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『未来の記憶のつくり方 脳をパワーアップする発想法』 [☆☆]

・右肩上がりの時代では、明日は今日よりよくなることが当たり前。日々の「未来の記憶」は、自然と明るい色彩を帯び、人びとに活気を与えていました。

・仮に原因がわかったにしても、その原因が取り除けないこともよくあります。たとえば過去の生育歴が原因だったとしても、生育歴を除去することはできません。

・経営コンサルタントが問題点ばかりあげつらって、解決策を一向に提示しないのなら、無駄もいいところです。

・「記憶は呼び出されるたびに不安定化する」という考え方があります。「記憶」は、どこか脳の中にあって、それを引き出してくる、といったものではなく、呼び出すたびにつくりあげられるものだというのです。だから、「記憶は呼び出した瞬間にこそ、変化のチャンスがある」というのです。

・もしうまくいっていないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ。

・集団全体、たとえば国全体とか、市町村全体とか、そういうマスに対する対策を立てるのなら、原因に対する正しいアプローチこそが必要です。「病は気から」は個としては役に立つ話でも、県が「病は気から、だから気持ちをしっかりもちましょう」などと施策を打ち出したとしたらどうかしています。

・問題の原因に「形」や「名前」を与え、なにかをする。そうすることは、わたしたちの祖先が古くから行ってきた方法です。わたしたちは、超常的ななにものかに因果を求め、それを封じる儀式をとおして心の安定化を図ってきました。お祓いもそうです。

・わたしたちの眼は、暗がりでは、網膜細胞の周辺にあって明暗や動きに敏感な杆体細胞が働きやすくなります。そのために目の端を白黒の幽霊が横切りやすくなります。

・「シャルル・ボネ症候群」といって、視力が極端に弱かったり、左右の視力の差が大きい人たちの中には、頻繁に幻視を体験する人がいます。

・いらいらするのは「イライラ虫」のせい。気分がなかなか晴れないのは「うつうつ虫」のせい。不安で不安でしょうがないのは「不安虫」のせい。なんでもいいですからとりあえずネーミングします。すると、イライラやうつうつや不安を、自分自身から切り離せます。自分のせいではない。同時に、自分を見つめる自分がつくり出せ、イライラやうつうつや不安を、操作的に扱うことが可能になります。

・ある種の状態を○○症候群と名づけたり、××病、△△障害と名づけたりして、その範疇を限定し、原因を探り、対応策を見いだしていくのは、医学や科学の常套手段です。

・わたしたちがものごとに「名」を与え世界を切り取っていくことは、存在不安の解消として生まれてきた出来事なのかもしれません。そうすることが心的な安定を生む、そういう脳的な基盤をわたしたちはもっているのでしょう。そして、おそらくそれが、言語機能を支える脳構造です。

・わたしたちは、つい、わくわくどきどきの大興奮を提供する台こそ人気が出る、人気のある台では、ユーザーはみな興奮している、と思いがちです。しかし、結果はま逆。海シリーズや京楽系やニューギン系のいい台ほど、急速に大脳新皮質の活動が低下します。落ち着いてくるのです。だからこそ、時間を忘れて長時間遊戯が可能になるのです。この点は、人気の高いゲームタイトルでも同じです。

・人気の本体は興奮ではなく鎮静化。鎮静化の中に現れる興奮が際立つわけで、セロトニン系やGABA系の活動を推測させる鎮静化こそ快を支え、ビッグヒットを支えています。

・自伝的な記憶の蓄積によって、自己同一性が担保されるわけです。逆にいえば、「自分」なるものはそれだけ不安定なのです。

・わたしたちは「明日の予定」を「記憶」することができます。

・サービス社会というものは、こうした頭の使い方を自分がしなくていい代わりに、だれかやシステムがそれをして、その対価をわたしたちが支払う社会です。頭を使わなくていい楽な状態を、お金で買うわけです。そういう社会に生きている限り、意図的に頭を使う機会が減ってきます。ですからその機会を、意図的につくる選択をしないと、あと数十年、自分の脳とつき合えるか不安にもなります。

・もし、強い好奇心や、具体的な目標がないのなら、とりあえず設定すべき目標は、「世のため人のため」です。

・サービス社会というのは、わたしたちが自分自身の前頭葉を活動させる代わりに、他人やシステムに代行してもらって対価を支払う社会です。ですから、多少、レトロなことをすることが脳の活性化につながりやすいのです。

・トレーニングでも教育の場でもそうですが、一応できるようになることを目指すものの、それは副次的な話。出来ないことが出来るようになるプロセスこそ重要です。

・65歳以上の人たちに週3回1日40分のウォーキングを6か月続けてもらい、脳をMRIで追い続けるという研究が行われました。その結果、脳が厚くなったのです。とくに、やる気や意欲にかかわりの深い、前部帯状回が厚くなりました。

・ネズミでは、身体をよく動かしているほうが脳が重くなったり、働きがよくなることは、1960年代からの常識でした。

・ネズミに、迷路トレーニングをひたすら実施するという実験が行われました。「脳トレ」+「運動」といったところですが、結果、アミロイドベータの蓄積が止まり、認知機能の低下が抑制されたのです。しっかり身体を動かして、頭を使うことが大切だということを示唆する実験ではあります。

・雑巾がけ、洗濯物を畳む、計算ドリルの場合ですら、「こころを込めた」ほうが前頭葉は活性化します。なにごとを行うにも、こころを込めてしなさい、といわれたことがあると思います。案外、道徳や習慣の裏には、脳的な合理性が潜んでいるのかもしれません。

・脳は、水分を除くと半分は油です。ですから、油をきっちり取るのは重要です。とくに高齢者の場合、あまりコレステロール値が落ちると脳機能が低下することが知られています。



未来の記憶のつくり方―脳をパワーアップする発想法 (DOJIN選書 19)

未来の記憶のつくり方―脳をパワーアップする発想法 (DOJIN選書 19)

  • 作者: 篠原 菊紀
  • 出版社/メーカー: 化学同人
  • 発売日: 2008/07/20
  • メディア: 単行本



タグ:篠原菊紀
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