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『心理学とは何なのか 人間を理解するために』 [☆☆]

・一方が日々の生活のありさまや内心の思いや家族との関係などをかざることなく話題にし、他方が自分のことはほとんど語らない関係は長続きしない。

・ものごとの理解の仕方には、「論理的な説明による理解」と、「共感、了解という、必ずしも理解した内容や理解にいたる過程を理詰めで説明できるとは限らない理解」の二つが区別できる。

・愛とは、他人の運命を自己の興味として、これを畏れ、これを祝し、これを守る心持ちを言うのである。

・喜びは味覚の快感によるものだけで、この子の生活全体が動物的生活そのものに他ならないのである。

・12歳のときにフランスからアメリカに移り住んだある少年は、算数の計算は、フランス語で行い、微積分は英語で計算する。二つ以上の言語に習熟しているほとんどの人が、数学的な処理や計算を行う場合には、その方法を学習した言語で実行する。

・自然災害に限らず、重大な被害をもたらすと推察されながらその実態を把握しにくい場合に、しばしば流言が発生することはよく知られている。

・その地域の多くの人が同じ恐怖感を抱いていて、その恐怖感を裏付ける事実を確認する手段をもたないとすれば、この「恐怖感を正当化する」流言はその地域の人々の間にごく自然に受け入れられ、人々に伝えられ、広まる。

・身動きのとれない混雑時の乗り物の中では、背中を押されたり角ばった荷物やカバンを押しつけられると、不快感や痛みは感じても格別相手を失礼な人とは思わない人が多いのではないだろうか。失礼な人と感じない理由は、何らかの意図や感情・情動にもとづく行為とは思わないためであろう。

・相手の意思や感情・情動にもとづく行為とは思わないということは、極端な表現をすれば相手が自ら主体的に行動しているとは思わないということである。石につまづくのと同じ受け取り方である。人が人として行動していると思わないといってもよい。

・「ひと」を人と思わない状況では、相対する人々が互いに相手の意図や感情・情動をもつ存在とは思わない。相対する一方だけが相手を「人」と見ない場合には、他方は、自分の存在そのものを無視された屈辱感を味わう。

・自分が今こうしたならば、相手はこうするという予測のもとに、相手より一歩進んで自分の行動を決めれば、その個体の行動を操作することができる。



心理学とは何なのか - 人間を理解するために (中公新書)

心理学とは何なのか - 人間を理解するために (中公新書)

  • 作者: 永田 良昭
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2011/08/25
  • メディア: 新書



タグ:永田良昭
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