)

  • 作者: 支倉 凍砂
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2009/02
  • メディア: 文庫



タグ:支倉凍砂
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