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『ハーバード白熱教室講義録』 [☆☆]

・哲学は、私たちに常識や約束事、なんとなく「そうだ」と信じていることに疑いを抱かせる学問だ。

・どんな犯罪にも、その根底には「自分の必要なものや欲望は、他人のものよりも優先される」という考えがあります。

・高級な喜びは、理解と教育を必要とする。一度教育されると、人は高級なものと低級なものの違いが分かるようになり、さらには、実際に低級なものより高級なものを好むようになるというのだ。

・満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した愚者であるより不満足なソクラテスであるほうがよい。その愚者がもしこれに異を唱えたとしても、それは愚者が自分たちの側のことしか知らないからにすぎない。

・貧しい人を助けるという大義のためであっても、裕福な人に課税するのも間違っている。施しを頼むのはいい。しかし、課税するのは、強制労働を課すのと同じことなのだ。

・人は、戦いを仕掛けてくる人を破壊することができる。オオカミやライオンを殺すことができるのと同じように。そのような人には力と暴力以外の法則はなく、だからこそ、危険で有害な獣と同様に扱われる。

・最高権力は、本人の同意なく、人の財産を一部たりとも奪うことはできない。なぜなら所有権を守ることが政府の目的であり、そのために人は社会に入るのだから、財産を持つことが必然的に想定され、要請されているからである。

・ジョン・ロックの社会契約論は、近代の憲法の基礎原理をなし、アメリカだけではなく、日本も含めてすべての国々の政治を考える上で、最も重要な思想家。

・「志願制の軍隊」と言うが、考えてみればそれは誤った呼び方だ。「志願制」ではなく「給与制」の軍隊だと呼ぶべきだ。

・果たして徴兵制度によってまで戦争をすべきかどうか。

・父性とはあなたが何をするかであって、何を提供するかではない。

・給料は完全歩合性で、講義に出席した学生の数に基づいて支払われた。これはハーバードも検討すべき賢明なシステムだ。

・自律的に行動するとき、私たちは外から与えられた目的の道具であることをやめ、自分自身を、自分自身の目的として考えられるようになるのだ。

・善意は、その結果や成果のために、良いものになるのではない。それ自体が良いものなのだ。最善の努力をもってしても何も達成しない場合でも、善意はそれ自身が全き価値を持つものとして、宝石のように光り輝く。


ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上)

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(上)

  • 作者: マイケル サンデル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




・私たちは、多数派が圧政をふるう中で、抑圧され、さげすまれる少数派の一員にはなりたくない。

・自然の分配、つまり才能や資質といった自然の分配は正義でも不正義でもない。人が社会のある特定の地位に生まれるのも不正義ではない。これらは単なる自然の事実である。正義や不正義は、制度がこういった事実を扱う方法にある。

・能力主義の擁護者が、分配の道徳的な根拠だと信じているのは、本当は努力ではなく貢献だ。どれだけ貢献したかが重要なのだ。

・大衆民主主義社会では、テレビ映りをよくすることや、手短に表面的な話をすることが役立つ。

・孤立している者、政治的共同体の便益を分かち合えない者、または自足していて分かち合う必要がない者は、獣か神であるに違いない。

・私たちは、言語能力を活用するときにのみ、人間としての本質や能力を十分に発揮できる。つまり、私たちが同胞である市民たちと、物事の善し悪し、または正義・不正義について議論するときだ。

・人間は、本質的に物語を紡ぐ動物である。「私は何をするべきか」という問いに答えるには、まず「どんな物語の中で私は自分の役を見つけられるのか」という問いに答えてからでないと、答えることはできない。

・正義とはただ単に、その時代、そのコミュニティにおいて、たまたま是とされている価値観や習わしから作られるものにすぎない。

・すべての民事婚には三者が関わっている。結婚を望む二人と、それを承認する国家である。民事婚は深く個人的な約束である一方で、相互間系、交友、親密さ、貞節、家族の理念に対する、公的な称賛でもある。

・生殖ではなく、パートナーのお互いに対する恒久的な約束が、結婚の本質的な点であり目的なのである。

・宗教的、道徳的な教義をより深く学ぶことで、結局それがさらに好きでなくなることは常にあり得る。

・一度慣れ親しんだものが見慣れないものに変わると、それは二度と同じものになることはない。

・懐疑主義は人間の理性の休息所である。そこは独善的なさまよいを熟慮できるところだ。しかし、永久にとどまる場所ではない。単に懐疑主義や自己満足に従っても、理性の不安を克服することは決してできない。


ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)

ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業(下)

  • 作者: マイケル サンデル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/10/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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